第53話 スイカ
「ハイ、では参加するメンバーをご記入下さい」
受け付けのバニーさんが言った。
「ふにゃ〜了解にゃ〜♪」
『さぁさぁ今年の"モッペ"は二チームが登録されたるら!メンバーを紹介するゼベイべ☆』
そしてスポットライトが動いた。
『去年の優勝チーム!"ビ"のメンバーでするら!!リーダー、マイク!』
わぁ!と歓声があがる。
『続いてケビン、ジョン、シンシアるら!!』
わあああと歓声があがる。
『二つめは旅の仲間達!!"プリチー☆アミュレリス"!』
「ええ?!」
エリアが突っ込む。
「格好良い名前です!」
「ふにゃ〜ん♪流石ステっち!解ってる〜」
「…恥ずかしい」
『リーダー、ソラ!!』
「ええええええ?!」
隅っこの方で壁に寄りかかっていたソラにスポットライトが当たる。
『続いて、エリア、アミュレリス、ステイピットるら!!』
再び歓声があがる。
「…何でこうなる?」
『さぁ皆さんピチッとした格好に着替えて下さい!!控室にカモ〜ン☆』
着替え終わってステージに戻ってきたメンバー。
「…スーツ…」
「ソラさん似合ってますよ!!」
ソラとステイは白いスーツを着ていた。
「にゃ〜ドレスにゃ♪」
「…恥ずかしいわ」
エリアとアミュは黒いドレスを着ていた。
『さぁ着替え終わりましたね〜♪では早速ルールを説明るら〜』
そう言って少女、アマンダは説明書を取り出した。
『ルールは簡単!賞品を守りきって先にゴールした方が勝ちるら!!』
「…賞品って?」
「ワクワクだにゃ〜♪」
『賞品はこちら!』
メンバーの上の方から巨大な鳥籠が降りてきた。同時にステージが下がる。
「「「「!?」」」」
そして広々とした荒野が現れた。
『今回の賞品の登場〜♪』
完全に地面に着くステージと鳥籠。その中には銀色と…
「「ルゥ!!」」
「もが〜!!」
籠の中にはルゥと倒れているおっさんがいた。ルゥの服が何故か乱れていたが…
「もが〜もが〜!!」
「どうしたにゃルゥちん!?」
「もが〜!!」
「何言ってるにゃ〜?!」
「もが〜!!」
「んふ♪頭突きとはなかなかやるわねん♪ゾクゾクしちゃう☆」
オカマが鼻血を流しながら立ち上がった。
「もが!!」
「あん☆モガきゅん、アタシに声を聞かせて〜♪」
オカマ改めエリザベスがルゥの口のガムテープを剥がした。
「助けてソラ兄!!」
「ルゥ!!」
「あらん♪その子もなかなかタ☆イ☆プ」
「!?」
「あん☆いいわ…かんわいいコ♪」
ソラが青くなる。
「ソ…ソラ兄…」
「ちょっとソラに何言ってるのよ!」
エリアが言った。
「…女には興味ないわん」
「!?」
「アタシはかんわいい男の子が大好きなのん♪」
つまり、変態ということ。
『何言ってるるら!!ボスぅ〜もうそこから出てください!』
「ええ〜ん?まだモガきゅんに抱かれてないん!」
「キモい!消えろ!!」
ルゥが叫んだ。
「あん☆格好良い声…♪」
「うぜぇぇぇぇ!!!」
「もっと!もっと罵ってん!!!」
「はぁ!?」
「それがアタシの生きる糧となる!!」
鳥肌が立つルゥ。
「う、失せろ!!」
「あん快☆感」
「もう嫌だ――――――――っ!!」
『ハイハイハイ、出た出た』
アマンダに摘み出されるエリザベス。
「やぁん」
「「「「…」」」」
『さぁ仕切り直し!賞品はモガ君とセイクリッドへの旅行券です!さぁスタート位置について!!』
「セイクリッドへ行けるんですか!?」
目を輝かせるステイ。
「丁度良いにゃ〜♪」
「ラッキーね!」
「頑張ろう!」
「「「うん!」」」
メンバーがスタート位置についた。
『攻撃とかしてもオッケーでするら!相手を蹴落としてナンボるら〜♪』
「ええ?!」
『さぁ賞品をいち速く受け取って走っていってるら!!レディー…』
「あれ…オレ賞品?!」
『ファイッッッッ☆』
一斉にスタートするメンバー。
「頂き〜!!」
ケビンが籠を担いだ。
「おわ?!」
「「ルゥ!!」」
「ルゥさん!」
もの凄い速さで走っていくケビン。
「ちょっと待て?!そんなオレが欲しいのか?!」
言われてみればそうだね。
「おめえは要らねえよ!俺らはただ勝ちたいだけだ!」
ケビンが走りながら言った。ルゥ、軽くショック。
「!…は、速いわね!」
エリアが走りながら言った。
すると
ステンっ
「きゃ!?」
エリアが転んだ。
「あ〜らごめんなさいねー?足が長くて」
シンシアが言った。
「あ、足掛けなんて卑怯ね!?」
「うふふっ引っ掛かる方が悪いのよ!」
