表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
47/93

第47話 試練〜ソラ編〜

「何…コレ?」


ソラは辺りを見渡した。

キャッキャッと女子生徒達がざわめきあっている。

すると背の高い男が近付いてきた。


「君が転入生のキリサキソラちゃんだね?」


(…"ちゃん"?)


「さ、教室に案内するよ!付いておいで?」


そう言って男はソラの肩に手をまわした。


ゾワッ…


口ぶりからしてコイツは先生なのだろう。しかし髪が長めで金髪の上にワイシャツのボタンを開けすぎだ。


(…?!)


先生と目を合わさない様に下を向いたソラが何かに気付いた。


(はあ?!!!)


信じられなかった。でも現実だった。

ソラは今、スカートの丈がかなり短いピンク色の可愛らしいセーラー服を着ていた。細めの足がよく映えるスタイルだ。気付けば髪も短いなりに二つに縛っていた。


(何!?僕に何が起きたの!?)


「さ、着いたよ」


「!」


教室に着いた様だ。


「君は此処で待ってて?」


そう言って扉を開ける先生。


「やぁおはようプリンセス達?」


(うわうぜぇ…)


「「「おはようございますタイガー先生!!」」」


「ん〜今日も美しいね君達☆」


きゃ〜と言う声があがる。意外と人気があるタイガー。


「今日は君達に素敵なお友達を紹介するよ!」


(呼ばないで呼ばないで)


教室を見てすぐ解った。ここは…女子高だ!!


「…」


「ふっ…ハニカミやさんの天使ちゃんだね☆」


(きッッッも!!!)


あまりのサブさに仕方なく教室に入るソラ。

するとキャッと言う声があがる。


(気付いたか!?)


期待するソラ。が、


「「「可愛い〜♪」」」


(…は?)


「紹介するよベイベ☆今日から転入してきたソラちゃんだ!」


(だから"ちゃん"て付けるな)


「…?」


(な、何見てんのこの人?)


「ふっ…ホラ自己紹介っ☆」


そう言ってソラの(あご)に手を沿えるタイガー。

そう。よく見るキスする感じの手の沿え方だ。


(…!!!)


全身に鳥肌が立つソラ。


「きっ…キリサキソラです!」


「よろしい!じゃ皆ソラちゃんと仲良くするんだよ?」


はーいと言う元気な返事が返ってきた。


(いいからさっさとこの手を退けてくれ!!)









「ソラちゃん可愛いいね〜♪」


「え?そ、そう?」


休み時間、ソラは数名の女子生徒達に囲まれていた。


「でもこの顔は男の子でもイケるよね〜?」


(男の子です。)


「解る〜クリーンヒットかも〜!!」


「あたしもあたしも〜」


(…?)


「ねぇねぇソラちゃん!得意科目は?」


「り、理科…かな?」


「へぇ〜!!スゲー!!」


「じゃあじゃあソラちゃんは彼氏とかいるの〜?」


「い、いないよ!」


(いたらヤバイだろ?!)


「へぇ〜勿体な〜い!」


(…?)


「あ!もうこんな時間!はいこれソラちゃんの分!」


「?」


ジャージを手渡されるソラ。


(…まさか…)


「次の授業って…何?」


一応聞いてみた。


「? 体育」


(っ!?)


ヤバイヤバイ。このままだと皆着替え始めてしまう!


「ぼ…私、トイレ行ってくるね!」


「いっトイレ〜」


(何が"いっトイレ"かああああ?!)


そう思いつつ走って教室を抜け出すソラ。


(つうか女子高に男子トイレなんかあるのか…?)


ご名答。この建物には男子トイレは職員用しかなかった。仮に職員用男子トイレに入ったとしても、今のソラのままだとただの変態だ!


(!…あそこに隠れてよ!)


そう言って駆け込むソラ。


「…ふぅ…誰もいない」


扉を閉めるソラ。

そのまま奥の机の影に隠れる。


(全く…何なんだコレ?)


座り込むソラ。すると


カツッカツッカツッカツッ


(!誰か来る!!!)


ガラガラガラガラ


入ってきたのは、あのタイガー先生だった。


(な、何しに来やがった!?)


「♪〜」


そんなソラの気持ちを知ってか知らでか、タイガー先生は呑気に鼻歌を歌っている。


「おっとそうだ!あれを取りに来たんだっけ!」


するとタイガー先生がこちらに向かって歩いてきた。


(オイオイオイオイ!?)


