第90話 最後の願い
チカッッッ!!
黒の台座が黒く眩く光り、その黒い光がどこまでもどこまでも上に伸びていく。
「さあさっさとずらかるわよ愚民ども!!」
ジャンヌが言った。
「「「「「?」」」」」
疑問符をとばしながらジャンヌを見るメンバー。
「…あんたら馬鹿?」
ジャンヌが呆れたように言った。
「此処、今から崩れるわよ?」
「「「「「え」」」」」
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ
メンバーが聞き返すと同時に足元が激しく揺れ始めた。
「ななな何で?!」
ソラが聞いた。
「台座の光が連結するからよ!!」
「はあ?!」
「一気に下まで行くわよ!!ジャックと豆の樹!!」
もももももももももももも
ジャンヌの豆の樹はメンバーを乗せてセイクリッドを飛び出した。
「…?あれ?止まったよ?」
「本当にゃ〜」
「いやー!!こんな高い所で止まらないでー!!」
ジャンヌの豆の樹は物凄い高い場所で急停止した。
「まあ見てなさいって」
ジャンヌが言った。
すると
「あ!青い光!!」
ルゥが指差した。
「こっちもだぜ?」
シャーンが言った。
各地の台座が強く輝きだした。
すると青い光が西向きに直進した。
「わぁ!怖いけど凄いわ…!!」
青い光を受けた赤い光が南東に直進し、その光を受けた黄色の光が今度は北西に直進した。
「ゲヘヘ!メルヘン!!」
黄色に輝いた緑の光は南西に直進し、その光を受けた白い光が北東いある青い台座へと直進した。
…と、まあこんな感じで
「凄い…!!」
「綺麗…」
ネィバーランドが星型に輝き出した。
「見て!」
ルゥが言った。
「月が遠退いてく!!」
今までとても大きく見えていた月が徐々に離れていった。
「…終わったんだな」
シャーンが言った。
「じゃあ私達が…」
「…世界を救ったにゃー!!」
アミュが言った。
「メルヘンの勝利ね!!」
「もう何とでも言えパー子!!」
「ははは…みんな?」
ソラが言った。
「高度、落ちてるんだけど?」
「「「「え」」」」
「いっけね☆MP切れだわ!」
ガクン
「「「「「ふざけんなあああああああ!?」」」」」
「めんご、めんご」
「「「「「ふざけんなあああああああ!?」」」」」
メンバーは下へ下へと落ちていった。
パタパタパタパタ
誰かが複数駆けていった。
「…ふへ?」
ルゥが起き上がった。と同時に頭に乗っていた湿ったタオルが足の上に落ちた。
「…ここは…」
「ふにゃー!!やめ…ろ?」
アミュが隣のベッドから飛び起きた。
「…ふにゃ?マイティはどこにゃ?」
「知るか?!」
ルゥが突っ込むと
「…なんだ?もう朝飯か?」
シャーンが反対隣で起き上がった。
「ふぁ…あれ?ここは?」
その隣でソラも目を覚ます。
「ここは…シャイア城だね」
ルゥが言った。
「?なんで…俺らが城にいるんだ?」
シャーンが尋ねた。
「さあ?」
ルゥが返すと
「め…め…メルヘン女神!!」
ジャンヌがくしゃみをしながら目を覚ました。
「いや、くしゃみかさっきの?!」
「ねへ」
「??意味分かんないにゃ?!」
「…おはよぉ〜」
最後にエリアが目を覚ました。
コンコンっ
「?…どうぞ」
ルゥが言った。
「失礼します」
扉が開き、メイドが現れた。
「…皆様、お目覚めになられたんですね?」
メイドが一礼すると言った。
「うん」
「はい。では身支度が整いましたら、大広間までおこし下さいね!」
メイドは一礼すると部屋を出ていった。
「「「「「…大広間?」」」」」
メンバーが顔を見合わせた。
「…とりあえず行ってみる?」
