表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
16/23

9話 灰色の狼

獣要素登場です。

リュウゼに付与をつけたネックレスを返し、私は今度こそ宿に向かった。


***


今日は疲れたなあ。


私は桶をひっくり返して、自分に水をかけた。軽い水浴びだけど、水浴びができる宿は結構希少なのだ。


水浴びの後、私はネグリジェを着た。収納(インベントリ)から出したものだ。シンプルな白色のネグリジェ。ネグリジェの袖や裾にはミントグリーンのフリルが付いているが、これ以上にシンプルなものはなかったのだ。

以前、買おうとした時、あったのはゴテゴテとした派手なやつばかりで、明らかに邪魔な薔薇の装飾が大量についてたり、悪役令嬢っぽい原色のやつとか。


まあ、選べる物がこういうやつしかなかったのだ。


あ、私はリュウゼがくれた、ネックレスを収納(インベントリ)から取り出した。首に手を回し、ネックレスをつける。ずっしりとした重みはなく、とても軽かった。


それをつけたまま、私はベッドに座り、謎の羽を取り出し、眺めた。


これがなんなのか分からない。リュウゼにも訊きそびれたし……


羽軸についている魔石は月光が反射するたび、小さな光を放つ。

それに何故あの灰色の狼がこれを私に渡したのだろう。


考えていると、コツコツという小さな音が窓から聞こえた。見ると、あの狼が窓を叩いているではないか。


これは、中に入れてほしいっていう事なのかな?


私は窓を開け、狼を中に入れた。特に害意もない感じだし、なんだか親近感があるし……

狼のオッドアイは昼間より、夜の方が綺麗だった。暗闇の中だと、もっと幻想的に見えるのだ。

私は狼の頭に手を置き、優しく撫でた。毛がフワッフワだ。野生の動物って感じじゃないな。どこかで飼われているのだろうか。


狼は抵抗せず、私に撫でられるがままだった。確か、犬は耳の裏を撫でるといいんだけっけな。私が耳の裏を撫でると、狼は気持ち良さそうに目を細めた。この子、一応狼なんだけどね。


「貴方は狼なの?」


私は狼に向かってそういった。まあ、多分、理解していないだろうけど……と、思っていたのだが、狼はコクリと頷いた。


ーーあれ?もしかして、通じてる?


「飼い主はいるの?」


もう一回訊くと、狼は首を横に振った。いないって事?


それに、ちゃんと言葉が通じてるみたい。獣の中には言葉を理解しているのもいるって、本に書いてあったけど、本当みたい。この子、可愛いな。


「飼い主がいないなら、私が貴方を貰ってもいい?」


悪戯心でそういうと、狼は頷いた。あれ?いいの?


「本当に?」


確認のために訊くと、狼はまた頷いた。けど、狼、狼、じゃあ、呼びにくいな。名前をつけよう。


「……ヴォルフ」


確か、前世でそういう名前のキャラクターがいたな。


「ヴォルフ、と呼んでもいい?」


頷いてくれたので、これからはヴォルフと呼ぼう。名前が気に入ったのか、ヴォルフは私に頬擦りをしてきた。良かった。気に入ってくれたみたいで。


……収納(インベントリ)に狼用の食べ物なんてあったかなぁ?これから、世話をするなら、ないと駄目だよね。


干し肉、とかは?大丈夫な気がする。


私は収納(インベントリ)から干し肉を出して、ヴォルフに見せる。


「いる?」


すると、ヴォルフは上目遣いで私をみた。食べたいみたいだね。ついでに言えば、物凄く可愛い。

干し肉を渡すと、ヴォルフは慎重に干し肉を食べていく。荒っぽい食べ方かと思ったけど、違った。


干し肉を食べ終わると、ヴォルフはまたもや私を上目遣いで見てきた。ヴォルフの視線の先を辿ると、私のネックレスがある。


もしかして、首輪が欲しいのかも。けど、首輪は持ってないんだよね。チョーカーなら、首輪として、代用品になるかも。私は一つだけ持っているチョーカーを収納(インベントリ)から出した。


ヴォルフはチョーカーを見るや否や、それを瞬時に私の手から奪い取った。よっぽど欲しかったみたいだ。そして、チョーカーを咥えたまま、こちらをキラキラとした目で見ている。


私はヴォルフの口から、チョーカーを取り、ヴォルフの首にチョーカーをつけた。元々、サイズが大きくて、着けていなかったのだけど、ヴォルフにはピッタリだったみたいだ。


眠い……


もうだいぶ夜遅くになってきた事だし、そろそろ寝よう。私はベッドに寝転がった。ヴォルフが寂しそうにこちらを見ている。


「一緒に寝る?」


私がヴォルフにいうと、ヴォルフは頷き、ベッドへと飛び乗った。私はヴォルフに腕を回した。ヴォルフはモフモフだし、温かい。丁度良い抱き枕なのだ。


私はもう片方の手で燭台を引き寄せ、ふっと軽く息を吹いて、灯を消した。


ヴォルフはただの獣?


気に入ったら、ブクマ、評価、感想などよろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