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5話 魔物の群れと戦います。

私は陣地へ戻った。すると、皆、口を開けて、ぽかんとしている。フリーズしてる?私は笛男の前で手を振ってみた。


反応無し。


だが、数秒後に動き出した。何故か、目を擦っている。そして、私に気づいたみたいで、話しかけてきた。


「き、き、君!」


「はい?」


「さ、さっきは何処へ……」


なんでそんな事を訊いてくるのだろう?


「魔物の群れのところですけど……」


「さ、さっき、『空中歩行(スカイ・ウォーク)』や、『爆発(エクスプロージョン)』を使ったかい?」


使ったけど?


「使いましたけど……それが何か?」


私がそういうと、他の人も次々と復活しだした。


「………」


沈黙が広がる。それはともかく、


「魔物の群れが来ますよ!」


そう、魔物達がやって来るのだ。


「そうだ、魔物が来るんだった。」

「皆気を引き締めろ!」


一気に場が緊張感につつまれた。皆、各々の武器を取り出し、気を引き締めた。


………ドドドドドド


魔物達の足音が徐々に大きくなってくる。と、その前に。


私は『十月(とつき)』を取り出した。鞘から抜き、刃に指を当てる。私は自分の魔力を注ぎ込み、次々と魔法を剣に付与していった。


<頑丈化>、<軽量化>、<鋭利化>、後は火、水などの全属性を付与しておく。ついでに<所有者固定>もしておいた。他の人が使おうとしても、これらの付与は効果を発揮せず、『十月(とつき)』はただの剣になる。


よし、準備は出来た!掛かってこい、魔物供!



ーーーすみません、言ってみたかっただけです。



気を取り直して、迎え撃つとしよう。


すると、丁度良いことに、ウサギ型の魔物が突撃してくるではないか。後ろに鶏っぽい魔物の大群もいる。


よいこらせっと。私は軽く剣を振った。


スパーン


と、とても気持ちの良い音がした。そして、ウサギ型の魔物を見ると頭部と体が切り離されているではないか。


ついでに私はウサギ型の魔物の後ろにいた、鶏っぽい魔物の大群の亡骸も見る。それの頭部と体も切り離されている。切り口はとても綺麗で、合わせたら、普通にくっつきそうだ。


誰がやった!


ーー私です。まさかここまで効果があるとは。鋭利化のせいかな?けど、ここは魔物暴走(スタンピード)が迫っている時。多く倒せた方が好都合。


って事で、特に何も考えないようにして、魔物をバンバン倒していくことにしました。


おお、ゴブリンだ。


スパーン


コボルトもいる。


スパーン


おっ、また会ったなハンティングベア!


スパーン


私は魔物に出会うたびに容赦無く切り捨てている。まあ、出会う度にコメントの一つぐらいは残してるけど。


そういえば、魔物の種類がすごくバラバラだな。人型に限るって訳でもなさそうだし、獣型に限るって訳じゃなさそうだし。


おっ、これはサンダー・フライングキャット!前に魔物図鑑でみたことあるけど、確かトニトゥラの島の固有種だったと思う。


ちょっと遠くにいるので斬撃を飛ばして……


ピッ……ズバァーン……ニ゛ァ゛ーーー


サンダー・フライングキャットの断末魔が響く。まあ、気にせず、どんどん切っていこう。


「うあああああ!」


人の叫び声だ。冒険者が怪我をしたのかな?私は回復魔法とかも出来るから、この辺りを一掃したら行こう。


この辺りに火属性の魔物をいないな?私は探索(サーチ)で確認する。そして、剣の火属性を発動させて、剣に炎を纏わせた。そのあと、剣を大きく振った。


ドガァン


大きな音がして、私の斬撃が飛んでいく。


炎を纏った斬撃が次々と魔物に当たっていく。地面には燃え盛る炎と魔物の死体。地獄絵図だ。


……とりあえず、怪我をしている人を助けに行こう。


「私、回復魔法が使えるので、怪我人がいたら教えてください!」


増幅アンプリフィケイション』を使い、戦場に声を響かせる。


すると、男の冒険者の声がした。


「怪我人は皆ここに集まってる!治療を頼む!」


声がするのは森の入り口の方。私は怪我人が集まっているところへと走っていった。


シートが敷いてあり、その上にたくさんの冒険者たちが横たわっている。肩に切り傷がある者、火傷をした者などなど大勢の怪我人がいた。シートに染み込んだ血はシートを赤黒い色に変えていた。


「エリア・グレート・ヒール!」


私がそういうと、辺りは暖かい光に包まれ、次々と怪我が治療されていく。


一応、今この場にいる人の怪我は全部治療できたはず。よし、また魔物退治に戻ろう。私は魔法で治療した後、すぐに魔物暴走(スタンピード)の群れの方へと戻った。


私が色々と派手にやったり、他の冒険者達の力もあり、魔物は100匹前後に減っていた。


さっきは、火を使ったから、今度は同じく殺傷能力が高い、雷系魔法を使ってみよう。


雷槍(サンダー・ランス)


私が念じると、魔物暴走(スタンピード)の群れに一発の雷が落ちた。雷が直撃した魔物達は黒焦げになっていて、直撃しなくても、その周辺にいた魔物達は少なくとも火傷くらいは負っている。


終わりなき嵐(カタトゥンボ)


私はそれを小さな声で呟いた。すると、空が一変した。先程も雲が空を覆っていたが、どんどんどんどん黒い雲が集まってくる。雲が厚くなり、さっきまで見えていた太陽はもう雲の裏側にある。


ピシャーーン!


1閃の光が地面に落ちた。


それを合図にして、次々と落雷が落ちていく。轟音が森に響き、だが、森の木や、戦っている冒険者達が被害を受けることはなかった。


落雷は的確に、()()()()を狙って落ちている。


もちろん、私が『終わりなき嵐(カタトゥンボ)』をそういう仕様にしたからだ。魔物だけを狙え、と。


これで、ほとんどの魔物は片付いただろう。あとは、冒険者達がやってくれるはずだ。


さて、そろそろ『終わりなき嵐(カタトゥンボ)』を止めるか。私が雲の上に広がっている魔法陣に魔力を注ぐのをやめ、解除する。



戦場の後片付けをしている時だった。


何かが急接近してくるのだ。気配を感じたので、私は探索(サーチ)を発動する。魔物ではなさそうだし、獣?

害意もないみたいだし……


私はその獣が来るまで、待つことにした。


……ようやく、見えてきた。


あれは、灰色の何か……


狼?


そんなことを考えているうちに灰色の物体は私の胸に飛び込んできた。


狼だ。一瞬、犬かと思ったが、これは間違いなく狼だ。とても、綺麗な狼だった。清潔、とかそういうことじゃなくて、美しいのだ。黒と白が入り混じった毛に、立派な体と尻尾。そして、顔についた、青い右の目と金色の左の目。オッドアイというのだっけ。初めて見た。


私が狼に見とれて、撫で回していると、狼にグッと押された。抵抗しているみたいだ。私が離すと、何処からともなく、羽を出した。

黒い、鳥の羽で、羽軸には紫色の魔石っぽいものがいくつか埋め込まれている。


私がそれを手に取ると、狼はこちらを軽く見ると、いなくなってしまった。


なんだったんだろう。そして、これ、どうしよう。



私は手の中の謎の羽を見ながら思った。



ほんと、めちゃくちゃなことやりますよね、この人。


カタトゥンボというのはベネズエラの地名です。よかったら、調べてみてください。

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