第54話 料理教室
この世界、ネィバーランドは不思議な事ばかり起きます。
魔法が使えたり、魔物が出たり、普通の人が普通に武器持ってたり、いつの間にか命狙われたり、違う世界のクセになんか文化がほとんど一緒だったり。
しかも最近は"モッペ"と言うよく分からない行事に参加させられたり…何故"猛ダッシュキャンペーン"なのにスーツを着たのか分かりません。
そんなとんでもない世界に入り込んでしまった県立高校二年生の僕。
何故か心臓を突き破られたのに生きてるし、ガブに選ばれるし、剣なんか触った事なかったのに普通に使えるし…本当に不思議な世界です。
僕をこの世界に引き込んだガブ、オーブ、いつもレヴェル☆アップの時にやってくるシルエリは一体何者なんでしょうか。
そして、オーブには"願いを叶える力"があるのに何故それで世界を救わないんでしょうか。
…とか考えてみたり。
こんにちは。船酔いでゲロゲロのソラです。
今僕達はセイクリッドに向かう船の上。
そして今は僕視点で話するみたいですね。よろしくお願いします。
「にゃ〜海は広いにゃ〜」
「まふまふ〜♪」
「船旅はいいわね〜♪」
「ききき♪」
「もうすぐセイクリッドですね!」
「そだね。」
「そう言やステイはなんでセイクリッドに行きたいの?」
「おうそう言えばそうだなコラ」
「はいルゥさん!ぼく、セイクリッドに住んでるんですよ」
「「「「ええ?!」」」」
「まふ〜!?」
「きき!?」
「本当かコラ!?」
「嘘?」
て事は、ステイは…"敵"?
「?…そう言えば、皆さんは何をしにセイクリッドへ行かれるんですか?」
「え?…えっと」
「ま、まふ…」
「れ、礼拝よ!」
…礼拝?
「うんそうそうそれだよ!」
「エリたんの言う通りにゃ〜♪」
「おう流石エリたんだぜコラ」
しゃあしゃあと…
「そ、そうですよね!オーブ様も喜ばれます!」
オーブ…様?オーブってセイクリッドの人なの?じゃあなんで僕に…?
「オーブ様の予言は素晴らしいですよね!」
予言?
「この世界の"法律"みたいなものだよ」
「へぇ〜」
ありがとうイオ!君はいつも僕を助けてくれるね!ってか心が読まれてる気がしてならないよ!
「ん…?そう言えば、ぼく誰かを…」
「?どうしたにゃ〜?」
「はい…確かぼく、四人組をセイクリッドに入れるなって命令が出されてたんですよ」
え?それって
「確か…茶髪に金髪に銀髪に猫…」
ビンゴだよ!明らかに僕達じゃん!!
「「「…」」」
居た堪れない雰囲気…
「…皆さんにそっくりですね!」
え?
「な、なんでにゃ?!あたし達の事言ったのかと思ったにゃ〜!」
「馬鹿!猫娘!」
「え?…確かにそっくりですけど、ぼくが命令を受けて警戒してる人達は"予言"を無視している凄く悪い人達ですよ?」
…
「皆さんは月の落下を防ぐ為…この世界の為に頑張っていらっしゃるじゃないですか!皆さんが悪い人達なわけありませんよ!」
…ステイ?セイクリッドって月を落とそうとしてるんじゃ…?
「それに…初めてぼくに…ありがとうって…」
…?
『えー御搭乗ありがとうございました。まもなくセイクリッドに着きます。お忘れ物の無いよう、お気を付け下さい。』
もう着いたみたいですね。
「…なんか緊張してきたわ!」
「あ、案内はお任せ下さい!」
「任せたにゃ〜♪」
こうしてセイクリッドに着いた僕ら。
「にゃ〜…お腹空いたにゃ〜」
…この猫…
「そうだね姉御」
ちょっ!?ルゥまで!?
「船の中であんなにいっぱい食べたじゃないですか?!」
流石ステイ!
ぐうううう…
「…う」
ステイ!!
「ステイお腹空いたの?」
「え、エリアさん…はい」
ん?何こっち見てるのみんな?
