私の幼馴染は両声類。 彼の部屋から知らない女の声が・・・
「ユカちゃん、初めて会った時から好きでした。結婚を前提に僕と付き合ってください。」
「ダメ。いや。シロちゃんは、幼馴染だから、
そんな風には思えないし、恥ずかしいし、
ダメ・・・
・・・もう少し大人になってから。
って、シロちゃん、ちゃんと聞いてる?」
「えっ。」
彼が青ざめていく。
彼は震えていて、とても悲しそうだった。
忘れられない、あの表情。
「ん。またこの夢。あのあとシロちゃん結構落ち込んで可哀そうだったな。
もう3年も経ったのに。」
私の名前は鈴木ユカ。高校生二年生で、人に言うことではないが、そこそこモテている。
それなりの顔と160cmと、やや小柄なため、守りたいと思えるような女子だった。
私には、小さいころから片思いをしてくれている幼馴染がいる。
夢に出てきた彼は斎藤シロウ君、通称シロちゃん。
顔は地味目だけど小学校の高学年からメガネをかけいる。
性格は優しくていい人だった。
惚れた弱みか私のいう事はたいてい聞いてくれる。
そんな彼は小学校からの幼馴染で同じ高校にも通っている。
夢の内容は、中学のある日の放課後に呼び出されて告白されて断る。
彼が青くなって、そして私はいつも目が覚める。
彼は優しいから気にしなくていいと言ってくれるけど、悪いことしたという罪悪感からか、たまに夢に出てくる。
そこまで夢に見るなら付き合えば良いというかもしれないけど、彼はあくまで幼馴染で優しい男の子だった。
(そういった目では、まだ見れない。
そう、まだ見れない。)
彼はこの告白の後、しばらくは落ち込んでいたのだけれど、私の懸命なリハビリによって回復した。
「シロちゃん、何落ち込んでるの?」
「ユカちゃん。どうして来たの?俺振られたんだよ。」
「シロちゃん。幼馴染なんだから、一緒に行こう。」
「でも俺振られたし。」
むぎゅ。
「えっ。どうして抱き着くんだよ。」
「シロちゃんが放っておけないからだよ。私幼馴染だし。
慰めないと。」
「誰のせいで。」
「元気出すまで続けるから。」
「えっ?」
「元気出すまで、これ続けるから。」
「や、やめて、俺たち中学生だし。」
「問答無用。えーい。」
またある時は。
「シロちゃん、一緒に帰ろう。」
「えっ。俺振られたのに良いの?」
「シロちゃんには元気で居て欲しいから。」
「同情?」
「違うよ。はい。元気出して。」
にぎ。
「えっ。手つなぐの?」
「幼馴染だし。これくらいなら。」
「中学生の幼馴染は手を握らないよ。」
「だめ。元気出してもらうよ。」
こんなことをしていたら、元の元気なシロちゃんに戻った。
そんな闇を抱えかけた彼だけど、今でも幼馴染だ。
幼 馴 染 のために頑張った私のお陰で。
元気になってからは、前みたいに宿題を一緒にやったり、一緒に下校したりと幼馴染らしい関係に戻った。
そう、別に付き合ってはいない。
私たちは幼馴染だから、付き合っていない。
/**********/
そんな彼が少しおかしくなり始めた。
原因は分かっている、高校に入ってからお下がりで貰ったパソコンのせいだった。
彼は毎晩、ゲームをやっているらしい。
寝不足になったり、目にクマをつけるだけでなく。
また少し暗いめの男の子に戻ったのだ。
放課後も一緒に勉強してくれなくなった。
幼馴染としては、少し寂しい。
でも、彼をパソコン中毒になんてさせない。
私は久々に彼の部屋に訪れるのだった。
夕方、シロちゃんの部屋前
『ダメらからシロちゃんはダメ。
早い、早いよ。
まだ動いちゃダメだから。
そこで落ちたらダメだから、
早く弾ちょうだい。
そこ行って、遅いもっと早く。
撃って、いっぱい撃って。
弾を、弾を早く。
死んじゃうから、死んじゃうーーーーー』
(えっ。女の人の声?しかもなんか結構激しい。
何なのあの女の声は。
も、もしかして。
彼女?
うそ、シロちゃんに彼女?
