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プロローグ 〜戦友〜

 空中に表情されたYOU.WINという文字とともに鳴り響くファンファーレと、周りから聞こえる観客たちの歓声。

「詰まらん」

 黒づくねの男剣士は目の前に倒れている剣士を一目見てから、この会場を後にした。


 この世界は、現在世界で大ブームを起こしている実体感3DRPGゲーム「FF(ファイティングフィールド)」の中だ。

 言葉のとうりFFはコントローラを頭に設置しゲームの中にダイブし、本当にゲームの世界に入り込んだような体験ができるのだ。

 FFは、この実体感3Dゲーム、詳しくはDC(ダイブコントローラ)を使って行える唯一の格闘ゲームなのである。


「つまんねぇ〜」

 男は頭にかぶったDCを脱ぎ、不満そうな顔をしながら、机の上を置いてあったジャガイモチップスをとってきて、袋を開けて食べ始めた。

「も〜、みんな弱すぎるんだよ。馬鹿なの?ちゃんと練習してから挑戦してよね」

 ブツブツ呟いてるこの俺の名前は覇竜陸斗(ハリュウ、リクト)。年齢16歳、職業ニート。何処にでもいる高校受験で落ちて途方にくれたニートだ。

 俺はこうして毎日FFをやっている。家賃?そんなのFFで稼いでるに決まってんだろ!

 FFにはプロモードというものがあり、正式にFFからオファーがあったもののみに与えられるものだ。プロモードはそのなのとうり、プロです。勝てばお金をもらえる。負ければ逆にお金を取られる。まぁニートにとっちゃ最高の仕事だけどな!

 そして、話がうって変わるのだが、両親から一昨日メールがきたのだ。

『私の家の近所の子を預かることになったのだけれど、貴方も知ってるとうり私は働かなくちゃいけなくて面倒が見れないの。だから、2日後くらいにその子が貴方の家に着くから。よろしく頼むわね。愛しの母より』

「何が愛しの母よりだ!ぶっ○すぞ!俺だって忙しいんだよオラ!俺にもう一人養う金も体力もねぇんだよ!」

 たく。ニートに子ども預けるとか頭おかしいんじゃないの?

 ピピピピピピ…。

 おっとメールか?

 俺はベットの上の携帯に手を伸ばし、中身を確認した。

「おっとお袋からか。俺を怒らせといて呑気にメールたぁいい度胸してんじゃねぇかよ!」

 しかし、俺は中身を見て、怒りが薄れていくのがわかった。

『言い忘れてたけど、預かった子の家賃は出してあげる。あとお詫びにお小遣いも1.2倍にしてあげるから。愛しの母より』

 お母様…貴方を今日ほどいい母親だと思った日はないよ。

「にしても、どんな子だろ…」

 噂をすれば、ピンポンとインターホンがなった。

 俺は急いで玄関に向かいドアを開けた。

「はい。どちら様で?ってうわぁ!眩し!あぁまぁとにかく入って入って」

 ニートは日が苦手なものだ。

 俺はその子を家の中に入れて顔を見て絶句きた。

「あ…えっと…」

 女ぁあ?!マジで言ってんのかよ!

「え、え〜っと…君が預かることになった子?」

 ヤバイ…俺のタイプどストレートですね、はい。

 金髪のロリ系といったところか。

 目は大きくて髪は背中まで伸びていて、胸が小さいのはロリっぽさを強調させている

「あ、はい」

 お母様。ありがとう。ホントにありがとう。

「えっと、まぁちょっときたないけど上がって」

 そう言うと、俺は次に出てきた言葉にまたもや絶句した。

「私にきたない廊下を歩かせるの?何様のつもり?」

 何様はどっちじゃ!誰が養ってやると思ってんだこのクソガキ!

「え、えっとゴメンね。ちょっと今回は我慢してもらえるかな?」

 なんで俺が下っ端扱いさけなけゃいけないんだ!

「ダメ。ちゃんと雑巾掛けして」

「はぁ?!」

 んだこの野郎!マジ何様だよ!。

「さぁ。早く」

 ちくしょう…まぁ今回はしょうがねぇなぁ!。でもほんとなんなんだよこいつ。礼儀ってもんが全くない。

「はいはい分かりましたよ!」

「はいは一回です。私は貴方をこんな子に育てた覚えはありませんよ?」

 いや育てられてないから覚えてなくて当然ですよと言いたかったが、話が面倒なのでやめておいた。

 クソ!なんでニートが雑巾掛けしなきゃいけないんだ!