「何ですって!?」
「にゃ〜落ち着くにゃエリたん!」
少し離れた所からアミュが言った。
「おっと綺麗なお姉さん俺と遊ぼうぜ?」
マイクがアミュに言った。
「にゃ〜ん綺麗なお姉さんだなんて…!」
ステンっ
「ふにゃ?!」
アミュが転んだ。
「アホ猫」
マイクが冷やかした。
「足掛けにゃ?!」
「引っ掛かる方が悪い♪」
「殺ス」
「アミュさん!」
「おっとガキ!お前は俺とだ!」
ジョンが言った。
「!」
「足掛けしてやるぜ!」
ぐにょっ
ステイがジョンの足を踏んだ。
「痛ッッ?!」
「ごめんなさい足、邪魔ですよ?」
「何!?」
「それに、足掛けするなんて言ったら駄目です。バレますよ?」
「くっそ〜…」
「ルゥ!!」
こちらはケビンと並んだソラ君。
「ソラ兄!!」
「げ!もう追い付いた?!」
ケビンが言った。
「ルゥを返してもらうよ!えいっ!」
「おわ?!」
ソラがケビンを蹴った。
「ルゥ大丈夫?」
鳥籠を奪うソラ。
「ただいまだよソラ兄〜」
「くっそ返せ!先にゴールするのは俺らだ!!」
ケビンが言った。
「うん先にゴールしていいよ?」
ソラが言った。
「な、何!?」
「僕はルゥが帰ってきたからもう此処には用ないし」
「ソラ兄〜!!」
ルゥが感動する。
「へんっ!甘ったるい考えだな!」
「僕は甘いモノは嫌いだよ」
「ん?そうか…て、違う!!兎に角勝つにはそのチビが必要なんだ!」
ケビンが足掛けする。軽く避けるソラ。
「…どうしても勝負したいの?」
ソラが問うた。
「当たり前だ!!」
「…そう、じゃあ」
「?」
「死ね?」
笑顔。
「ソラ兄?!」
「バーンバニッシュ!」
「おわ?!」
バコ――――――――っン
突如虚空に現れた巨大な炎の剣がケビンに突き刺さった。ソラの最大魔法です。
「火加減はしといたよ!」
「っ!」
「行くよルゥ!」
「うん!頑張って!」
「ペリッシュオーシャン!」
エリアの最大魔法が発動する。
「きゃあああ!?」
「うわ?!」
「ぐわ!?」
マイクとジョンとシンシアが呑み込まれる。
「死ねカス」
「ふにゃ〜エリたん凄いにゃ〜♪」
「…怖いです」
「さぁソラに追い付くわよ!」
「「おー!」」
「…負けないわよぉ」
立ち上がったシンシア。
「ブリザード!!!」
びゅわっっっっっっっっ
吹雪がメンバーを襲う。
「「「!!」」」
「うふ♪凍えちゃいなさい?」
「負けないにゃ!ウィンドスパイラル!!」
「!」
アミュの風が吹雪を吹き飛ばす。
「小癪な!!」
ジョンが叫んだ。
「ウッドパイソン!!」
木の根が蛇の様にメンバーに襲い掛る。
「エアロブラスト!!」
アミュがジョンの魔法を掻き消す。
「にゃは〜雑魚いにゃ♪」
「く…」
「使えないわね!」
二人はまた走り出した。
「…待てよ!?お前らリーダー忘れてるぞ?!」
マイクが叫んだ。
「「知らね」」
「をい!?」
「遠いな〜ゴール…」
「ごめんソラ兄重いよね?」
ルゥが聞いた。
「うんそだね」
「なんか良い方法ないかな?」
「…あるけど…やらない方がいいよね」
ソラが呟いた。
「?何!?言ってみてよ!」
ルゥが言った。
「…ルゥをコロコローって」
「殺す気か!?」
「だから言ったのに…」
「何口尖らしてるの!?」
「もういいよ」
ソラはルゥの籠を持ち上げた。
「え?」
「それ〜」
コロコロー
「おわああああ!?」
「あっはっは 楽〜♪」
「殺す気かああああ?!」
「にゃ〜しつこいにゃ〜」
「まだ追ってきますよ!」
「どうにかならないかしら?」
エリアが考えた。
その時
「ブリザード!!!」
「ウッドパイソン!!」
「サンドラ!!!」
おっと、マイクが加わりましたね。
「バブルインパクト!!」
「エアロブラスト!!」
魔法を相殺する二人。
「もう面倒臭いにゃ〜!」
「アミュさん、エリアさんスイカ持ってますか?」
ステイが言った。
「ええ?!普通持ってないわよ!?」
「丁度ひとつ持ってるにゃ〜」
「なんで!?」
「アミュさんそれぼくにくれますか!?」
「いいにゃ〜はい!」
スイカを渡すアミュ。
「ありがとうございます!」
するとステイはスイカを噛った。
「?」
クルリと後ろを向くステイ。そして
「タネマシンガン!!!」
ステイがスイカの種を吹き出した。
「いやいやステイそんなんじゃ―…」
ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド!!!