ルゥが言った。
「「「「「うん」」」」」
ぱーんぱーんぱーんっ
「「「「「「!」」」」」」
メンバーが大広間に入ると勢いよくクラッカーが弾かれた。
「「メリ〜クリスマ〜ス!!」」
同時に複数の声がした。
「…へ?」
呆然とするメンバー。
「ってかなんでお前らが城にいるんだ?」
ルゥが言った。
「へっへーん♪驚いた?」
クロレカが言った。
「サンタさんを牢屋に入れてきたのさ!」
カーフェイが言った。
「トラを消したらぁ王子様が消えちゃうもんねぇ?」
ヴェルナが言った。
「あ。そだったね」
ルゥが言うと
「はにゃ〜?仮面取ったにゃ?」
アミュが言った。
「だ、黙れ!」
「うわセルシオが王子の格好してる?!」
ルゥが言った。
「メイドが…勝手に…」
「仮面取らなきゃ城に入れてもらえなかったのよぉ」
ヴェルナが言った。
「そしたらメイドに捕まって…はっ!…この様よぉ」
「テメェ今鼻で笑いやがったな?」
「はっ!格好良いんじゃないのぉ?」
「黙―…」
「きゃー!!セルくーん!わたしをお姫様にしてー!きゃー!!言っちゃったー!!」
クロレカが言った。
「なっ?!」
顔を赤らめるセルシオ。
「やぁんプロポーズぅ?クロ?」
「えへっ♪」
「ヴェルナちゃん…私と―…」
「コモい」
「…うん。そう言うと思ったよ?」
カーフェイが肩を落とす。
「成程成程…となるとクロレカは王妃か…」
「ご、誤解するな!!王子はお前だ!!」
セルシオが言った。
「…」
「…」
沈黙が流れる。居た堪れない雰囲気。
「にゃ…にゃはー!!美味しそうなケーキにゃ〜♪」
アミュが言った。
「で、でしょ!?わたしが作ったの!!」
クロレカが言った。
「にゃに?!す、凄いにゃ〜!!」
「本当ね〜!」
「えへへっ♪わたし、もの造りは得意なの!だから門番達も―…はうっ!」
クロレカが言ってる途中で気付く。
「…」
「…」
再び沈黙が流れる。居た堪れない雰囲気。
「も、門番達も、みんな無事だったのね!!」
「はい!リアラ様とエフラム様のお陰ですエリアさん!」
ステイが言った。
「ステイ!無事だったんだね?」
「はいソラさん!ぼく、無事でした!」
「ウチの鞭を喰らって無事とは…なかなかやるわね!」
ジャンヌが言った。
「は、はい…痛かったです…でも」
ステイが微笑んだ。
「…お陰で記憶が戻りました!ありがとうございます!」
ぺこり
「ゲヘヘ!!もっともっと誉めなさい?」
「調子乗んなよ三編み」
「テメェがな畜生!!」
「俺なんかした?!」
ジャンヌが突然キレたので焦るシャーン。
すると、
「きゃー!!シャーン様ぁああああた!!!!!」
「っ?!パティ!?」
シャーンが飛び上がった。
「なんだ最後の"た"は?!」
「私、心底…心底心配致しましたわああああた!!」
「だからなんなんだよその"た"はー?!」
シャーンが逃げ出す。
「待って下さいシャーン様ああああた!!!!」
「!?殺気!?」
シャーンがぴコーンってなる。
殺気がした方を振り向くシャーン。
「…」
セルシオがシャーンをガン見していた。
「セルシオ?!お前っ…シスコンだったのか?!」
「なっ?!」
「「「「「「ぶっ!!」」」」」」
その場に居合た全員が吹き出した。
「…極短足…」
顔を赤らめたセルシオが静かに言った。
「…死にたいか?」
「!」
もンの凄い殺気。
「それとも…逝きたいか?」
「対義語言ってる様で同じこと言ってるぅぅぅ?!」
「妹想いのセルくんも素敵ぃーーーー!!!!!!」
こうしてシャーンはシャイア兄妹に追い掛けられることになった。
