第36話 ボンドの脅威
どおおぉぉぉぉぉぉぉぉん
腹の底まで響く爆発音が聞こえた。
「「「「!?」」」」
「な、なんにゃ〜!?」
どおおぉぉぉぉん
再び爆発音。
『敵襲〜!!衛兵、城門に集合〜!!!!』
「て、敵って!?」
「どういうコトかしら?」
「とにかく外だよ!」
「「「うん!!」」」
ルゥに促されて城の外へ向かうメンバー。
移動中にも激しい爆発音が聞こえてくる。
「何よ…コレ?!」
「街がボロボロにゃ…!!」
「ねぇどういうコト!?」
通り掛った兵士にルゥが聞く。
すると兵士は血相を変えてルゥに言った。
「ルクレツィア様っ!?危険です!城内へお戻り下さい!!!!」
「だからどういうコト!!?」
先程よりも厳しい口調で兵士に問う。
「はっ!シャイアに大量の魔物が入り込んだ模様!」
「街に?!ミストはどうしたの!!!?」
"ミスト"とは、魔物が街に入って来ない様にするためのバリアを産み出している銅像の事。ミストはどの街にも必ず東西南北の四ヶ所に設置されていて、そのお陰でネィバーランドの各村々は魔物の襲撃から守られている。
「へぇ〜…」
「何に納得してるにゃ?ソラソラ?」
「あ、ううん。なんでもない」
「内部から破壊された模様!」
「内から!?見張りはどうしたの!?」
「…自害していました」
「「「「!?」」」」
どおおぉぉぉぉん
「!ルクレツィア様!!」
兵士がルゥをかばった。
パンッッ
何かが弾ける音がした。
血飛沫があがる。その血はルゥにかかる。
「…っ!!」
兵士の首が跳ばされていた。
『ぎゃはは〜!!命中〜♪』
「…魔物が…喋った?」
エリアが目の前の光景に震えながら言った。
『ぎゃはは〜♪まだまだ行くぜ?』
「…させないっ!…って、あ、アレ!?」
格好良い台詞を言ったソラだが、腰に手を伸ばした時、異変に気付いた。
「剣がない―…?」
「ああ!そうよ!私たち、城に入る時に武器を没収されてたわ!」
「にゃ〜!!忘れてたにゃ〜!!!!」
『ぎゃははっ!コレってチャンスじゃね?』
そう言って魔物が襲ってくる。
「チャンスなんかじゃねえよ!ボルトっ!!!!」
『ぎゃっ!!!?』
電撃が魔物にぶち当たる。
『痛ってえな!…でもそんなショボい電撃じゃ死なねえよん♪』
再び魔物が襲ってくる。
『なめんじゃねえよ!!』
「なめてんのはどっちだ!!エレクトロンっ!!!」
『―…!!』
激しい雷撃に、叫ぶ間もなく魔物が消えていった。
「…ゴメンな」
そう言って、ルゥは自分のマントを兵士に掛けた。
「…ルゥ!来るよ!!」
「バッチ来いだぜ ソラ兄!」
そう言った瞬間、魔物の大群が襲って来た。
「エレクトロン!!」
「マリンショット!!」
「ウィンドスパイラル!」
「フレイムアタ〜ック?」
「なんで疑問文なのソラ兄!!!?」
「いっけね☆」
「馬鹿ー!!ちゃんと集中しろよ?!」
「了解っ!!」
ジャンジャン魔物を倒していくメンバー。しかし、魔物の数は尋常ではなかった。
「ま、まだいるにゃ?!」
「お…多いわね…!!」
『ひゃっひゃっ!覚悟しろ人間!!』
「にゃ〜ん ソラソラ〜あたし怖〜い♪」
「うおっ?!」
ソラに抱きつくアミュ。
「・・・アミュ?」
エリアの殺気メーターがぐんぐんあがる。
『どこ向いてんだよ!!』
ガンッッ
エリアが魔物に殴られた。
「……ったいじゃない…」
『へ?!』
「…女の子の顔殴るなんて…何様のつもりかしら?」
『―…っ!!!?』
「死にさらせ屑があッッ!!!!」
エリアの殺気メーターはMAXを振り切った。
「ペリッシュオーシャンッッ!!!!」
『ぎゃああああああ!!』
魔物たちは、次々とエリアの最大魔法に呑まれていく。
「…えへっ☆」
可愛らしく決めたエリア。
「凄いよエリア!」
「そ、そんな…照れるわ、ソラ」
「…ソラ兄…さっきの発言聞こえなかったのか…?」
「恐るべしエリたんの愛の力にゃ…」
「今ので全部片付いたかな?」
「ええ、多分!!」
「いや―…まだ一匹残ってるよ エリ姉!!」
「へ?」
戦場を見るメンバー。その真ん中に確かに魔物が一匹残ってる。
「か―…可愛いい!!」
「「「は!!!?」」」
そこにいた魔物は巨大な蛙さんだった。
「まだ残っていたのか!」
「囲め!相手は一匹だ!」
兵士達が次々とその魔物を囲んでいく。
「…酷いわね。私の友達…皆殺すなんて。」
「「「「!?」」」」
狐色の髪をツインテールにした少女が蛙の乗っていた。
ゾワッ!!