「…ソラ」
「ソラ兄…」
「ソラソラ〜」
「まふ」
「きき」
「ソラ」
「ソラ坊」
…コイツら…
「とりあえず家出そうにゃ〜♪」
ドカンっ
「お腹空いたにゃ〜」
「もう夜だしね」
「大丈夫?ステイ」
「だ…大丈夫―…」
ぐうううう…
…
「ソラ」
「ソラ兄」
「ソラソラ」
「まふ」
「きき」
「ソラ」
「ソラ坊」
「ん?なぁに?」
「「「「「…ご飯」」」」」
「述語は?」
「「「「「作って?」」」」」
ははは。もういいよ
「解った じゃあなんか作ってくるね」
「うにゃ!」
「流石♪」
「ごめんなさい…」
「まふまふ〜♪」
さぁて何を作ろうかなぁ
今冷蔵庫にあるのは…
「…人参にじゃが芋…玉葱に…肉?」
蘇る記憶。
ははははははははは。
あれは不味かったなあ〜
…!あら?!今度は私視点?!
は、初めまして!エリアです。
「にゃ〜カレーチックな匂いがするにゃ〜♪」
あら本当。今夜はカレーね♪
「カレーと言えば…思い出すね…」
…う
「凄かったわね…あれ」
「…きき」
「? あれって何ですか?」
「なんか…群青色のカレー?」
「ぐ、群青色ですか!?…ルゥさんそれはカレーではないと思いますが…」
「そもそもなんでカレーが群青色になったかも謎ね…」
「「??」」
そうか。イオとクリオルは知らなかったわね。
「それはルゥちんを入れたからにゃ〜♪」
「姉御…」
いやルゥを入れても群青色にはならないと思うわ?
「そう言えば熱々の鍋に入れたのになんで魚とカタツムリは生きてたにゃ?」
「それは遠回しにオレを殺す気だったって言ってるよね…?」
「そ!そんにゃこと無いにゃ〜にゃははははは」
考えてみればシャーンが悪いのよね
…?シャーン?誰だったかしら?
「ソラソラの料理はいつも美味しいにゃ〜楽しみにゃ〜♪」
「まふ〜♪」
「…話題変えやがった」
「ルゥ落ち着いて?」
「ききき!」
「確かに美味しいですね」
「そうだなコラ」
本当ね…羨ましいわ…
「そう言えば、皆さんはお料理はしないのですか?」
!!
「「!!」」
「え?どうしたのですか?!」
それは絶対に触れてはいけないわステイ!!
「…出来ないにゃ…」
「駄目駄目じゃん猫娘」
「無理だよ…オレなんか包丁持ったことないし…」
「流石王子様だね」
「そんな!…駄目ですよ!それではソラさんが疲れてしまいます!」
「「「う…」」」
そうね…こんなんじゃソラに嫌われちゃう…
「…そんなこんなで、皆さんにお料理をお教えてしたいと思います!」
「「「本当!?」」」
「はい!」
「まふ〜♪」
…あれ!?今度はぼく視点ですか?!
ど、どうもステイピットです。よろしくお願いします。
「さぁ最初は何をすればいいにゃ?」
「あ、はい!まず目に入った物は全て入れていいと言うわけではありませんので、ルゥさんを鍋に入れないで下さい!」
「ふにゃ〜…」
な、なんかガッカリしてますね…悪いことしちゃいました…ごめんなさい
「ふにゃ〜…じゃないよ姉御!?」
「だってだって、人の肉ってどんな味〜?とか思わないにゃ?!」
「まふ?!」
「お、思わないわ…」
「そんなの自分で試せ猫!!?」
「にゃは〜あたしは猫だにゃ〜♪」
「こ、小癪な…!!」
「落ち着いけチビ助コラ」
「なにおう!?」
あわわわわ…
「お、落ち着いて下さい!」
「そ、そうよ!二人とも!」
ああエリアさん…助かります!
「それでは、包丁の使いからです!」
「にゃ〜い♪刃物にゃ〜」
「よ、喜ばないで下さい?!」
「そんでそれをオレに向けないでくれない!?」
「にゃ〜ん♪ルゥち〜ん♪」
「よ、寄るなああ!!」
あわわわわ…
「で、ではまず包丁を利き手で持ってまな板に乗っている食材をもう一方の手で押さえて下さい!押さえる手を…こうやって猫の手にするのが基本です!」
はぁ…これは大丈夫でしょう…
「にゃ〜ん♪猫の手ならあたしの得意分野にゃ〜♪」
「おい猫!!オレをまな板に乗せるなー!?」
「にゃ〜♪ちっこいからまな板にも簡単に乗るにゃ〜♪」
「ちっこいだと!?…テメェ!!」
「る…ルゥ!!」
「…まふ」
「…ききき」
あわわわわ…
「え、えっと!では早速食材を切ってみましょう!アミュさんはルゥさんを降ろして下さい!」
「にゃ〜…」
よかった…降ろしてくれました
「はい!じゃあまず普通に切ってみましょう!」
「「「うん」」」
ふ、ふぅ…大丈夫ですよね?