「…騒がしいねぇ…いひひっ♪」
「楽しいのは良い事でしゅ〜」
「うんうんそうだよ―…うわ!?」
「ルゥ様ぁ〜☆ふ〜ふ〜ふ〜♪」
オーネストが現れた。
「約束…覚えてましゅかぁ?」
「約っ―…」
ルゥが蒼白の顔色になる。
「ふふっ♪ルゥ様ぁ〜♪」
「ふざけんなあぁぁぁぁあぁぁぁぁあぁぁぁ!!?」
ルゥが逃げ出した。
「あぁんっ!待ーって下しゃーいルゥ様ああああた!!」
「"た"ってなんだああああた!!?…あ。うつった」
「食事中に走り回るのは失礼ですよ!?」
「あっはっ!いいじゃんポライトぉ〜♪」
「あはは〜駄目ですよルード、未成年なのにお酒飲んじゃ」
「…好きにさせとけケアレス。手遅れじゃ」
「あはは〜そうですねークルーエル!」
バタバタする会場。
「元気だにゃ〜」
アミュが言った。
「…むー…」
「にゃ?どうしたにゃメガネ?」
アミュがジャンヌに言った。
「むー」
ジャンヌは唸っていた。
「…メガネ?」
ジャンヌの視線を追ってみるアミュ。
するとそこにはシャーンが走っていた。
「…にゃふ…っ♪」
アミュが微笑んだ。
「ヤキモチかにゃ?メガネ?」
「!」
我に帰るジャンヌ。
「な、何言ってるのよ?!」
「にゃは〜♪赤くなってるにゃ〜♪」
「メルヘンが弾けただけよ!!」
「意味分かんないにゃ〜♪」
「成敗してつかまつる!!」
しゅぱーん
「にゃ?!」
ジャンヌが薔薇の鞭を持ち出した。
「成敗!!」
「にゃー?!」
アミュが逃げ出した。
「まぁったく…元気ねみんな?」
エリアがそう言いながらソラを向く。
「…」
「…ソラ?!」
ソラからはどす黒いオーラが発生していた。
その目線の先には
「鰐の…丸焼き?」
エリアが言うと
「鰐…鰐…鰐…鰐の…丸焼き?」
ソラが言った。
「鰐は…鰐は爬虫類の王様だぞコラああああた!!」
「それ流行ってるの?!」
「出てこい!!これ作ったヤツ出てこいコラああああ!!」
「そそそそソラ?!」
エリアが焦ると
「しっかしエリアちゃんは可愛いいなぁ?」
「はい?!」
エフラムの声に振り向くエリア。
「どや?俺とお茶でも―…」
「ちょーっと待ったぁ!!エリアちゃんとお茶するのは私だあ!!」
カーフェイが入ってきた。
「なんやて?!大将はヴェルナ様がおるやろ?!」
「エフラム死にたいぃ?」
「私はレディは平等に愛したいと思う!!」
「「「きっしょい」」」
「わーんっ!!ってか何気リアラちゃんまで?!」
「…すみません。つい」
「うわーんっ!!エリアちゃーん!!」
ガバッ
「きゃあ?!」
カーフェイがエリアにしがみついた。
「何してんねや大将?!俺もやる!!」
「きゃあああ?!」
続いてエフラム。
「あらあらモテモテねぇエリアちゃん?」
「いやああ!?たっ、助けてソ―…」
振り向いて初めて気が付いた。
「…ソラ?」
ソラはいなくなっていた。
「…」
ソラは中庭にやって来た。
「…此処?」
ソラが空に向かって問い掛けた。
『…そうだ』
何もない所からピンキーの声がした。
「…君は生きてるの?」
ソラが言った。
『…我は死んだ』
ピンキーの声が返す。
「ならなんで会話出来るのさ?」
『願いを叶えること…それが我の存在理由だ』
ピンキーが言った。
『だからせめて…三つの願いの中の最後の一つであるお前の残った願いを叶えるのだ』
「…」
『そうすれば…我は完全に消滅する』
ピンキーが言った。
『お前の願いを憶えているか?』
「…"早く帰りたい"?」
ソラが言った。
『そうだ…ではその願い、叶えてやるぞ』
ピンキーが言うと、ソラの周りが輝きだした。
