第35話 王都 シャイア
「凄い…お城がある!」
「わぁ〜白くて綺麗な街!」
「にゃ〜?どうしたにゃ?ルゥちん」
「いやいや別に…」
「怪しいぞ?ルゥ」
「そ、そんなこと無いよ!…ねぇ此処やめない?」
「? どうして?」
「だ、だって此処王都だよ?勝手に入っちゃマズイじゃん?」
「大丈夫ですよ!参りましょう!」
「うわ?!」
フィーナはルゥの腕をしっかり掴み、ルゥを王都に連れてった。
そうして王都に入ったメンバー。
「…大丈夫?顔色悪いよ?」
「…ソラ兄?なんでオレがソラ兄に最初会った時"ボルト"したか解る―…?」
「?」
「ルゥ!?ルゥダヨナ?!」
ソラの"?"を掻き消す様にカタコト声が聞こえた。
「!…テリー!?」
(…どっかで聞いたことあるな…)
ソラが考える。
「ヤッパリ!ルゥヒサシブリダナ!!ドコイッテタンダ?」
「いや…い、色々と…」
「フィーナサンモヒサシブリ!」
「いえ、とんでもない」
「!?ちょっと待ってよ?なんでテリーがフィーナ兄を―…?」
「ハヤク!オウサマガシンパイシテタゾ!?」
「おわっ!?」
そしてルゥはテリーとフィーナに連れ去られた。
「「「「…」」」」
「え?何?どうゆうこと?!」
「ん〜…話の流れ的にだな…」
「ルゥちんが…」
「王子様ってコトかしら…?」
「「「「―…王子様!!??」」」」
「フィーナ兄…どうゆうこと?」
「すみません。ルクレツィア様、私は王様より命令を受けておりまして」
「お!ルゥ!久しぶり!!」
「「ジュゲムジュゲム!!」」
「お久しぶりです。ジュゲムジュゲム様。」
「フィーナさん!久しぶり!!」
「フィーナ兄って何者だよ…」
「ルゥガイナクナッテカラスグニ オウノゴエイニショゾクサレタンダ」
「あはは〜さあ参りましょう!」
「う… ! あ!皆置いて来ちゃった!二人とも、悪いけど連れて来てくれない?」
「まかせろ!ってどんなヤツだ?」
「茶髪兄ちゃんに金髪姉ちゃんに猫娘に短足だよ!」
「リョウカイ!!」
そして二人は街の入り口へ走り出した。
「短足短足っと」
「ジュゲム、タンソクッテナンダ?」
「ん〜とな、足が悲しい位短いってコトだ」
「ドノクライダ?」
「…身長の三分の二が胴とか?」
「ミジケッ?!オレマジナキソウダヨ!!」
「そうだな…なんかオイラも…泣けてきた」
「! ジュゲム!アイツラジャネ?」
「ん?…あ!」
「「ミジケッ!?」」
「はあ!?」
初対面の人に対してなんとも無礼な二人。
「お前らっ今、なんつった?!」
シャーンが怒りに震えながら聞いた。
「オマエラ ルゥノトモダチダロ?」
「うん、そうだけど」
ソラが答える。
「オイラたちが今から城に案内してやるよ!」
「誰にゃ〜?」
「モウシオクレタナ!オレハテリー!」
「オイラはジュゲムジュゲムだ!」
「「「「ジュゲムジュゲム?」」」」
「おう!行くぞ!」
そう言って六人は城に向かって歩き出した。
「ルクレツィア…!ご無事でしたか!」
「…只今帰りました。母上様」
「何をしていたのだ?城を脱け出して」
「…」
「…宝玉…だな?」
「…」
「あれには手を出すなと言ったであろう?」
「何故ですか、父上様?」
「この大陸とソング大陸、そしてセイクリッドとの会議で決まった事だ」
「そうですよルクレツィア、それにこんなに危険なことを…」
「オレ…私だって戦えます母上様!」
「そんな…!」
「月が落ちてきてもいいんですか!?」
「決定した事だ」
「そんな!それでは民が全滅してしまいます!!」
「オーブの予言は絶対だ。守らなくてはならない」
「民が滅ぶ事によってどんな幸福が訪れると言うのですか!!!?」
「…ルクレツィア、少し休みなさい」
「…っ!」
「……解りました」
王室を出たルゥ。
「……………予言…か…………………………クソっ」
そう呟くと、客間に向かって歩き出した。
「わあーお城だ〜!」
「なんか…緊張するわね…」
「オイオイ、落ち着けよ二人とも?」
「オマエガ オチツケ?」
