第83話 セルシオとルゥ
「…みんな…」
ルゥが言った。
「にゃー!!死なないでにゃー!!」
「姉御…」
「そうよルゥ!こんなの…おかしいよ…!!」
「エリ姉…」
「ふざけんなよルゥ!!」
「シャーン…」
「駄目だよルゥ!!」
「ソラ兄…」
「ぺっぺけぽー」
「パ…パー子…」
メンバーを見るルゥ。
「…これでもお前も消えたいのか?」
セルシオが言った。
「…っ」
「お前はルゥなんだ」
「…違うっ!ルゥはお前だ!!」
ルゥが言った。
「俺は"酷薄"のセルシオだ」
「!」
セルシオを向くルゥ。
「…お前は…王子だ」
「人殺しの王子が何処に居る?」
「…っ」
ルゥが言った。
「でも…サンタの魔力で先に進めないだろ…!?」
「…はっ」
鼻で笑うセルシオ。
「な、何だよ?」
「これだから素人は困る」
「これにプロとか居るの!?」
「…それは正面からの話だ」
「!」
「そこの変態がなんとかしてくれるそうだぞ?」
セルシオが言った。
「変態?」
振り向くルゥとメンバー。そこには
「やっほー!"イケメン"カーフェイ様だぞー!!」
「「「「「「…」」」」」」
あいたたたぁ…
「コモいわねぇ…邪魔」
ドスッ
「おわ!?」
カーフェイを退かすヴェルナ。
「黒の台座ならぁ、私達の部屋からも行けるわよぉ?」
「!…本当なのか…?」
ルゥが言った。
「嘘ついてどうすんのぉ?」
「えへっ♪でもね?」
クロレカが現れた。
「わたし達のどの部屋が繋がってるのか分かんないんだぁ!」
・・・
・・・・・・
「「「「「え?」」」」」
メンバーが聞き返す。
「ん〜…確かに繋がってるハズなんだけどぉ…それがこのコモ男か、私か、シャイ男か、クロか、どの部屋からなのか…分からないのよねぇ〜」
「コモ男!?」
「喧嘩売ってんのか露出狂」
「高いわよぉ?」
「俺の財布をなめんなよ」
セルシオが言った。
「…ルゥにそっくりだな…」
「喧嘩売ってんのかシャーン」
「わぁ!そっくりね!!」
エリアが驚く。
「にゃは〜♪面白いにゃ〜♪」
「でもよかったぁ」
ソラが言った。
「はぇ?」
ルゥがソラを向いた。
「ルゥがいなくならなくて」
ソラが微笑んだ。
「!」
ルゥが驚く。
「わぁ〜ん!!ソラ兄〜!感動だよぉ〜!!!!」
ルゥがソラに泣きながら抱きついた。
「…シャイ男が泣くとこうなるのね♪」
ヴェルナが言った。
「な!?何言ってやがる露出狂!?」
セルシオが言った。
「ははぁん?可愛いいわねぇ?」
ルゥを見ながらヴェルナが言った。
「や、やめろ!!見るな!!」
「取り乱したセルくんもかぁっこい〜!!」
クロレカがクネクネする。
「わぁ〜ん!!」
「クソっ…泣くなテメェ!!十七だろ!?」
ルゥに叫ぶセルシオ。
「ば…馬鹿おま…オレは実質五歳だぞ!?」
「関係あるか!!!!それは俺の顔だ!!!!」
「よしよしいい子ね?ゲヘヘ」
ジャンヌがセルシオの頭をポンポンした。
「テメェっ!?殺されてぇのか?!」
「ちっこいのぉ」
「テメっ―…」
「ゲヘヘ!!154.5ってとこかしら?」
「っ!!」
「…へぇ?シャイ男くんは5年で5ミリしか伸びないんだぁ?」
ヴェルナが言った。
「ぶっ…ぶっころ!!!」
「小さいセルくんも素敵ぃ〜!!!!」
クロレカが言った。
「うわぁ〜ん!!」
「よしよし。今日はルゥの大好きなスパゲティ作ってあげるからね?」
ソラが言った。
「へぇ?シャイ男くんはスパゲティがだーい好きなんだぁ?」
「…異界人め…余計な事を…!!」
「お子様メニューが好きなセルくんも素敵ぃ〜!!」
「で、どうやって見付けるんだ?」
シャーンが言った。
「にゃ!そうにゃ!どうするにゃ?」
アミュが言った。
「人の部屋に入るわけにはいかないわよね…」
エリアも続く。
「それは私達が責任持って探しますよお嬢さん?」
「きゃあ!?」
いつの間にかエリアの脇に現れたカーフェイ。
「さ、じゃあ探しましょうかぁ?」
ヴェルナが言った。
「そうだね!じゃあみんなはゆーくり休んでてね!行こセルくん♪」
「…5ミリ…5ミリ…」