後退りするソラ。が、ここでスカートの罠が発動した。



ガタンッ


(!!!)


椅子の下に挟まれていたスカートがずれて椅子が音をたててしまった。


「?誰かいるのか!?」


敏感に反応するタイガー。


(ヤバイヤバイヤバイ!見付かるっ!!)


焦るソラ。


「ソラちゃん!?」


「!!」


見付かっちゃった。


「何しているんだい?授業始まってるよ?」


「え、えええっと…」


ふっ…と微笑むタイガー。


「仕方ない仔猫ちゃんだな…」


「はい?!」


「そんなに私の事が好きなのかい?」


(はああああああああ!?)


「そうだね…私はこんなに美しいもんね…」


(ウザいウザいウザい!!)


「そして君のハートを一瞬にして奪ってしまった!」


(奪われてない奪われてない!!)


「しかし…君もなかなかやるね…」


(…?)


「私も君にハートを射ぬかれてしまった…!!」


(え…それってどういう―…)


「…キスしていいかい?」


(ふっざけんなー!!!)


「駄目だ…!もう我慢出来ないよ!!!」


「せせせ先生!!!」


ソラが叫んだ。


「何だい?」


「僕、男ですっ!!!」


一瞬間ができた。が、


「…構わないよ」


(いや構えよ?!)


「今ので更に私のハートは激しく燃え始めた!!!」


(変態さんでしたか!!!)


近付こうとするタイガーに向かって火を出そうとするソラ。が、


「っ! 出ない?!」


「ふっ…ここでは魔法は使えないよ?学校だからね」


「く…!」


「さぁ…目を閉じて?」


ふとソラの目に二種類の薬品が写った。そう。此処は科学室。


(H2SO4…と!!!)


それらを手に取るソラ。


「先生?」


顔がめっちゃ近くにあるタイガーに話しかけるソラ。


「何だい?ソラ」


「…硫酸て…何の為に存在すると思います?」


「へ?」


ソラの質問に、元の体制に戻るタイガー。


「硫酸は…様々な薬品製造の基礎になり、化学工業で広く用いられます。」


ソラが続けた。


「それがどうかしたのかい?」


「が、時として硫酸は…」


微笑むソラ。


「他人を葬る武器となる!!!」


「な?!」


「アシッドレイ〜〜ン(酸性雨)!!!」


ソラは瓶ごとタイガーに硫酸を投げつけた。



ドバシャ―――っ!!!


「うっぎゃあああ?!」


「そしてNH3…つまりアンモニアは合成科学工業の原料になるが…」


もう一本瓶を構えるソラ。


「ここではテメェを苦しめる液体と化す!!!」




ドバシャ――――っ!!



「臭ッッッッッッッ?!」


「あばよ変態」


そう吐き捨ててソラは科学室を後にした。






「…あれ?」


気が付くと高校は消え、服も元に戻っていた。

そしてソラの目の前には腹を抱えて笑いころげている朱色の髪をした女性がいた。


「あっひゃっひゃっ!!ソラ最高〜!!」


女性のハスキーヴォイスが聞こえてきた。


「?」


「合格合格大合格〜!!」


「は?」


「あっひゃっひゃっ!!僕は"トリ"、フェニックス!!!」


妙なポーズでキメたトリ。


「合格って?」


「僕をこんなにも笑わせてくれたからね!」


(・・・)


「つまりさっきの女子高は僕が仕込んだのさ!!!」


グッド!のポーズをするトリ。


「次の課題は僕をぶちのめすことだよ!さあ出来るか―…なぁっ?!!!!」


ドカアアアン


いきなりトリをぶん殴ったソラ。


「や、やっぱ…怒ってる?」


トリが恐る恐る聞く。


「全然?」


笑顔で剣を引き抜くソラ。


「嘘つ―…みぎゃあああ!!!」


トリが叫んだ。


「ちょっといきなり切りつけるのはどうだろう?!」


「いきなり変態仕向けてくるのもどうだろう?」


「ぶはっ!あれは最高に面白かったヨ…!!!」


「死ね?」


「ぎゃあああああああ!!」



他人を怒らせるのは、よくありませんね。

因みに言っときますが、皆さんはくれぐれも硫酸やアンモニアをソラ君みたいに使わないでくださいね☆








評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