 俺は雑巾を絞ってたたたっと雑巾掛けし始めた。


「ハァ…ハァ…。お、終わった…」

 やっと終わったよもう。

「え、えっと…じゃあ上がって」

 彼女は靴を脱ぎ、綺麗に揃えてから上がった。

「お邪魔します」

 育ちはいいのだろう。でも人に対して態度が悪すぎるだろ。

「名前は?俺は覇竜陸斗。今日からよろしくな」

「…天道零」

 俺は自分が毎日こもっている部屋に案内するのがとても嫌だった。しかししかたがないのだ。何故ならここは超ワケあり物件なのだ。

 一体なにがワケありなのかと言うと、部屋が二つしかないのだ。

 そのうち一つは物置と化していて、もう一方は俺の部屋というわけだ。

「ゴメン、部屋が二つしかなくて、俺の部屋しかないんだ」

 俺は嫌々ながらも扉を開けた。

 零が次は一体なにを言ってくるか覚悟を決めた。しかし、

「す…すごい…。機械がたくさん!」

 え…?

 零は俺の部屋をすみずみまで探り始めた。

「すごい!パソコンが3台も!あ!これって…」

 零が手にしているのはDCだった。

「DCだよ。ダイブコントローラ。知ってるの?」

 そう聞くと、零は眉間にシワをよせ、不機嫌そうに言った。

「当たり前でしょ?こんな有名なものを今時知らない人とかいるの?」

 まぁ確かにそうだよなぁ。

「兄貴はいつも何やってるの?」

 あ、兄貴!?。俺に兄貴と言われる日がくるとは…。

「FFかな。知ってる?」

「知らない」

 即答かよ!。

 まぁ知らなくても無理ないか。こんな女の子がRPGやってるってギャップもいいけどね。俺は。

「えっと…やってみる?」

 俺は恐る恐る聞いた。ずっとソロだったからタッグもやってみたいと思ってたんだよ。

「うん!やりたい!」

 よっしゃキタコレ!

「てゆうかDC持ってる?自分の…」

「当たり前でしょ?」

 零はカバンをあさり、ドヤ顔してDCを見せてきた。べつにドヤ顔するほどじゃないと思うんだけど…。

「じゃあ今回は買ってあげるからちょっと貸して」

 俺は零からDCを貸してもらい、パネルを操作した。

 い、一万円もするのかFF…なかなかだなおい…。

 一万円っていったらおれのお小遣いに匹敵するぜ?マジだよこれ。

 とても嫌だったが購入してしまった。

「このゲームってどんなゲーム?」

「まぁかんたんに言えばRPGMMOだよ」

 零は顔を一瞬ニヤつかせたかと思ったが気づいた時には普通の顔に戻っていた。

「それじゃあ俺は先にログインしてるから」

 DCをかぶり電源を入れる。

 零も同じようにDCをかぶっている。

 零のDCは色違いでピンク色になっている。これって確か限定じゃなかったっけ…。

 まぁとにかくログインしないと。

 俺はゆっくり目を閉じた。

「ローディング。スタート!」


 目を開けると、そこにはたくさんのプレイヤーと、中央のでかい噴水があった。

「零は設定とかあるよな…」

 零は初ログインなので、色々とゲームの設定とかがあるのだ。

 設定するのは、タイプ。特殊スキル。ステータスポイントだ。タイプってのは、自分のコントロールするキャラクターの扱う武器のことだ。種類は、両手剣(セイバー)(ランサー)(アサシン)(ファイター)片手剣(ナイト)魔導士(メイジ)(アーチャー)狙撃手(スナイパー)。この中からメインタイプとサブタイプを選ぶのだ。

 特殊スキルとは、プレイヤーの特殊な能力を使うことができるスキルだ。脚力をあげたり、体を頑丈にしたりと、種類は多種多様である。

 ステータスポイントとは、RPGゲームではよくある、各能力数値を強化するものだ。

 あぁ、他にもペイントもできるようになっている。ペイントとは自分の操作するアバターをデザインするものだ。でも、化粧髪染めレベルのことしかできない。流石に整形レベルのことまでできたら、犯罪に発展しかねないからだ。だから、女の子なら相当時間がかかってもおかしくないだろう。


 15分後…

「終わったよ〜」

 手を振りながら零が歩いてくる

「マジ遅せぇよ!」

 15分?!リアル化粧レベルだぜおい!