周囲を圧倒させる程の殺気を放つ少女。
「これは…!どういう事だ…?」
その声にメンバーが振り向くと、そこには国王の姿があった。
「父上様!?」
「「「父上ぇ!?」」」
「街が…!兵士達は何をしておるのだ?!」
まるで話を聞いていない国王。
「魔物を囲んでおります」
「?」
兵士達を見る国王。すると
「何故"見張り"がおるのだ…!?」
「「「「見張り?」」」」
「見張りのリアラ…何故この街に!?」
ドカッッ!!
兵士達が一気に吹っ飛んだ。
「…邪魔…しないで。」
「「「「!」」」」
リアラの表情は変わっていないが、声で解る。リアラは、相当怒っている。
『ゲロゲロ』
「…そうね。」
そう言うと、リアラは蛙さんから降りた。
『ゲロゲロゲロ?』
「…構わないわ。」
『…ゲロ!』
蛙さんが頷いた瞬間、蛙が消えた。
「うあぁ…ぁ!!」
突然兵士が倒れる。
「!? なんだ!?」
メンバーがよく見ると、解った。
「「「「っ!!」」」」
蛙は消えてなんかいなかった。蛙は今、物凄いスピードで兵士達を次々と倒して…いや。殺している。
「なんと言うことだ…!」
「父上様!これはセイクリッドの無法行為です!!」
「!…し、しかし―…」
「国王様!!城にお戻り下さい!!」
フィーナが城から出ながら叫んだ。
「しかし!」
「いけません!!!!」
そう言うと、フィーナは国王を城内に突き飛ばした。
そして、地面に片手をつけフィーナが言った。
「…非礼をお許し下さい!!…ウッドシールド!!!!」
ドドドドドドドドドドッッ
物凄い勢いで城の周りから大木が大量に生え、完全に城を包み込んだ。
「皆さん!!これを!」
フィーナがメンバーの武器を投げた。
「! 全然届いてないよ!」
「て、突っ込んでる場合!?ルゥ!」
「更に突っ込んでる場合じゃないね エリア」
「にゃ〜!あたしのボンド〜♪♪♪」
(((ボンド!!??)))
「すみません皆さん!私は魔法のせいでご一緒に戦えません!!」
「大丈夫よ!ありがとうフィーナ!」
「にゃ〜♪ボンドが返って来た今のあたしは向かうところ敵無しにゃ!!!」
(((だからそのボンドをどうする気だ…!?)))
「いっくにゃ〜〜!!!」
急に目付きが変わるアミュ。格好良くボンドの蓋を一本の指でピンッと開ける。
「「「おお?!」」」
そして、ボンドを前に構えて両手で持った。
「ア〜〜〜〜〜ミュストロング砲〜〜〜〜!!!!」
謎の技名を叫びながら容器のお腹の部分を軽く押した。同時に、ぴきぷゅ〜っと可愛らしい音が鳴る。そう。例えるなら、ぬいぐるみのお腹を押すと鳴る、あんな感じの音だ。
ドバシャァァァァッッ!!
戦場一面にボンドがふりかかる。
間発入れずにアミュが再び叫んだ。
「ウィンドスパイラル!」
強風で一気にそのボンドが固まる。
「す…凄いわ!!」
「「恐るべしボンド…」」
「何やってるにゃ〜!!チャンスにゃ〜〜!!!!」
「「「!!」」」
見ると、そこには見るも無惨に固まって動けなくなっているデカい蛙さんがいた。
「よ、ようし!!…リュミエール!!」
ソラが叫ぶと魔法が発動…
「「「?」」」
しない。
チッチッチッチッチッチッ
ボッッッッッッッッッ!!
突然燃え上がる凄まじい蒼い焔。まるでガスコンロ☆
『ゲロォ!!!!』
なにか汚い悲鳴を挙げながら消滅していく蛙。
「やっ……やった!!」
「にゃ〜ん♪流石ソラソラにゃ〜♪♪♪」
「さっきの魔法失敗したのかと思ったよ〜ソラ兄〜」
「うん 思い付きで叫んだんだけどね」
「…え?て、事は…ソラ兄、さっきのって…まぐれ?」
「厳密に言うと」
「何が厳密なの?!」
「まあまあ!とりあえず終わって良かったじゃない!」
「…何が終わったのかしら」
「え―…?!」
エリアの腹に激痛が走った。