「こんなもん?」
どれどれ?
「あ、はい!とても上手ですルゥさん!」
「任せろ!オレはこの中で一番まともな気がする!」
控えめですね?!
「出来たにゃ〜♪」
アミュさんですか…どれどれ?
「っ!?」
「?どうしたにゃ〜ステっち?」
どうすれば全部猫形になるんでしょうか…?!
「これで…いいかしら?」
え、エリアさんはきっと大丈夫ですよね!どれどれ?
「っ!?」
「…やっぱり…駄目よね?」
「いや駄目と言うかそれ以前にエリアさんの傷を治して下さい?!」
「あ、これ?大丈夫!ただの擦り傷よ?」
何故食材を切っただけなのに擦り傷が出来るんですか!?それに血だらけじゃないですか!!
「にゃ〜♪お料理楽しいにゃ〜♪」
「猫!?やめれ!やめてくれ!?」
「アミュさん?!何する気ですか?!」
「まふ?!」
「アミュ落ち着いて?!」
「ききき!」
「次はダシを取るにゃ〜♪ルゥちんで」
「待て?!オレになんの恨みがある!?」
「? 何にも無いにゃ」
「何!?じゃあ何故!?」
「刺激が欲しいにゃ〜♪」
「馬鹿!!!?って熱々っ!?」
「ぐふふ♪」
「アミュ!?その笑い方キモいわよ?!」
「ままままふ〜!!」
「る、ルゥさんは昆布じゃありませんーー!!」
「熱ぅ――――――――――――っ!!!?」
ソラがリビングに戻ってきた。
「…何してんの?皆?」
「あ、ソラ!今ステイにお料理を教わっていたの!」
とてもそんな風には見えない。
「ソラさん!アミュさんを止めて下さい!!」
「まふまふ〜!!」
「ききき!」
「今の猫娘を止められるのはソラだけだよ」
アミュを見るソラ。
アミュはルゥを熱湯の中に入れたり出したりしていた。
「ソラ兄!!ヤバイ!!オレ!!もうちょっとで!!死ぬ!!」
「にゃはははははははははははははははははは♪」
そんな愉快な仲間達を見て
「群青色のカレー…食べる?」
「「「「!!!」」」」
全員の動きが止まった。
そんなのお構い無しにカレーを人数分皿によそるソラ。
「…食べないの?」
ソラが言った。
「ま…まふ」
「…そうだよね。群青色のカレーなんか食べたくないよね…?」
(((ひぃっ!!)))
(ってか、ぼく関係無いじゃないですか!?)
ステイ、心の叫び。
「…いいよ。捨ててくる」
「「「ま、待って!」」」
「…」
「「「頂きます食べさせて頂きます」」」
「…そう?」
(エリたん、ルゥちん…)
(…何アミュ?)
(…今まで楽しかったにゃ)
(ははは。オレはもうさっさと楽になりたいヨ)
(((いくよ…!)))
目と目で会話する三人。
そして…
パクッ
「…」
「……」
「………」
「「「……美味しい」」」
「これ…普通のカレーだし」
ソラが言った。
「「「「え?!」」」」
「だだだって群青色してますよ!?」
「ききき〜?」
「自然着色料使用」
「酷いにゃ〜ソラソラ〜」
安心しながらアミュが言った。
「うん。からかってみただけ。僕には有り得ない料理は作れないし、それに…」
笑顔。
「酷いのはどっちだ?」
「「「っ!!」」」
「…この前、僕にあのカレー食わせたよね?」
あのカレーすなわち群青色のカレー。
「…で?あれ皆食べなかったんだよね?」
ギクリ
そりゃそうだよ?あんなの食えるわけないじゃん
…でも
「「「ごめんなさい」」」
「ステイにガブにテトラにイオにクリオル?」
ステイと小動物を向くソラ。
「「「はははい!?」」」
ビビりまくりのステイと小動物。
「部屋に戻ってて?」
「「「はははい!!」」」
ステイと小動物達は急いで部屋に戻って行った。
「で、料理は作れるようになったの?」
ソラが問うた。
「「「…全く」」」
「じゃあ今度、僕が教えてあげるね?」
ん?優しいじゃないかソラ
「ほ、本当!?」
「うん」
「助かるぜソラ兄!!」
「うん」
「ソラソラ優しい〜♪」
「うん」
そして間を置いてから
「その前に一回逝け?」
「「「ぎゃああああああああああ!!!!」」」
こうしてメンバーはセイクリッドを目指すのでした。