「何処に座ってんだよ?そこ、皿の上だぜ?」
「は?………………あ。」
「にゃ〜♪この紅茶美味しいにゃ〜♪」
テリーがソラを見た。
「?」
「ソラ、タカイネ!ルゥトハオオチガイダ」
「だよな〜何の差かね?」
「年の差だろ?」
シャーンが皿から降りながら言った。
「? ルゥ僕と同い年だよ?」
「「「ええ!?」」」
メンバーが驚く。てコトはルゥは十七歳だ。
「だ、だだだってルゥ私の事"エリ姉"って…!」
「ルゥハ ジブンヨリタカイヤツナラ"ネェ"ト"ニイ"ヲツケルカラナ」
「にゃにゃ!?ソラソラと20センチは違うにゃ〜!」
「アイツ牛乳嫌いだしな」
「牛乳の問題か?!」
「首引っ張ってみたらどうにゃ?」
「「「「「やめなさいやめなさい」」」」」
見事にハモったツッコミを入れるメンバー。そこに
ガコン
「「「「?」」」」
一人の少女が入って来た。明るい栗色の髪に優雅にウェーブがかかっている。
「「パティ!!」」
「お久しぶりです。お二方」
「誰にゃ?」
「ルゥの妹のパトリシアだよ」
「セキ、ダイジョウブナノカ?」
「へ、平気ですわ!」
「ルゥちんの妹さんかにゃ〜♪」
「可愛いいわね〜」
皇族に向かってタメ口とはなかなか度胸のあるメンバーである。あ、ちなみにテリーとジュゲムジュゲムも上流貴族のお坊ちゃまである。
「貴殿方がお兄様のお仲間さんですわね?」
「そうだぞ」
シャーンが答える。
すると
バキューーーーン!!
何かが撃ち抜かれる音がした。
「?なんださっきの音…」
シャーンが言った。次の瞬間
「王子様!!!!!!」
パティが叫んだ。
「…は?」
「やっと…やっと来て下さったのですね?!」
「ちょっ?!え!?」
助けを求めるようにメンバーを見るシャーン。しかし
「た、短足が…モテてるにゃ…!!」
「これってHITOMEBOREってヤツね!!素敵だわ…!!」
「やるじゃん短足」
「ヤルジャンタンソク」
「まふまふ〜♪」
「…?」
「ききー」
ソラ以外のメンバーは皆面白がっていた。つうかソラは状況を理解できていない。さすがドンカーン大統領です。
「王子様…私の王子様!!ゆっくりお話でもしませんこと?」
「え?は?」
「そうですわね!二人きりが良いですわ!あちらに参りましょう!」
「え?いや、ちょっと!?」
有無を言わさずグイグイ引っ張って行くパティ。
「面白そうだな〜♪」
「イイバショオシエテヤロウゼ!?」
そう言ってジュゲムジュゲムとテリーも部屋から出て行った。
「ルゥ遅いなぁ…」
たいして関心を示さないソラが言った。
「なんか暇にゃ〜!」
あらら、アミュはもう飽きちゃったみたいですね。
「なんか楽しい事ないかしら…」
もうメンバーにとってシャーンはどうでも良いんですね。ははは。可哀想。
「…にゃ?」
ふと、開きっぱなしのドアの向こうを通って行った兵士が目に入ってアミュ。
「…にゃは〜♪良いこと考えたにゃ!」
「「?」」
「えっと…客間客間っと…」
ルゥが客間に着いた。
「お待たせ〜皆〜」
「「ルゥ!」」
「まふ〜!」
「ルゥちん!」
「ってええ!?オレがいない間此処で何が起きたの!?」
客間の中には大量の兵士が時折
「うぅ…」
と言ううめき声をあげながら腹這いになっていた。しかも山積みにされている。
「暇だから遊んでもらったにゃ〜♪」
「あ、遊び!?何をやったの!?」
「「「? 鬼ごっこ」」」
「鬼ごっこではこんな悲惨な状況は生まれない。」
「何を言ってるの?ルゥ 最高の鬼ごっこだったわ!!」
「…で?誰が鬼なの?」
「アンディーにゃ」
「!?アンディーって誰さ?!!!」
「この中にいるハズよ」
「ああ兵士の名前か…って区別ついたの!?」
「ううん。解んないから皆で先に伸しちゃった」
「のす!?ソラ兄 おっかないコトさらっと言わないでよ!?」
ちなみに"伸す(のす)"とは、"殴り倒す"と言う意味です。
「「「たーのしかったなー」」」
「誰かこの人達の危険思想を止めて!!」
珍しくメンバーに対して頭を抱えるルゥでした。