第8話 フロル
「…クスクス。なぁにその攻撃?」
「っ!!」
煙が晴れると、そこには傷一つついていないフロルが立っていた。
「あなた頭悪いわね。なんでフロルみたいな魔物がアクリウムを選んだか解らないの?」
小首を傾げながらフロルが言った。
「…?」
油断なくフロルを睨みながら疑問符を出すシャーン。
「うふっ。あなたちょっとタイプだから教えてあげるわ。」
口に手を当てながらフロルが
「私は樹属性よ?水属性の魔法や武器は効かないの」
って言った。
「水属性の武器?!」
驚いたように自分の大砲を見るシャーン。
「きゃはは♪さらに教えてあげるわぁ」
そんなシャーンを見て楽しそうに笑うフロル。
「っ?」
シャーンが大砲から目を離してフロルを睨みつけると
「なんでフロルが年に一度しか犠を取らないのか解る?」
異常なまでに口角を吊り上げながらフロルが言って、もう一本の腕をシャーンに向けた。
「マヂかよ!?急いだ方が良いじゃん!!」
ソラから事情を聞いたルゥが驚いたように言った。
「うん。そだね〜」
頷くソラ。
「ゆるいなっ?!」
ルゥもツッコミ担当のようですね。
「おっ!アレじゃね?ソラ兄」
扉を指さしながらルゥが言うと
「見るからに怪しいね」
頷きながらソラが言った。
「行くよ!」
「うん!」
ギィッ
と扉を開けるルゥ。
部屋に入ると
「「!?」」
壁に押さえつけられているシャーンとエリアが二人の目に飛び込んできた。
「…なんて言ったのう?」
ゆっくりとフロルがシャーンに聞き返す。
「ゴホッ…興味ねぇって言ってんだよ…」
血を吐きながらシャーンが答えた。
「シャーン…?!」
この状況に顔色を悪くするソラ。
「ほほう…これは恐らく」
その隣でルゥが考えながら
「あっちがエリアでこっちがシャーンだね?ソラ兄?」
って言った。
「たぶん」
自信無さ気に頷くソラ。
「「オイっ!?」」
ルゥとシャーンが同時にツッコミを入れた。
意識が薄れているのに素晴らしいですね。
「なぁに?お友達い?」
ゆっくりとソラ達の方を振り向きながらフロルが言うと
「うわっ、キモっ!?」
フロルの顔を直視して思わず突っ込むルゥ。
「ルゥ!?」
率直過ぎるツッコミにひやひやするソラ。
しかし、遅かった。
「…キモいですってえ?」
ガタガタと震え出すフロル。
「あっ、ヤベっ」
口に手を当てながらルゥが言うと
「うん。ヤバイね」
コクンと頷くソラ。
フロルの殺気がガンガン伝わってくるので、ソラとルゥは武器を手に取った。
「あら。動けないわ。」
そんな時フロルが言った。
「「は?」」
予想外の言葉に思わず聞き返す二人。
フロルは両手が塞がっているので動けないのでした。
「ちゃぁ〜んすっ!!」
透かさずフロルに攻撃を仕掛けるルゥ。
「ボルトっ!!」
ルゥが叫ぶと、電撃がフロルに向かって走っていった。
しかし
バリバリバリバリっ
「うわぁぁぁっっ!!?」
突然フロルと電撃の間にシャーンが現れた。
「なにっ!?」
ルゥが驚いていると
「あらぁやだ。ごめんなさいねぇ?」
腕で自在にシャーンを動かしながらフロルが言った。
「シャーン!!」
黒焦げになったシャーンに向かって叫ぶソラ。
「死ね。白髪チビ」
「なぁ!??」
次の瞬間、ルゥはフロルの尻尾に直撃した。
よってルゥが後方にふっ飛ぶ。
「ぐわっ!?」
壁に激突して悲鳴をあげるルゥ。
「ルゥ!!」
ソラが慌ててルゥの元へと駆け寄ろうとすると
「あらぁ、もう一人いたのう?」
ソラに気が付いたフロルが言った。
「っ!」
フロルに声をかけられて驚くソラ。
「うふふ なかなか男前ねえ?」
そんなソラに舌舐めずりをしながらフロルが言った。
「はい!??」
どうなるソラ!?