「きゃあああ!?」
「うわあああ!!」
「ぎゃあああ!?」
ステイの種はもの凄い効いてる。
「凄いにゃ〜!」
「ど、どうなってるの!?」
エリアが聞いた。
「ぼく樹属性なんです」
「にゃるほど〜!」
「先を急ぎましょう!!」
「「うん!」」
「ダークネス!!」
黒い球がソラを襲う。
「うわ?!」
「ソラ兄!!」
ルゥの籠がソラの手から離れた。
「頂き!」
ケビンが言った。
「く…ルゥ!」
「ダークネス!!!」
「わっっ!!」
もう一発黒い球がソラを襲う。
「そこでお寝んねしてな!」
「くっそ…フレイムアタック!」
「当たるかよ!」
「リュミエール!!」
「?…発動しない!?」
ケビンが油断した次の瞬間
ボッッッッ!!!
「っ!時間差攻撃か!!」
ルゥを取り返すソラ。
「ダークネス!!!」
「わ!」
またまた黒い球が当たる。
「……しつこいね」
ソラが呟いた。そして立ち止まった。
「!?」
ケビンも止まる。
「しつこいのは良くないよ?」
「ソラ兄?」
「へっそれが競争ってやつだぜ!どんな手を使ってでも勝つ!」
「…そう」
「面倒臭いな…此処で決着付けようぜ?」
ケビンが言った。
「…いいよ」
そう言ってルゥを降ろすソラ。
「いいか?決着って言ったら魔法の速撃ちだ」
ケビンが言った。
「…速撃ち?」
「そうだ。此処で背中あわせに立って三つ数える。それと同時に三歩歩いて振り返って魔法を撃つ!」
「西部劇?」
ソラが突っ込んだ。
「?何の事だ?…まぁいい。此処に立て」
ケビンに促されるソラ。
そして指定の位置に立つ。そしてソラと背中あわせにケビンが立った。
「いいか?三つ数えるぞ」
「うん。バーンバニッシュ!」
バコ――――――――ン!
「うおい!?」
ソラは数える以前に最大魔法を放った。
「ひ、卑怯…」
「バーンバニッシュ!」
ボコ――――――――ン!
「バーンバニッシュ!」
ダコ――――――――ン!
「バーンバニッシュ!」
ドゴ――――――――ン!
「バーンバニッシュ!」
ズコ――――――――ン!
脅威、最大魔法五連発。
流石のケビンも黒焦げだ。そんなケビンに微笑むソラ。
「どんな手を使ってでも勝つんだろ?バーンバニッシュ!」
ガコ――――――――ン!
留めの一撃。
「さあ行くよルゥ!」
「え?あ、…………うん」
(………………おっかねぇ)
「にゃ〜ん!ソラソラ!」
「アミュ!みんな!」
アミュ達が追い付いた。
「みんな!大丈夫だった?」
ルゥが言った。
「ええ!ステイが倒してくれたわ!」
「そ、そんなとんでもない!」
「とりあえず今はゴールするにゃ〜!」
「「うん!」」
『ゴーォォォォォォル!勝者、チーム"プリチー☆アミュレリス"!!!』
わあああ!!!と歓声があがる。
「…そう言えば」
ソラが思い出した。
「"モッペ"って何さ?」
すると
「「「「? 猛ダッシュキャンペーン」」」」
「…」
(…カジノ関係ないじゃん)
こうしてメンバーは無事ルゥを取り返せました。
そしてメンバーはセイクリッドに向かうのでした。