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~死んで開花する~
第0秒〜輪廻の針〜
無は全だ。
俺は師匠にそう教えられて育ってきた。
歳を重ねるにつれその言葉の意味が理解できるようになっていくものだと思っていたが、10年たった今でも師匠が何を伝えたかったのかは分からない。
師匠に何度答えを聞いても、
「お前がその意味を知る日、それはきっとこの世界が無に帰る日となるだろう。」
いつもそう言って教えてはくれなかった。
そしてその答えも教えてくれぬまま、月日は流れ
カヌ曆856年、あの災厄の戦争があった日。
師匠は俺の目の前から姿を消した。