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10話 え、私のランク上がるんですか?

イシェルがやらかした結果です。これでストックはおしまいです。できるだけ、早いペースで更新できるようがんばります。

あ、ギルドに行かなきゃ。


その事実に気がついたのは早朝の事だった。


依頼完了の報告をしに行かなきゃいけないのに、すっかり忘れてた。冒険者ギルドに行ったけど、昨日はリュウゼの事でパニクってて、完全に忘れてたからね。


けど、その前にもうひと眠りしよう。私は起き上がった体をまた横にして、ヴォルフを自分の体に引き寄せて、目を閉じた。



***



さて、もうそろそろ出よう。今度は私はちゃんと起き上がり、服をネグリジェから、冒険者風の動きやすい服に変えた。昨日の服もちゃんと魔法で洗浄してあるけど、違う服を着た方が、テンションも上がるというものだ。


公爵令嬢時代に将来のことを考えて、色々な服を買っておいたことが役に立ったな。着替えを終えたころに、ヴォルフがモゾモゾと動き出した。


「おはよう、ヴォルフ。」


ヴォルフはベッドから身を起こし、私に駆け寄ってきた。


「今日は冒険者ギルドに行くけど、一緒に来る?」


ヴォルフに訊く。人間の言葉を理解しているということは、昨日分かったので、普通に話しかけることにした。


ヴォルフは首を縦に動かす。まあ、つまり頷いているのだ。冒険者風の少し小さめのバックを私は収納(インベントリ)から取り出し、肩に掛けた。


よし、冒険者ギルドに行こう。



***



先程からかなり注目されている気がするのは気のせいだろうか。多分、気のせいではない。社交界に居たのもあり、私は人の視線には敏感だ。街を行く人々の視線は私達に集まっているのが分かった。


……ヴォルフのせいかな?ヴォルフは犬に見えなくもないけど、犬だとしてもかなり大きな部類だ。そして、オッドアイのこともあり、注目されているのではないだろうか。


まあ、視線からはただの好奇心とかしか感じないので、悪意や害意が無いのなら放置しても良いだろう。


私は寄り道をせず、真っ直ぐに冒険者ギルドへと向かった。



「こんにちは。」


そう言いながら、冒険者ギルドに入った途端、ギルマスに捕まった。え、なになに?


襟を掴まれて、ズリズリと引っ張られていく……


ちょっと足を踏ん張れば、止められるけど、なんか深刻そうな顔をしているし、そのまま引っ張られていこう。


そうして、そのまま引っ張られていったら、ギルドマスター室に連れて行かれた。


バン!


ギルドマスター室のドアが乱暴に閉められた。この様子からするとかなり深刻そうだなぁ。何かは知らないけど。


「全く、なんてことをしてくれたんだ。君は……」


ギルマスがそうぼやいた。私がしたのは魔物暴走(スタンピード)の討伐を手伝ったぐらいなんだけど。


「どうしたんですか?」


私がそう訊くと、ギルマスは衝撃的なことを口にした。


「君をAランク冒険者にすることにした。」


はへ?え、ちょっと待って。Aランク?私まだ冒険者を始めて2日目ぐらいなんだけど。なんで?


魔物暴走(スタンピード)の討伐依頼の功績から、君をAランク冒険者にすることが決まった。他の冒険者達の証言もあり、他の支部のギルドマスターからも認められている。」


昨日、やりすぎたか。久しぶりに魔法を使えるものだから、調子に乗ったのがいけなかったか……


けど、Aランクはいやだ!確か、Bランクぐらいから、貴族からの依頼がきたり、上流階層と関わったりすることが多くなるはずだ。Sランク冒険者は強すぎて、扱いづらいのもあり、依頼がくることはあまり無いようだけど、AランクはSランクの次に強いため、一番貴族、王族などに関わることが多いと聞いたことがある。


正直言って、貴族とかの面倒な人とは関わりたくない。それにレリーフ王国と関わる機会も出てくるかもしれない。


やだ。せめて、Cランクがいい。Cランクはもっとも人口が多く、一般的なランクだったはずだ。


「私はAランク冒険者にはなりたくありません。」


せめて、Cランク冒険者が良いと言おうとしたが、ギルマスが口を開いた。


「な、なぜだ。Aランクになれば、比較的権力も持てるし、信頼も高くなるはずだ。」


まあ、そうなんだけど。


「その、私はあまり貴族様とかと関わりたくない質なので……」


「そういうことか。でも君のような戦闘能力が高い冒険者をEランクに放っておくことはギルドの面子上、できないんだ。」


「なので、Cランクにしてもらえないでしょうか。昇進というのなら、2階級上がるだけでも十分な報酬だと思いますし、Cランクならあまり貴族様と関わることもないので。」


「しかし……」


ギルマスが言い淀む。


「だったら、これを私からギルドマスターへの貸しということにしてくれませんか?」


こうすれば、多分納得してくれると思う。


「貸し?」


ギルマスが首を傾げる。


「はい。”貸し”です。今回、Cランクで妥協してもらう代わりに私はギルドマスターの頼みで、私の倫理に反さないなら、数回はできるだけ協力します。」


「なるほど……では、イシェルさんの倫理とは?」


「えっと、まあ、その場その場で変わるんですけど、まず私は戦争には絶対協力しません。あとは、暗殺とかも駄目ですね。良いのは、魔物の討伐とか重要物の配達とか、護衛依頼なら……」


「ふむ。では私の方から他のギルドにも掛け合っておくよ。ああ、冒険者証を出してくれないか?情報を更新するから。」


よし。これで、できる限り貴族とかには関わらなくて良くなった。


私は内心ガッツポーズをしながら、ギルマスに冒険者証を手渡した。

ギルマスは冒険者証を受け取り、机に置くと、眼鏡を取り出した。老眼鏡かな?眼鏡をつけたギルマスが冒険者証に触れると、魔法陣が展開した。ギルマスが魔法陣に触れるたび、どんどん小さな魔法陣が展開していく。


どうやら、ギルマスは冒険者証にかけてある魔法に新たな情報を組み込んで、更新するようだ。ギルマスは魔法陣に改良を加えていき、数分たった頃、一番最初の大きな魔法陣を閉じた。すると、他の魔法陣もどんどん閉じられていく。


そうすると、冒険者証は元の状態に戻った。だが、冒険者証に刻まれていた模様は少し変わっていた。


「終わりました。」


ギルマスは眼鏡を取り、冒険者証を私の手に戻した。やっぱり、ギルドマスターなんだから、ただのおじさんではないようだ。


私は冒険者証を受け取り、


「ありがとうございました。」


と言って、冒険者ギルドを出発した。


冒険者ギルドを出ると、ヴォルフが私の足に擦り寄ってきた。可愛い。


あ、ヴォルフの生活用品とか買わなきゃいけないな。ちょっと、街に寄っていこう。私はそういう物が売っているお店を探そうと、商店街に出たのだが。



ーーーそこには深い紺色の髪に空を写したような青い目のリュウゼがいた。



ギルドからいくと、何気にリュウゼとの遭遇率が高い。


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