「落ち込んでるセルくんもかぁっこい〜♪」
こうしてトナカイは右の扉に姿を消した。
「良い人…みたいね?」
「ふにゃ〜♪そうみたいにゃ♪」
「5ミリ!!」
「そっか…!オレ…セルシオと5ミリしか変わんないんだな…!!」
「よかったなルゥ」
「足はオレのが長いけどねシャーン?」
「くそ…くそぉ…!!」
「…じゃあご飯にしようか?」
ソラが言った。
「「「「「おー♪」」」」」
メンバーは家へと入っていった。
「わぁ…大分月が大きくなってきたわね…」
エリアが一人家の外に出て、セイクリッドの窓から外を見て言った。
「もうすぐ…」
ガチャッ
家の扉が開いた。エリアが振り向くと
「!…ソラ!」
「あ、エリア!どうしたの?」
ソラが家からスパゲティを持って出てきた。
「ソラこそスパゲティ持って何処に行くの?」
エリアが聞いた。
「ん?あ!トナカイに差し入れしようかと思って」
ソラが言った。
「そう…行ってらっしゃい、気を付けてね?」
「うん」
ソラが右の扉に入っていった。
「…」
再び月を見上げるエリア。
「…もうすぐ」
「いやぁーよかったにゃ〜!!一時はどうなるかと!!」
アミュが言った。
「ゴメンねみんな」
ルゥが言った。
「消えたいなんて…もう言うなよ!?」
「シャーン…」
「折角…初回の方から出続けてんだからよぉ…!!」
ほろり
シャーンがうっすら涙を浮かべながら言った。
「いひひっ♪うん!」
「毛玉ー?」
ジャンヌの声がした。
ばんっ!!
ジャンヌの部屋の扉が開いた。
「ふにゃ?何―…」
「ウチのパダーマ(パジャマ)知らなーい?」
「にゃ!?」
「うっ?!」
「ちょっ!?」
三人の動きが止まる。
「?どったのよ?」
「「「タオル一枚で出てくんなよ?!!!」」」
同音で突っ込む三人。
「ん?…あ」
ジャンヌが下を向いた。ジャンヌはバスタオルを体にぐるーって一回巻いてあるだけの姿だった。
「…イヤン☆」
「「イヤンじゃねぇ!?」」
バタッ…
シャーンが倒れた。
「わ!!シャーンが触発された!?」
「あら、刺激が強すぎたかしら?ゲヘヘ」
「いーから早く着るにゃー!!」
「だからパジャマが無いって言ってるじゃない」
「あー分かった分かった!!一緒に探してあげるにゃー!!」
「フレンチね!!」
「はいはいはいはい!」
アミュとジャンヌが部屋に戻っていった。
「…」
シャーンを向くルゥ。
「…シャーン?」
そしてしゃがんだ。
「…一緒に探してやったら?」
「アホか!!!?」
シャーンが状態を起こした。
「いひひっ♪真っ赤だよ?」
「う…うるせ―…」
ばんっ
「あったわ!!」
ジャンヌが再びタオル一枚で現れる。
「「いちいち報告すんな!?」」
「にゃー!!早く着るにゃー!!」
「分かったわ」
スル―…
「部屋で着替えろアホ――――――――っ!!!?」
シャーンが叫んだ。
「てへっ☆」
「てへっ☆じゃねぇっっ!!!」
「なんにゃー?!ワザとやってるにゃ!?」
アミュが言った。
「ゲヘヘ!!入るわよ!!」
ジャンヌが戻っていった。
「ほほう…?」
ルゥがにやける。
「ったく…」
呆れながらソファーに座ろうとすると
「…両想いだね?」
「!!」
ズコッッッ
シャーンがズッコケた。
「な…何言って!!!?」
シャーンが言った。
「よかったねシャーン?春が来たよ?」
ルゥがソファーから顔を出しながら言った。
「だ…だからぁ!!なんの事だっっ!?」
シャーンが立ち上がりながら言った。
「パー子」
「っ!!!?」
顔を赤くするシャーン。
「み、みみみ三編みが何だってんだ!?」
「好きでしょ?」
「ずっ!?」
シャーンが固まった。
「いひひっ♪」
「そんな事言うのはこの口かァァ―――――っ!?」
「ひたたたたっ!?」
シャーンがルゥの頬を左右に引っ張った。
「俺がっ…な・ん・だっ・てっっ!!!?」
「ひゃはらぁ〜ひゃ〜んはぴゃ〜ひょの事しゅひなんひゃろ?」
「はっはっはっ!ぜ…全然分かんねぇ!!」
「ひょ〜ひょもひ!!」
「全然分かんねぇ!!全然…分かんねぇぞ!!」