どうして?)
私は目の前か暗くなったし、家にどう帰ったのかも覚えていなかった。
(あの女の声は一体誰なんだろう。)
「えっ。うそ、泣いてる。」
(私、シロちゃんの事が好きだったんだ。
私、失恋したのかな。
もう1度告白して欲しかったな。)
「う、う。
うわーーーーーーーん」
しくしく。
1時間ぐらい泣いたあと、私は決心した。
(私からシロちゃんを奪い取った女が、相応しいか確かめてやる。
だって私は幼馴染なんだから。)
その日から、私はストーカまがいなことを続けた。
放課後は毎日、部屋の前に行き、女の行動を調べた。
私が着く頃には、もう彼の部屋に女がいる。
ノックして入りたい欲求を抑えながら、ひたすら女の事を調べようとした。
/************/
その夜、ユカの部屋
「どーして何も分からないのーーーー。
何で、何でいつもシロちゃんの部屋に
いるのよーーーーー。
遊びに行けないじゃない。
しかも、毎回玄関にクツも無いし。
彼に聞けば、すぐ分かるかもしれないけど、
この関係が崩れるのもいやーーーーーーーー。
いったい、あの女の声は誰なのよーーーーー。」
バタバタ
枕に顔を埋めながらベットを蹴る。
「・・・もう部屋に入るしかない。
明後日は土曜日、あの女が来る前に
部屋に入ってやる。
今日はもう寝よう。」
/********/
次の日、放課後の教室。
「鈴木さん久しぶり。
ちょっと良いかな?」
「あ、シロちゃん。久しぶり。
いいよー。」
「もう、高校生なのにシロちゃんは無いだろ。
最近家に来ないけど、体調でも悪いの?」
「(毎日行ってるけど気づいてないんだ。)
違うよ。元気だよ。
ちょっと(あの女の行動を調べるのが)忙しくて。」
「そーなんだ。
あっ。そういえば、この前って言っても、
かなり前だけど、欲しがってたグリーンのワンピース買おうか?」
「えっ。なんで?」
「いや、鈴木さん欲しがってたじゃん。」
「でも、悪いよ。あれ高いし。」
「あーなら、ここでは話しづらいから、
ちょっと校舎裏来て。」
「えっ、周り誰も居ないからココで大丈夫だよ。」
「・・・あ、みんな帰ったのか。
じゃあ言うけど、やっぱり服は高いから
タダではあげられない。
交換条件があるんだ。」
「交換条件?」
「そうその服を着て、顔を隠して写真を撮らせて欲しい。」
「えっ、顔を写さない写真って何で?」
「理由は言えないけど、どうしても欲しいんだ。
鈴木の写真が。
でも、それで服が貰えるなら安いと思うんだけど。」
「何枚撮るのよ?」
「10枚ぐらい?」
「うーん。分かった、分かったから暗くならないで。
その代わり、「ユカの写真が欲しい」って言って。
あと鈴木さんもやめて、昔みたいにユカって呼んで。」
「あ、ありがとう。俺はユカちゃんの写真が必要なんだ。
頼むよ、ゆ、ユカちゃん。」
「う、(かわいい)分かったわよ。」
断りそうになると彼が明らかに表情が暗くなったので、しぶしぶ了解した。
今日の夕方に彼の部屋で撮影だ。
(本当に服なんて買ってるのかしら、楽しみだな。
そういえば、女の声というか、シロちゃん彼女いるのに、
私の写真どうするつもりなのかしら?
分からないよーーーー。)
/******/
夕方。シロちゃんの部屋。
「へー、意外と片付いているじゃない。
あっ。これが、お古のパソコン?」
「えっ、いや、違うよ。
それは新しいパソコン。」
「えっ?何でそんな高いの持ってるの?」
「そ、それはまだ言えないよ。」
(なんでそんなにお金持ってるの?
まさかあの女に貢いで貰ってるとか?
シロちゃんがヒモになってるの?
私シロちゃんを取り返せるのかな?)
