第55話 門番
「あらあら?ステイピットじゃないでしゅか!」
高窓から外の世界を見下ろす五人。
「ああ?アイツ漸く帰って来やがったか…ったくスイカ買うのにどんだけかかってん―…」
「あはははは〜でもスイカ持ってませんよ〜?折角僕がデコピンで街まで飛ばしてあげたのに〜」
「アホかアイツ…」
「…ステイピット、手配中の連中を連れてますよ?」
「わぁ!本当でしゅ〜♪銀髪クン格好良いでしゅ〜♪」
「あんた玉の輿でも狙ってんのぉ?」
「でへへ〜♪」
「…何騒いでやがる?敵だ。さっさと配置に着け」
「「「「了解!」」」」
「これがぼくらの城"、セイクリッド"です!」
メンバーの目の前には気が遠くなる程高い黒い塔が建っていた。
「凄い…」
「まふまふ〜」
「…ステイは此処で何をしてたにゃ〜?」
「過去形にしないで下さい?!ぼくは"門番"です!」
((((!!))))
「さぁ入りますよ?」
そう言って巨大な扉に手を当てるステイ。
「ルヴニール!」
ステイがそう言うと、巨大な扉が開いた。
「凄〜い!」
「では参りましょう!」
そう言ってセイクリッドに入っていくメンバー。
「…入っちゃたわね…」
「入っちゃたね…」
「まふ〜…」
「腹括れよ」
「何キャラだ猫!?」
「俺様の台詞だぞコラ」
「煩いよチキン」
「ききき〜」
そんな小声で話すメンバーを遮るように奥の扉が開いた。
「……よぉステイピット?」
毛糸の帽子を被り、オレンジ色の短い髪を持った、ソバカス面の少年が現れた。
「クルーエル!」
ステイが言った。
「ワレはスイカ買うのにどんだけ時間使うとんのじゃ」
「ご…ごめんなさ―…」
「他にも謝る事があるやろ?」
棘のある声でクルーエルはステイの言葉を遮った。
「え?」
「解らんのか?」
メンバーの方を見るクルーエル。
「何ワレは敵を招いてんねや?」
「そ、そんなっ!?」
メンバーを振り返るステイ。
「ソラさん達が…敵!?」
「奴らが手配中の奴らとも解らんのか?…茶髪に金髪に銀髪に猫…そのまんまやないか」
「う、嘘だ…」
「…感情だけで行動すんな」
ステイの胸ぐらを掴むクルーエル。
「だからワレは愚か(ステイピット)なんじゃ!!」
ドスッッ
「くっ…!?」
クルーエルがステイの腹を殴った。そのまま気を失うステイ。
「「「ステイ!」」」
「ステっち!!」
クルーエルが武器をとったメンバーを目だけで見て言った。
「おどれら ワシに手ぇ出す気か?」
「ステっちを返すにゃ!」
「コイツは元々ワシらのもんじゃ」
「まふ〜!!」
「…まぁいい。相手してやるわ」
クルーエルが言った。同時に
ガコンっ
「「「「!?」」」」
床がなくなる音がした。
「…上がって来れたらな」
「「「「うわああああ?!」」」」
落ちていくメンバー。
「ワレはこっちじゃ」
クルーエルはステイを掴んだまま扉の奥へと歩いて行った。
「痛っっ…!」
ルゥが起き上がった。
「…?なんだここ?」
そこはルゥ以外誰もいない白い世界。
「あれ?みんな?」
歩き出すルゥ。すると
まふんっ
「!?」
妙な感触が足に。
「え?何この床!?」
「雲ですよ」
「ああ成程!だからまふんって―…」
ルゥが気付く。
「誰だ!?そして雲には乗れねぇだろ!!!?」
秘技"同時突っ込み"。
「何言っているんですか。現に貴方は雲の上に立っているではないですか。」
振り返るとそこには黒い短髪のスーツを着た子供が立っていた。
「敵っ?!」
「正解です。僕の名前は"ポライト"。どうぞお見知りおきを…」
そう言った次の瞬間。
ガインッ
「…良い…反応ですね」
