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詩❲心理描写-暗❳

鈍色の世界

作者: 日浦海里

空一面に灰色の波打つ絨毯が

敷き詰められている


整然とではなく

雑然と並ぶこれを

敷き詰められているというのは

正しいことなのか


灰色に濁った粉砂糖が

絨毯から零れ落ちる


手に取ったところで

指先が煤けて

口に含めば

甘いどころか

苦味すら感じるかもしれない


折り重なった瓦礫のピラミッド

元ある場所に帰ろうとするかのように

棚引く白と黒と灰の混ざった煙


どこで色は失われたのだろう

どこに色を落としたのだろう


数少ない灰の色が見えることだけが

今が太陽の時間であって

今が月の時間ではないことを教えてくれる


そのどちらの光も

最後に見たのはいつだろう


あの空に色が戻るのはいつだろうか

あの空に色を見られるのはいつだろうか


手にした鉛は黒く光るばかりで

これもまた色を落とすためのもの


自ら色を落としているのに

色を望むことは愚かだろうか


色づく世界を見たかった

ただそれだけのはずなのに

光は見えない

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― 新着の感想 ―
[一言]  核戦争のあとの雲なのかな、と。  降るのは死の灰。  あれから、空は失われた。  隕石かもですけど。
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