「あ、そうだ。この服早く着てね。」
「もしかして、いろんな女の子に着てもらって
その写真を売ってるとか?」
「違うよ。そんな違法なことしてないよ。
それにこんな事を言えるのユカちゃんしか居ないよ。」
「・・・う。(キュンとした。)
分かった、ところでどこで着替えればいいの?」
「あ、ごめん、いま出るから。」
「出なくていいよ。目をつぶってて。」
「えっ。いいの?」
「(なんで喜んでるのよ。)別に目をつぶってたら見えないでしょ。」
「分かった絶対に開けないよ。」
「ふん。(見ても良いのに。)」
パサ。パサ。
ジージー
服を着替える音、そして服のチャックを開ける音が
静かな空間を支配する。
シロウの前で、いまユカは着替えている。
マジメなシロウは決して目を開かなかった。
ユカは少しぐらい見られても良いと思っていたが、期待は裏切られた。
「いいよ。もう開けて。」
「・・・そ、そうだ。撮影しないと。
撮って良いかな?20枚」
「(増えてる。10枚じゃ?)いいよ。ポーズの指定とかは?」
「あっ。じゃあこのポーズで。」
その画像はカップルがペアで写っているものだった。
「えっ一緒に写るの?」
「大丈夫このカメラ高性能だから、タイマー機能あるよ。」
「えっ。スマホじゃないの?っていうかデジタルカメラ
なんでこんなにデカいの?高いんじゃ?」
「あっ。それは気にしないで。」
カシャ。
カシャ。
・・・
カシャ。
「ありがとう。助かるよ。ユカちゃん。」
「本当に、何に使うのよ。
でも、こっちも服ありがとう。」
(この部屋で他の女とも居たりするのに、
プレゼントは私にくれるの。
シロちゃん。一体何考えてるの?
もしかして、あの女より私の方が好きなの?
それだったら嬉しいんだけど。)
「(あの女に)勝った。」
「ん?何か言った?」
「えっ、な、何でもないわよ。」
(でも、私にこんなにあげてるなら、
あの女にはもっと良いものを・・・
聞かないと。)
「ねえ。「他の女の子には撮影頼めない」って
言ってたけど、他の女の子にはプレゼントしてないわよね。」
「えっ。他の女の子になんてあげる予定ないよ。
やっぱりユカちゃんにしかあげられないよ。
こんな高いの。」
「そう。なら良かった。///」
私の顔が赤くなるのを感じると、彼もまた赤くなっていた。
「もう、帰るね。」
「あの、明日も、明後日も写真撮らせてもらっても?」
「えっ。どんだけ撮りたいのよ。」
「他にも服あるから。」
「うわ。なんで、こんなに段ボールあるのよ。
分かった。こんなことするの、シロちゃんのためだけなんだから。」
「うん。ありがとう。」
/********/
1週間後、夜の自室
「おかしいーーー。
あの服の量はおかしい、
しかもなんで、サイズもピッタリなの?
それはともかく、なんでお金があんなにあるのよーーーーー。
バイトなんてしてる時間無いはずもないのに。
なんでよーーー。」
「それに、写真も意味わかんない。
もう、あの女の声が何か秘密があるに決まってるわ。
あの女の声が聞こえる時に、部屋に入ってやるんだから。」
/***********/
次の日の日曜日 シロの部屋前
『ダメだって、
そんなに叩いちゃだめーー。
やめてー死んじゃう。
ダメだから。そんな太いので
叩いちゃだめーーーー。』
「(何やってるのよ。)・・・」
コンコン。
「えっ、親フラ?
不味い。
隠れて。ちょっと切るわ。」
コンコン。
ドタバタ、がさーーーバタンバタン。
「どうぞー。」
ガチャ。
「なんだ。ユカちゃんか。」
「ねえ?あの女の子は?どこに隠れたの?」
シロちゃん青ざめる。本当に真っ青だ。
「ち、違うんだ。違うんだよ。」
「それにあの女がいるのに、なんで私に服くれたの?
あの女のお下がりだったの?
もしかしてあの女の付き合ってるの?
ぐす。
ぐすん。
シロちゃん、こ、答えてよ。」
「落ちついて。ぜ、全部話すから。」
2人は落ち着いた。そのとき、ユカはパソコンの画面が見えていた。
「修羅場キターーーーーーー」
「クロちゃんって二股してるの?」
「祭り会場はここですか?」
「浮気バレ配信キターーーーーーーーー」
「カップルつばー破局か^^」
チャット欄のような箇所に、文字がどんどん流れていく。
200円ちゃりん
お金ももらえている。
(これ?もしかして配信?