「お前名前本名と同じにしたんだ。まぁお前にネーミングセンスがあるとは思わないけど」

 零の名前はそのまま「レイ」と頭の上に表示されていた。

 レイは俺に指差して怒った表情で言った。

「そんなこと言うならあんたはなによ!ハクトって、どっかのアニメか」

 まぁ確かにアニメっぽいのは否定できん。

「覇竜の「ハ」と陸斗の「クト」を合わせたんだ。どうだ」

 レイはあまり興味なさそうだが、これでも俺は考えた方なんだぞ?

「レイはなんのタイプにしたんだ?」

 レイは頭にトンガリ帽子をかぶっている。

「メイジとランサーよ。ランサーの槍と魔法の組み合わせはいいと私は思うのだけれど…」

 なかった…俺にはそんなアイデアは浮かばなかったが、結構あってると思う。

「ハクト、あなたのタイプってなんなの?ステータス確認してもセイバーしか出てこないわよ?」

 ふふん!気づいたか。だが!

「すまない。これはちょっとまだ教えられない」

 ちょっとした裏技みたいなものさ。まぁ楽しみにしておいてくれ。

「しかしあんた…全身真っ黒じゃない。あなたそういうキャラなの?」

 かっこいいじゃん!この黒いコートにグローブ。お気に入りを侮辱するな!。俺はソロではなかなか上の方なんだよ!

「こういうのが好きなんだ。気にするな」

 こんなやり取りを続けていると、周りがやけにうるさい。一体これは…

「漆黒が女を…」

「あいつ彼女いたの?!」

「似合わねぇ〜」

 クソビギナー共…ぶっ飛ばしたろか?

「ねぇハクト。漆黒ってだれのことなの?」

「さ、さぁ…誰のことだろ…」

 実は、俺はこの格好とクールキャラから「漆黒」と呼ばれるようになってしまったのだ。

「そ、それじゃあどこか探検しようか!」

 あまり目立たないとこにいかないと、あまり変な噂立てられたくないんだ。こんな調子で大丈夫かぁ?

「おい…今日こそ勝負してくれるよなぁ」

 デカイ男三人組が近づいてくる。こいつらは以前俺に勝負をふっかけてきた奴らだが、あいにく用事があって断ったのだ。

 てか、今日はレイもいるしなぁ…

「すまないが見てのとうり、今日はこいつをFFについて色々教えようと思ってるんだ。今日は諦めてくれ」

 しかし、男たちはニヤっと笑うと、レイを指差して言った。

「よし!俺ら二人とお前ら二人で勝負だ!初心者に最初に教えるのはやっぱバトルじゃねぇとなぁ!」

 あちゃぁ…確かにバトルを教える必要はあるけど、こいつらじゃ相手にならないな…


「三人…」


「ハ?」

 男は目を丸くしている。


「三人。同時に来い」


 一瞬空気が凍りつくのがわかった。だが心配いらない。俺が負けるはずないのだから。

「……プ、アハハハハ!!お前ら彼女の前だからってカッコつけすぎだぜ?」

 か、彼女って、

「私はこいつの彼女なんかじゃないもん!」

 そ、そうだ!もっと言ってやれ!

「うし、ならこうしよう。俺らが負けたら10万ゼニーやるよ。ただ、お前らが負けたら、その女を俺によこせ!」

 な、なにいって、

「なにいってんのよ!なんで私があんたのものにならなきゃいけないのよ!この肉団子!」

 肉団子…なかなかのネーミングセンスだ。見直したぞレイ!

「大丈夫だレイ、俺は負けない。それより良かったじゃないか。10万もあれば装備一式買える金額だぞ?」

 しかもなかなかの強さのものだ!

「ホント?!」

「ああホントだー」

 これで交渉成立だな!