「あっぶねぇだろ!」
ポライトのトンファーを鍋の蓋で防ぐルゥ。
「…何ですかそのふざけた武器は?」
「いひひっスゲェだろ?」
ザシュッ
「っ!?」
ルゥの鍋の蓋がフォークに変身した。同時にポライトの頬をかすめる。
「これがオレの武器だ!」
「"トランスショッキング"ですか」
「ああ…え?何!?」
知らない武器名をいきなり敵に言われて驚くルゥ。
「トランス…つまり変身する武器です」
「ショッキングは!?」
「食器です」
「洒落!?」
「つまりその武器は食器にしか変身しません」
「使えねぇ!!」
「厄介ですね」
「厄介なの!?」
「覚悟してください」
「うわ!?」
ルゥとポライトの戦いが始まった。
「いったいにゃ〜!!」
アミュが起き上がった。
「はにゃ?ソラソラ?」
誰もいない緑色の世界。
「にゃ〜…?」
「え〜…猫ちゃんでしゅかぁ…?」
「はにゃ!?」
素早く振り向くアミュ。
「オー銀髪クンがよかったでしゅのに…」
「誰にゃ!?」
そこにはウェーブがかかった水色の長い髪を持った少女がクマのヌイグルミを持って立っていた。
「オーは"オーネスト"でしゅ〜♪覚悟してくださいでしゅ!」
「ふにゃ!?」
ピョコンっ
クマのヌイグルミが地面に立った。
「いんでぃあふたぬ〜ん?」
「…?!」
クマが変な言葉を発した。
「やぁん可愛いいでしゅ〜♪」
「か、可愛いいかにゃ?」
「オーのクマたんを侮辱しましたでしゅね〜?!許しましぇん!!」
アミュを睨めつけるオーネスト。
「行きなしゃい!クマたん!!」
「ぐ〜てんもると?」
「何で妙に発音が良いにゃ!?」
バスンッッ
「にゃっっ!?」
予想外に怪力のクマたん。アミュはクマたんの拳にぶっ飛ばされた。
「でへへ〜♪弱い弱い弱いでしゅ〜♪」
「負けないにゃっっ!!」
「何処だ?此処…」
ソラが辺りを見回す。赤い世界。
「誰もいないなぁ…」
「いるわよぉ?」
「っ!?」
振り向くソラ。
「…あんたひょろいねぇ?羨ましいわー」
茶髪を右側に上げて一つに縛っているガングロちゃんがいた。
「…敵?」
「そぉだねーウチは"ルード"。よろしくー」
「えっと、ソラです」
「んー成程ー?炎ね?ウチと一緒じゃん!茶髪も同じだし…」
「そうだね〜」
ガチンッ
剣と剣とがぶつかり合う。
「わっ!剣もー?これって運命!?」
「そうかもねっ!フレイムアタック!!」
「あはっ♪技も!フレイムアタック!!」
激しい炎が衝突した。
「水色しか無いわねこの部屋…」
「まふ〜」
「ききき」
「エリたん大丈夫かコラ?」
「ええ大丈夫よ」
「…速くボクの上から退けよ水女」
「え?あっ!ご、ごめんなさい!!」
エリアがイオから降りた。
「水色だらけで壁だか床だか解らないわ…」
「まふ〜」
「やぁエリア」
「!」
その声に振り向くエリア。
「ソラ!?」
そこにはソラが立っていた。
「まふ〜♪」
「やぁガブ」
「イヤン♪ソラ〜」
「イオも」
「…?」
「?どうしたのクリオル?」
「…なんかあのソラ坊おかしくないかコラ?」
「?」
ソラを見るエリア。
「…そうかしら?」
すると
「クリオル、ちょっとこっち来て?」
ソラが言った。
「…」
「? どうしたの?」
「…何でもないぜコラ」
そう言ってソラの方へ飛ぶクリオル。
すると
ガチョンっ
「「「「「!?」」」」」
ソラが小動物達を檻に閉じ込めた。
「ま、まふ!?」
「きききききき?」
「ちょっソラ!?」
「逃げろエリたんコラ!!」
「え?」
エリアが戸惑った。
「な、何してるのソラ?」
「ん?」
振り向くソラ。
そしてエリアに近付く。