あの女が隠れてる今なら。
もしかしてシロちゃんを奪える?
既成事実作れる?
私の頑張りどころかな?
コメ蘭参考にするとこんな感じかな?)
「そうよ破局よ。
私の方が、シロちゃんのこと好きなんだから。
いつもの女なんかに取られないんだから。
(あんなやつにとられたくない。)」
「おーーー」
「おーーー」
「告白だー」
「NTR NTR NTR」
「WSS?私の方が先に好きだった?」
「キターーーーー」
コメントが増えている。
「あっ、嘘。
配信終わってない。
ちょっとどいて。
はい。ご覧いただきありがとうございます。
この放送が面白かったら、チャンネル登録。
高評価。って言ってる場合じゃない。」
シロちゃんはLANケーブル引き抜き。
配信停止をスマホで確認した。
「ぜ、全部話すよ。
実は、俺
一人カップルようつばーなんだ。」
「はぁ?」
『こんな感じで、女の子のフリと、男で
顔を出さない配信やってたんです。』
「えーーーーーーーーーー。
シロちゃんすごいーーーー。」
「ちなみに、男がくろ、女の子がシロちゃんだったんだ。
だからさっきの配信は、修羅場配信というか、
女性同士の告白配信になってるかも?」
「はぁーーーーーーーー?」
「ちょっと待って、私百合じゃないか。」
「あぁ、分かってるよ。
でもリスナーさんは、そう思ってるよ。
こんなことなら、女の子をシロちゃんって名前にしなければ良かった。」
「・・・女声の正体は分かったけど、
お金とか機材はどうしたの?」
「あーそれなら、広告収入だよ。
かなり人気になったんだ。
カップルゲーム実況。
それに、このお金があったから、
ユカちゃんにプレゼントもできたし。」
「だからか、でも写真は?
写真は何に使ったの?」
「チャンネルのつぶやきに使ったんだ。
カップル配信だからね。
サムネイルとか、色々助かったよ。」
「なるほどー。」
全部聞いても途中から理解できなかったというか、
理解したくなかった。
「シロちゃんは、まだ私の事好き?」
「えっ?・・・はい。」
「なら、両想いならカップル配信一緒にすればいいじゃない。」
「えっ?それってどういう・・・」
「言わせないでよ。///」
お互いに好きなら付き合えばいい。
そう思っていた。
「でも、俺振られてるし。」
「あーーーーもう。
いい?
私の写真をつかってたなら、恋人になってカップルつばー続けたら良いじゃない。
あなたは、カップルチャンネルが続けられる。
私はあなたと付き合える。
これでいいじゃない。」
「えっ、でも。ユカは俺で良いの?」
「いいのよ。
私はあなたの女声に嫉妬してたんだし。
それにリスナーさんに百合疑惑かけられてるなら、
いっそ、浮気相手と彼女の仲良しチャンネル
でも作れば良いじゃない。」
彼は少しぼーっとしている。
少し考えている。
「それ?新しいな。浮気相手と彼女のチャンネル。」
「そっちに食いつく?」
「それと、僕からも言いたいよ。」
「僕と付き合ってください。」
「はい。」
修羅場を迎えたカップルチャンネルの人気が下がってしまったけど、
「浮気相手と彼女ちゃんねる」
通称<うわかのちゃんねる>は人気になった。
彼は最近、男声を出して動画は撮らなくなったけど、女声のシロちゃんも含めて、私の彼氏なんだから。
中学の時に告白を受けておけば、彼の男声をもっと聴けたのかもしれない。
でも、私は両声類の彼を愛している。
たまにはたっぷり、彼の男声が聞きたいな。
完
/**********/
あとがきのコーナー
京安藤しーぷです。
ご覧いただきありがとうございます。
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作品作成のモチベーションにつながります。
前作の
「幼馴染ざまぁ物が好きな男子中学生が、 親友に幼馴染を奪ってもらいたい。 むしろ奪ってください。」
のランキング総合 254位
現実恋愛 21位
ありがとうございます。
皆様のお陰です。
次回作にもご期待ください。
ありがとうございました。