「嬉しいクセに…」
「っ!」
両手に力が入るシャーン。
「ひた――――――――――――――――っっ!?」
「…」
「?どうしたのセルシオ?」
ソラが言った。
セルシオはスパゲティを睨みつけている。…仮面で見えないが。
「セルくん?美味しいよ?」
クロレカが言った。
「いやぁ〜凄いわねぇ炎クン!美味しー♪」
ヴェルナが言った。
「流石美少年…」
カーフェイが言った。
「あ、口の周りにソースついてますよ?」
ソラがカーフェイに言った。
「なっ!?と…取って―…」
「コモい。フリーズ」
カチンッ
カーフェイが固まった。
「ははは…セルシオ、スパゲティ嫌いなの?」
ソラが聞いた。
「…」
「ソラくんお代わりー♪」
「はいはい」
「やたー♪」
クロレカが再びスパゲティを食べ始める。
「…スパゲティ…」
セルシオが呟いた。
「あらあらん?シャイ男はスパゲティがだーい好きなのよねぇ?」
ヴェルナが言った。
「うっ…煩いっ!」
セルシオが言った。
「…スパゲティなんかっ」
「!」
ソラが驚く。
「ご、ごめんねセルシオ!?…スパゲティ…嫌いだったんだね…?」
ソラが言った。
「えっ?」
セルシオが焦る。
「差し入れに持ってきたんだけど…迷惑だよね?」
「えっちょっ…」
セルシオの皿を持ち上げるソラ。
「邪魔してごめんね…」
ソラが立ち上がった。
ニヤニヤしながらヴェルナがセルシオを見る。
彼は非常に焦っていた。
「それじゃ…」
ソラが回れ右すると
「まっ、待て!!」
セルシオがソラを呼び止めた。
「?」
振り返るソラ。
「…す…」
セルシオが言った。
「…スパゲティは…大好きだ…!!」
(ぶっ!!)
心の中で爆笑するヴェルナ。
「本当!?」
ソラが言った。
「あ…ああ…」
「よかったぁ!!はい!じゃんじゃん食べて!!」
「い…頂きく…」
そしてセルシオがスパゲティを食べ始めた。
「ソラくんお代わりー♪」
「私もお願いするわぁ?」
「はいはい」
仲良くスパゲティを食べるトナカイでした。
「私…凍ってるんだけど…?」
知りません。
「ただいまぁ〜」
ソラが家に戻ると
「ソラ!?助けて?!」
エリアが走ってきた。
「へ?」
「ととと…兎に角!!ききききき来て!!」
「わ!!」
ソラの腕を引っ張っていくエリア。
ソラがリビングに入ると
「シャーン!?」
「たすけてソラ兄!!!!死ぬっ!死んでしまう!」
ルゥが叫んだ。
「シャーン!?何して…!?」
「シャーー!!!!!!」
シャーンは獣になっていた。
「どうしようソラ!?」
「どうしようったって…」
ルゥを見るソラ。
ルゥはひっかき傷やら痣やら切傷やら何やら酷い状況だ。
「激しく関わりたく無いなぁ…」
「同意するわソラ…」
「見捨てないで二人とも!?」
ルゥが言った。
「でも…ねぇ?」
「そう…ねぇ?」
顔を見合わせる二人。
「そこー!!仲良くラブラブしなーい!!」
ルゥが叫んだ。
「ら…ラブラブって…!!」
エリアの顔が赤くなる。
がちゃっ
「にゃー?どうしたにゃー?」
「あ!アミュ!!助けて!」
ソラが言った。
「ふにゃ?」
「ゲヘヘ!!楽しそうね!!」
ジャンヌも現れた。
「ふぁ…眠いにゃ…」
タンタンタン…
階段を降りるアミュ。と
ぶくぶくーっ
地面から吹き出るジャンヌ。
「よかったぁ…どうなる事か―…」
「キーーーーー!!!!」
エリアが叫んだ。
「エリア?!」
「シャーン!?しっかり押さえてなさい!!」
「よしきた!!」
「ゲヘヘ!!交ぜて交ぜてー!!」
「「よしきた!!」」
「ぎゃあああああああ!?助けてーーーーー!!?」
「ごめんねルゥ。おやすみ」
パタン
「無理にゃ無理にゃ。おやすみにゃ」
パタン
「薄情者ーーーー!!!?と言うかいつの間に階段上がったぁ!!!?」
「シャーー!!!!!!」
「キーーー!!!!!!」
「ゲヘヘヘ!!!!!!」
「ぎゃああああああああああああああああああああああああああああ!!!!」
この日はルゥの叫び声が絶えない夜になりましたとさ。