「わ!?透けてきた?!」
『…これでお前は元の世界へ帰れるのだソラ』
ピンキーが言った。
「…ありがとう…」
ソラが微笑むと
『…さらばだ』
キンッ
その音以来、ピンキーの声を聞くことはなかった。
「…」
ソラの体は徐々に透けてゆく。
「元の…世界…」
ソラが呟くと
「ソラ!!」
後ろから自分を呼ぶ声がした。
「…エリア?」
振り向くと、エリアがそこに立っていた。
「何も…」
エリアが口を開いた。
「…何も言わずに…帰ろうとしたの?」
エリアが言った。
「え?べ、別にそんなつもりは―…」
「だって!…あなた…透けてきてるじゃない…!!」
「エリア…」
「…酷い」
エリアうつ向いた。
「酷いよソラ…」
「…ごめんねエリア」
ソラが言った。
「でも…僕は帰らなくちゃ」
「…ヤだよ…」
エリアが言った。
「…」
「ヤだよぅ!!なんでいなくなっちゃうの?!」
エリアが震える声で言った。
「…それは」
ソラが口を開いた。
「僕が異界人だから…」
「…っ」
「此処にいちゃいけないから」
ソラが言った。
「だから…此処でさよならしなきゃいけないんだよエリア?」
冷たい風が吹き、二人の髪がなびく。
「…どうしても?」
「…うん」
「…………………そっか」
エリアが涙を拭った。
「…そうよね…ソラは…向こうの人だもんね…」
「…うん」
「帰らなきゃ…いけないよね…」
「…うん」
エリアがソラを向いた。
「えへへ…ワガママ言って…ごめんなさい」
無理矢理微笑むエリア。
「ソラ兄ー!!」
「「!」」
後ろから旅の仲間達が現れた。
「!ルゥ!!みんな?!」
ソラが言った。
「どうして?!」
「いひひっ♪驚いた?」
「う、うん」
「ウチは全知全能の神だからね!!」
ジャンヌが言った。
「意味分かんねえよ三編み」
シャーンがツッコミを入れると、ソラに向き直った。
「…"さよなら"ぐらい言わせろよな!」
「っ!!」
ソラが驚いた。
「にゃは〜♪そういう事にゃ〜♪」
「みんな…!」
アミュがまとめた。
「いひひっ♪今までありがとう!!バイバイソラ兄!!」
「あばよモヤシ!!最後に三回捻り潰したかったわ!!ゲヘヘ」
「にゃーバイバイにゃー!!忘れないでにゃー!!」
「じゃあなソラ!楽しかったぜ!!」
「うんっ!僕も!!」
ソラが微笑んで言った。
「バイバイ…ソラ…」
エリアが言った。
「うん…バイバイみんな!!ずっと…忘れないから…!!」
この言葉を最後に
しゅぱんっ
「「「「「っ!」」」」」
ソラが消えた。
「…行っちゃったにゃ…」
「…そだね」
「寂しくなるわね!!」
「…元気いっぱいじゃねえか」
シャーンが首にかかっていたヘアバンドを持ち上げた。
「いひひっ…泣いてるのシャーン?」
ルゥが言った。
「う、うっせっ!」
「にゃはは…短足が…泣いてるにゃ…」
「な、何だよ…泣くなよ姉御…」
「愚民ども…こういう時は…メルヘン全開よ!!」
ジャンヌが言うと
「「「「うわーんっ!!」」」」
四人が泣き出した。
「…ふふっ…ソラ…」
ソラが立っていた所を見ながら
「…大好きだよ」
エリアが呟いた。
しゅぱんっ
ばふっ
「った?!」
ソラがベッドに落ちた。
「ぼ…僕の部屋?」
辺りを見回すソラ。
「…帰ってきたんだ」
ゴンゴンっ
「!」
ノックする音がした。
『お兄ちゃーん?早く朝ご飯〜っ』
「…雲?」
『お兄ちゃーん?八時だよー?』
「ええ?!い…今行くっ!」
ソラは部屋を急いであとにした。
こうして無事世界を救う事が出来たメンバーは、それぞれの生活に戻っていきましたとさ。
+ + + おわり + + +