8話 超鈍感
恋愛要素が入ります。リュウゼ視点が入ります。
リュウゼは不思議そうな顔をしながらも、私の隣に座る。
そして、私はリュウゼの頰に手を添える。すると、リュウゼが笑顔を崩した。
「え、ちょっ。」
急にリュウゼが焦りだした。私は身を乗り出し、自分の顔をリュウゼの顔に近づける。
「ま、待って!」
リュウゼは私の肩を押して、離れようとしているが、私の方が力が強いので、体勢は変わらない。
「こういう時は、僕から……」
なに言ってんだろ?
「別に大したことでもないのに。」
リュウゼが動揺している。何かトラウマでもあるのだろうか。なら、出来るだけ早く終わらせよう。
私はリュウゼの額に……
自分の額を当てた。
すると、魔法陣が私達を包み込む。よし、これで、念話は繋げた。
「へ?」
リュウゼが間抜けな声をあげる。
「念話は繋げたよ。」
私は淡々というと、リュウゼは自分の手で自分の目を覆っていた。どうかしたのかな?
「そうか。君はそういう人だったね……」
リュウゼはその体勢のまま、そんなことをつぶやいている。そういう人って、どういう人のこと言ってる?
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付与はちゃんとやってくれるようだ。良かった。普通は付与用の魔法は決まっているけど、イシェルは普通の魔法も付与することができる。
そんなことを考えていると、イシェルが口を開いた。
「ここに来て。」
そして、彼女は隣を指差した。
えっと、これは隣に座れということ?僕は不思議に思いながら、彼女の隣に座る。すると、僕の頰にイシェルが手を添えた。そして、
「え、ちょっ。」
もしかして、これは……
彼女は身を乗り出して、自分の顔を僕に近づけ始めた。
これは……キス?
「ま、待って!」
彼女の肩を押して、抵抗してみるが、彼女の方が力があるので状況は変わらない。
「こういう時は、僕から……」
そういってみたが、彼女はキョトンとして、
「別に大したことでもないのに。」
と返すだけ。キスが、奪われる!どうせなら、僕からがいいのに。
彼女はどんどん顔を近づけてくる。
そして、僕の額に彼女は自分の額を当てた。
すると、眩い光が一瞬放たれた。
「へ?」
思わず、間抜けな声をあげてしまった。
「念話は繋げたよ。」
彼女はそういった。てことは、さっきのは念話を繋げるため……
僕は恥ずかしさを紛らわすために、手で目を抑えた。
「そうか。君はそういう人だったね……」
そういえば、彼女は恋愛なんて欠片も意識していない人だった……
「はあ。」
僕は今日一番の溜息をついた。
青春ですね。
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