「邪魔されたくなかったんだ…」
「え?」
ソラはエリアを抱き締めた。
酷く赤面するエリア。
「大好きだよエリア」
「「ええええええ!?」」
イオとクリオルが突っ込んだ。
「待て待て待て?!どんな展開だコラ!?」
「そそそそソラ?!」
「まふまふ〜?!」
「きききききき〜?!!」
「う…嘘…?」
「嘘じゃないよエリア」
「だって今まで―…」
「皆が…邪魔だったんだ」
「ソラ…」
「…ごめん 目閉じて?」
「っ!」
「恥ずかしいから―…」
「う、うん…!」
そうして瞳を閉じたエリア。エリアの心臓はもう死にそうだ。
そうこうしてるうちにソラの顔が近付いていく。
「へくしっ!」
くしゃみをするソラ。
「どしたのー?風邪?」
「なんか寒気が…」
ルードの攻撃を避けながらソラが言った。
「んー?もしかして、あいつなんかやってんのかな?」
「…なんか…僕がとんでもないことやってる気がする…」
「あはっ♪なんかやらかしてるなアイツ!!」
「ああ…なんか僕のキャラが崩壊してる!!…気がする…」
んん?するとさっきのソラは…?
「…の野郎!仕込みトンファーとかあぶねぇだろ!」
「フォークの方が危険だと思いますが」
ルゥのフォークをトンファーで止めるポライト。
「それに―…」
ポライトがフォークを押し返した。
「僕の性別からして"野郎"は適切ではありませんね」
…
…?てことは
「女ぁぁぁ!?」
ルゥが叫んだ。
「失礼ですね」
ポライトが攻撃を続ける。
「…それに言葉遣いも乱暴です。王子が聞いて呆れますね」
「なにおう!?オレは紳士だ!!」
…言ってて恥ずかしくないかいルゥ?
「…なら、女性には手は出せませんね」
「はわっ!?しまった!!」
オイオイ。
「ふふっ。では、ガンガンいかせて貰いますよ!!!!」
「うぉあ!?」
ガガガガガガガガガガっ
「危なぁ!?」
鍋の中に入り身を守ったルゥ。
「よかったオレ小さくて―…」
何かに気付くルゥ。
「!!じ、自分で小さくてとか言っちゃった!!!!」
酷くショックを受けるルゥ。
すると外から声が聞こえてきた。
「いつまでそうしてるんですか?」
「!」
「…出てくる気がないならこちらからいかせて頂きます!ライトニング!!」
紫色の電流が鍋の中を激走する。そう。鍋は金属で下は雲。電気の威力が上がってしまう。
「痛ったいなぁもう!!」
いや痛いで済むのか?!
「もう怒ったもんね!!」
ルゥが言った。
「ファスチネイションサンダー!!」
「!!」
ルゥの叫びはまだ続く。
「連射ヴァージョン☆」
「わああああ!!!?」
ルゥの最大魔法がじゃんじゃん出てくる。
「…まさに"秘奥技"だね♪」
ばたっ…
ポライトが倒れた。なんかプスプスいってる。
それを見て
「正義は必ず勝ぁぁつ!」
ハイ。ルゥ君、キメました。格好良いです!!
「まりあてれじあ〜?」
「こんの…っ!意味解んないにゃっっ!!」
アミュが叫んだ。
「素敵!意味が解らないそんなあなたが素敵よクマたん!!」
「もなり〜ざ?」
「うっひゃあ☆」
「…ウザいにゃコイツら」
アミュがキレた。
「あたしの前でいちゃこくなー!!!!!!」
つまり、ひがんでる。
「エアリアルアイオロス!!」
「きゃあ!?」
「ぐだふたぬ〜ん?」
「まだまだぁ!!エアリアルアイオロス!!」
再びの最大魔法。
「四連段!!!!」
そう付け加えるアミュ。
魔法はその通り四連段をかます。
オーネストとクマたんが吹っ飛んだ。
「にゃは♪ソラソラに褒められちゃう☆」
ハイ。これがキメなんでしょうね。可愛いいヨ!アミュレリス!!