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2話 隣国に入りました

ストックがほんの少しあるので、尽きるまで、毎日14時に投稿する予定です。

知っての通り、私は人造人間(フランケンシュタイン)だ。


で、幼い頃にヴァレンシュタイン公爵家に養女として引き取られ、断罪されて、処刑寸前だったけど、逃げて来ました。え?なんか事実と異なる?気のせいですね。まあ、ちょっとした騒ぎ(大騒ぎ)は起こしたけど。


そして、現在、逃亡中。目的地は私の因縁のレリーフ王国の隣にある、パラティール王国。本当は逃亡するなら、もっと遠いところがいいんだけど、パラティール王国にした理由は大きく分けて二つある。

一つは、パラティール王国は平和で、治安もいい。二つ目は、レリーフ王国はパラティール王国を目の敵にしてるから。古くからの因縁があるらしく、レリーフ王国はパラティールを敵として認識しているらしい。


私はレリーフ王国に対しては恨みなどははないと思っていたけど、どうやらものすごく嫌いみたいね。わざわざ敵国に行くんだから。


あ、この見た目、変えなきゃな。


今の私は『マリー・ヴァレンシュタイン』の見た目だ。燃えるような真っ赤な髪にアメジストのような紫色のつりあがった目。結構、特徴的な見た目だ。敵国だから、といってもレリーフ王国の人がくることもあるので、見た目は変えておいた方がいいだろう。


染めるのは?いちいち染めなおすのが面倒くさい。それに目の色は変わらない。


変身魔法はどうか?けど、結構魔力を使うし、分かる人には分かってしまう。


じゃあ、丸ごと変えてしまおう。人造人間(フランケンシュタイン)の私には決まった見た目はない。先ほどの『マリー・ヴァレンシュタイン』の見た目も私が作ったものなのだ。


私が髪に触れると、徐々に赤色が薄くなってくる。そして、髪に銀色が混ざり始める。目も紫色から、緑へと徐々に変わっていく。


最終的に私は銀髪に緑目を持つ少女になった。


これなら、バレないだろう。そして、つり目は少し下げておく。多分こうすれば、ほとんどの人には私が『マリー・ヴァレンシュタイン』だとはバレないはずだ。


あと、名前はどうしよう?


私の今の目の色である、緑を前世の言語でいってみようかな。確か、グリーン、グリューン、ヴェール、ベルデ、リュイ、ヴィヒレア、イェシルぐらいかな。もっとあるだろうけど、今の私の頭にパッと出てくるのはそれぐらいだ。


じゃあ、イシェルにしよう。確か、トルコ語からだったかな?


イシェル、イシェル。よし、私の名前はイシェル。


おっ、国境付近に来たな?


ーーー実はここまで私は処刑台があった王都から、ずっと走ってきていたのだ。多分、異常な身体能力も私の持つ能力だろう。


そして、私は今まであったことを思い出しながら、国境線を越えようとしていた。


だが。新しい国に入るのに、この格好ってどうだろう。


私は自分が着ているボロ布を見つめた。まあ、これから処刑される予定だった人にはいい服なんて着せないよね。


こんなの着てたら、奴隷と見間違えられそうだね。私は木陰に隠れてから、結界をはり、その中に身を潜めた。ブラウスにスカートっぽいズボンでいいかな?これなら動きやすそうだし。そう考えながら、私は着替える。


えっ?どこから服を出したのかって?


収納(インベントリ)に決まってるでしょう。


ああ、これも私の特殊能力のうちに入るのかな?

収納(インベントリ)はその名の通り、収納だ。どうやら、異次元?に保管してるっぽくて、私はそこから自由に物を収納したり、収納したものをを取り出せる。


はっきり言って、すっごい便利。手ぶらで歩けるからね。ちなみに他国で暮らせる見通しがあったのも収納(インベントリ)があるからとも言える。


「うあああああ!」


誰かの悲鳴が聞こえた。これは、パラティール側だ。私は国境線を踏み越え、助けに向かうことにした。


そして、探索(サーチ)を発動する。反応から考えるに、これは、商人の馬車が魔物に襲われてるのかな?


私は収納(インベントリ)から剣を出す。


あのくらいの魔物なら素手でも余裕なんだけどね。普通に考えてごらん。17歳くらいの少女が素手で魔物を倒しましたと。


アウトですね。話題になること間違いなし。私は平穏に暮らしたいのだ。そのためにはできるだけ目立たないようにしないと。


おっ、馬車が見えてきたな。馬車の周りに5匹ほどの魔物が集まっていて、護衛の人が苦戦しているようだ。あれは、ハンティングベアの群れかな?私は走るスピードを上げる。



護衛と魔物の間に割り込む。そして、剣を大きく振ると、ハンティングベアの体が上下に分かれた。

初めてだけど、うまくできたみたい。


「下がって下さい!」


私は護衛たちに声をかける。それが聞こえたようで、護衛たちは馬車の方へと下がった。よく見ると、怪我人がいるようだ。これが終わったら回復魔法をかけておこう。


ハンティングベアたちは危険なのが私と理解したようで、私を取り囲む。そのとき、私は前世で考えた、カッコよさそうな剣技を試して見ることにした。正面だから、馬車を巻き込む事はないだろう。


よっと!


私は右腕に持った剣を左へと回す。そうする事で、三日月型の斬撃を繰り出した。そしたら、あっという間に魔物は息途絶えてしまった。


探索(サーチ)をもう一度する。他に魔物は……いないか。


私は馬車の方へと体を向けた。護衛たちは大なり小なり怪我をしている。1人1人治していってもいいけど、一気にやってしまおう。


「エリア・ヒール」


私がそういったあと、護衛たちの足元に魔法陣が現れる。暖かな光が放たれたあと、護衛たちの怪我は治っていた。


「魔物を倒してもらい、怪我の治療まで……恩にきる……」


護衛たちのリーダーらしき男がそういった。そして、ひとすじの涙が流れているのを私は見逃さなかった。


「どういたしまして。」


私は微笑みながらそういった。そしたら、馬車からどんどん人が出てきた。商人たちのようだ。


「あなたが、魔物を倒してくださったのですか。お礼としていくら差し上げればよろしいでしょうか?」


そう言われてもな……


あっ、そうだ。


「すみませんが、貴方達はどこへ向かう予定なのですか?」


そういわれるとは思っていなかったようで、商人達は目を見開く。


「私達はこれから、リリアルの街へと向かう予定です。」


リリアル。確か、パラティールの主要都市の一つだったはずだ。


「お金はいりません。その代わり、リリアルの街へ同行させて貰えないでしょうか?」


「わかりました。ですが、命を助けて貰ったお礼としてはそれでは足りません。商人関係で困る事があったら、私達に貴方の手伝いをさせて下さい。私達は、ルルノール商会という、パラティールでは少し名の知れた商会です。」


そう言われた後、コインを一枚渡された。銀でできているようで、鷲の絵が入っている。


「このコインをルルノール商会の者に見せれば、貴方の助けになると思います。」


なるほど。いつか、役に立つかな?


私はそのコインを収納(インベントリ)に大切に仕舞った。



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