第31話 フィーナ
「…」
「…」
「…」
「…」
無言のまま道をゆくメンバー。
「にゃ〜!!静かすぎだにゃ〜!!」
そんな沈黙を、アミュが破った。
「アミュ…」
元気のない声でエリアが彼女の名前を呼ぶと
「だいたいなんにゃあの白髪―…」
アミュがそう言っている途中で
ひゅん
ドスッ
「にゃあ!?」
アミュの目の前を弓矢が通りすぎた。
「「敵っ?!」」
素早く警戒体勢に入るメンバー。
すると
ガサガサ
「「!」」
メンバーの目の前で動いた茂みに目を向けると
「…あれ〜?熊かと思ったのに?」
茂みの中から、緑色の髪の毛の青年が現れた。
「く…熊!?失礼なヤツだにゃ〜!!」
アミュが膨れていると
「あ、ごめんなさい。狸さんでしたか」
青年がペコリと謝った。
「ちっがーう!!」
「はじめまして。フィーナです」
アミュが憤慨している途中で、青年・フィーナがメンバーに挨拶した。
「…なんにゃ?突然?」
アミュが小首を傾げると
「? 人に会ったらまず自己紹介でしょう?」
小首を傾げ返すフィーナ。
「にゃるほど…あたしはマドマゼぇ〜ルだにゃ!」
アミュは頷くと、胸を張って答えた。
「「嘘つえ?!」」
「へぇ〜旅をしていらっしゃるんですか」
メンバーの家の屋根の上でフィーナが言った。
「…うん」
その隣で静かに頷くルゥ。
「? どうしたんですか?先程から元気がないようですが…」
元気のないメンバーにフィーナが尋ねると
「あたしらショッキング映像を見たばっかなのにゃ」
屋根の上に寝転がったアミュが言った。
「へ〜…そうなんですか」
フィーナが頷くと
「そうなんですにゃ」
一緒に頷くアミュ。
「…そういう時は、空を見るのが一番ですよ」
柔らかく微笑んで大空を見上げながらフィーナが言った。
「「…?」」
メンバーが小首を傾げると
「流れていく雲を追い掛けるのも…結構楽しいですよ?」
ふふっと笑いながらフィーナが言った。
「空を…見るにゃ?」
呆然としていたアミュが聞き返すと
「はい」
にこっと笑って頷くフィーナ。
「…」
早速起き上がって行動に移るアミュ。
「…何してるの?」
頭の上からアミュに覗き込まれた屋根の上に寝転がっていたソラが尋ねると
「にゃは〜ん♪ソラを見てるんだにゃ〜♪」
両頬を両手で押さえながらアミュが言った。
「姉御、おもんないおもんない」
右手を横に振りながら突っ込むルゥ。
「雲って凄いんだな〜!なんかゴワゴワしてる!!」
フィーナの隣で空を見上げたシャーンが言った。
「初めて雲見たの?!ってかゴワゴワってやめなさいよ!?」
そんなシャーンに突っ込みを入れるエリア。
「にゃ〜んソラソラ〜♪」
寝転がっているソラを抱き締めるアミュ。
「うわあ?!」
ナイスなプロポーションのアミュに抱きつかれて顔を赤くするソラ。
「ヤバイよエリ姉!!姉御がソラ兄を襲ってる!!」
ルゥがエリアに報告すると
「何ですって!?」
素早く杖を出現させるエリア。
「あはは 良かったですね〜。元気になれて」
賑やかになったメンバーを見てフィーナがそう言うと
「…なあ…雲って食えるのか?」
シャーンが彼に尋ねた。
「あはは その気になれば食べられるんじゃないですか?」
にこっと笑って答えるフィーナ。
「そっか!…やってみようかな俺!!」
シャーンはそう言って立ち上がると
ダッ
飛んだ。
「うわあ!?シャーンが飛んだあ!?」
ルゥが驚きの声をあげると
ドシンッ!!
シャーンが落ちた。
「白の台座ですか?」
屋根から降りている途中で小首を傾げながら聞き返すフィーナ。
「うん。知ってる?」
ソラが尋ねると
「知ってるもなにも、これですよ」
フィーナが目の前の低い柱を指さした。
「コレかよ!?」
透かさず突っ込むソラ。
「前に聞いたことあるパターンだねソラ兄」
のほほんと笑いながらルゥが言った。
「にゃは!それはラッキーにゃ〜♪」
ボロボロのアミュが続く。
「痛…やっぱ人間無理は良くないな…」
そんなアミュの隣でシャーンが言った。
「当たり前でしょ!?もう飛ぼうとしないでよ!?」
そんな彼に、呆れながらエリアが言った。
「よいひょ」
台座に白い宝玉を設置するルゥ。
白い光の柱はどこまでも空に伸びてゆく。
「わあ…綺麗ですね!!」
その光を見て、フィーナが感嘆の声をあげた。
「いひひ♪あと四つだねソラ兄」
ルゥが笑いながら言うと
「うん!頑張ろう!!」
笑い返しながらソラが言った。
「やってやるにゃ〜!!」
腕をぐるぐる回すアミュ。
「…もう無理しちゃ駄目よ?」
その隣でエリアが言うと
「…おう」
情けなさそうにシャーンが肩を落とした。
「では…私はこれで」
ペコリと頭を下げながらフィーナが言うと
「うん ありがとうフィーナ!」
「気を付けて帰れよ〜?」
ソラとルゥが微笑みながら言った。
「はい!…あれ?」
フィーナは頷くと同時に首を傾げた。
「? どうしたのフィーナ兄?」
ルゥが小首を傾げ返すと
「あはは 此処…どこだろう?」
困ったように笑いながらフィーナが言った。
「「えええ!?」」
夜も遅かったので、フィーナはソラたちの家にお邪魔することになりました。
「あはは 皆さん本当にご免なさい」
スープを飲んだフィーナが笑いながら言うと
「いひひ♪気にすんなよ〜♪」
ルゥが笑いながら言った。
「ふふふ そ…それより笑いが止まらないわ?」
エリアが笑いながら言った。
「にゃはは え…エリたんもかにゃ」
アミュが笑いながら言った。
「あはは …さっきこのスープにイモ虫入るの見たぞ?」
シャーンが笑いながら言った。
「ははは …って止めようよ!?」
笑いながら真っ青になるソラ。
メンバーの夜はまだまだ長いようです。