「よし、勝負はチームデスマッチでいいな?」

 チームデスマッチとはその名の通り、チーム同時の殺し合いだ。チームデスマッチは、チームのメンバーに差があろうと関係が無いため、相手が三人、俺らが二人でも、関係ないのだ。

「コロシアムでいいな?」

「ああ」

 男からPK挑戦状が届いた。

 俺の実力、思い知らせてやるぜ。


 ***


 チームデスマッチはタイム制限はない。とちらかのチームが全滅したら負けだ。

「お前、戦い方わかる?」

 たったさっき始めたばかりだし知ってるわけないよな…


「呪文なら全部覚えた」


 なんだこいつ…。新手のチーターか?!いやいやそんなはずはない。

「や、槍も使えるのか?」

「中1の時に少し、まだ初段だけど…」

 なんだよこの女!ちょっとで初段?!ランサーの皆様に謝りなさい!

「そ、それじゃあ、お前は右、俺は左と真ん中をやる」

「了解」

 いっくぜぇぇええ!

 俺は右脚に全体重を乗せて蹴り出した。そして、左の敵めがけて扇をえがいて突っ込んでいく。

 レイも同じように右の敵に走って行ってくれているようだ。

「うおぉぉぉおお!」

 俺は右脚を軸に一回転して、剣を敵のうなじ目掛けて左上から右下にかけて叩きつけた。

「あぐっ?!」

 敵はそのまま吹っ飛んでいき固まっている。

「次はてめぇだぁぁあ!」

 俺はさっきの回転の力を利用して攻撃を試みるが、敵はナイト。片手剣の逆の盾で防がれてしまう。

 立て続けに攻撃を繰り返すが、盾で攻撃が阻まれる。

「きゃあ!」

 レイが敵に飛ばされてしまった。相手はアサシンで、スピードを強化しているようで、攻撃がとても素早くなっている。

「レイ!」

 くそ、現実とゲームじゃやっぱり感覚が違うのか…

「仲間の心配をしている暇はねぇぜ!」

 こっちの敵も攻撃してくるのでレイに応援にいけない。

「くっ!」

 今は目の前の敵だ。早くしないとさっき吹っ飛ばした奴も帰ってくる。

 こいつの盾は大きい。長年の知恵でわかる。デカイ盾は素早い攻撃を防ぐのが困難なはずだ。しかし、ただ速いだけじゃダメだ。四方八方から攻撃するのが特作だ。

「これならどうだ!」

 俺のステータスはスピード重視に組まれている。

 俺は敵の右後ろに飛び、振り返ると同時に攻撃。しかしガードされた。でもこれを繰り返せばガードしきれないはずだ。

「あぁぁぁぁあぁァァアアアア!!!」

 目にも止まらぬ速さで敵を斬りつける。敵はもう限界に達したようにガードしきれなくなり、攻撃を許した。

「うっ!」

 今はレイが危ない。

 俺はこいつを倒すのを後にし、吹っ飛ばしてからレイの方へと駆けつけた。

「じゃぁまぁだぁぁァアア!」

 俺は手に込めた会心の一撃をレイに襲っていた敵に殴りつけた。

「大丈夫か?」

 レイは体力が半分以上減っていた。

「あとは任せろ」

 そう言って俺は振り返ると、向こうね三人組が一斉に呪文を唱えている。

「な、なんだ…」

 三人の下に大きな術式が書かれていた。

「「……サード。エンハンス。イリュージョン!!」」

 そう言い終えると、激しい地鳴りとともに三人は輝きだした。

「嘘だろ、あれはこの前使用禁止になった。不正融合魔法じゃねぇか」

 不正融合魔法とは、その言葉のとうり融合魔法で、あまりに強すぎるので使用は禁止に指定されたものだ。しかし何故…

「違法ダウンロードか…」

 ネットで違法にダウンロードすることはできる。きっとそれを使ったのだろう。

「これは隠してる場合じゃないな」

 秘密にしておくつもりだったがこんなに早く使うことになるとは…。

 俺は目を閉じ、呪文を唱え始めた。

「マイストレージ。ソード。ナンバーツー。ジェネレート!」

 そう告げると、俺の剣を持っている逆の手にもう一つの両手剣が現れた。

「ちょっと、無理してみるか」

 俺は深呼吸してから、精神を研ぎ澄ませた。

「スキルコード」

 急がなければ。もう敵は融合し終わる寸前まできていた。


「リミッター!」


 このコマンドに聞き覚えがあるのか、観客が騒ぎ出した。そう。これは、超禁断魔術。超強化魔法なのだ。


「リリース!!」

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