第30話 水の中で
「開ーかーなーいーにゃー!!」
思い切り扉を引っ張りながらアミュが叫んだ。
「…どうすんだよ?」
頭を抱えながらシャーンが言った。
「電気は使えないし…」
ルゥが言うと
「…炎も無理だよね…」
ソラも言った。
「にゃ〜!!鍵穴があれば楽勝にゃのに〜!!」
((流石泥棒))
アミュの叫び声を聞いてそんなことを思うメンバー。
「…ごめん…なさい…」
両手に顔を埋めながらチモシーが呟いた。
「お…落ち着いてチモシー?」
「まふ〜…」
「キキキ」
そんなチモシーに優しく声をかけるエリアと小動物。
「ごめん…なさい」
チモシーはエリアに隠れて邪悪に口角を吊り上げた。
カチャ
「…」
直後、チモシーに剣を向けるソラ。
「!?」
驚いて顔を上げるチモシー。
「…水中で僕を気絶させたの…君だよね?」
顔を上げたチモシーにソラが言った。
「「!?」」
前々回、ソラが水上にがって来なかったのは、溺れたためではなく、何者かに背後から気絶させられたためだったのだ。
「…えへへ♪なんで私だって分かったんですか?」
すると、チモシーがにこっと笑った。
「! 伏せるにゃ!!」
アミュが叫ぶと同時に
「バブルランチャー!!」
チモシーが叫んだ。
ドカ―――――――――ン
「「っ!!」」
メンバーの頭の上を、強烈な衝撃派が通りすぎていった。
「…外しましたか」
チモシーが楽しそうに言うと
「何でこんな事…?!」
エリアが尋ねた。
「何で?…エリアって馬鹿なんですね?」
すると、チモシーは不敵に笑いながら
「私が敵だからに決まってるじゃないですか」
冷たく言い放った。
「そんなっ―…」
「バブルランチャー!!」
ドカ―――――――――ン
衝撃を受け、隙を見せたエリアに透かさず攻撃をするチモシー。
「きゃあ!?」
それによって吹っ飛ぶエリア。
「エリア!!」
ソラが声を張ると
「他人の心配なんて余裕ですね?」
今度はソラに標準を合わせるチモシー。
「隙あり!!」
その週間、後ろに回り込んだアミュが
「エアカッター!!」
叫んだ。
ガガガガガッ
「きゃあ!!!」
風がチモシーを切り刻む。
「…く…バブルランチャー!!」
吹っ飛びながらチモシーが叫ぶと
「うおっ!?」
攻撃は見事シャーンに命中した。
「「シャーン!!」」
「計算通り!!」
しまったと思ったときはもう遅かった。
メンバーは一ヶ所に集まってしまっていた。
「バブルランチャー!!」
ドカ―――――――――ン
猛烈な爆煙が巻き起こる。
「…ごめんなさいね?」
爆煙を見ながら邪悪にチモシーが呟くと
ガシッ
「!?」
チモシーは何者かに尾びれを捕まれた。
「…チモシーって半分は魚だよね?」
それは、ソラ。
「このっ…離―…」
チモシーが言っている途中で
「…じゃあ、熱に弱いね」
ソラは彼女を睨んで
「ヒートヒューミディティー!!」
叫んだ。
ブワッッッ!!
「いやああああああ!!」
チモシーはあっという間に凄まじい熱気に包み込まれた。
絶叫するチモシー。
「あ…ああ…っ」
ドサッ…
そしてチモシーは力なく倒れ込んだ。
「ゴッホ…ソラ兄!」
爆煙から現れたルゥに
「動けなくしといた」
手を叩きながらソラが言った。
「起きるにゃ〜エリたん!!貧民!!」
倒れているエリアとシャーンに往復ビンタをするアミュ。
「…う…ん?」
目を覚ますエリアと
「貧民ってなんだよ?!」
突っ込みながら起きるシャーン。
すると
「…へえ?これが緑の宝玉か」
メンバーの背後からルゥの声がした。
「「!?」」
一斉にルゥの方を向くメンバー。
「違う違う違う!!」
右手をブンブン振りながら反対側を指さすルゥ。
ルゥの指の先を辿ると、チモシーの隣に一人の少年が立っていた。
「! …セル…シオ様っ…どうか…助け―…」
弱々しい声でチモシーが言うと
「負けたヤツは黙ってろ」
その仮面をつけた少年・セルシオはチモシーの頭を踏みつけた。
「お前…仲間じゃないのか!?」
シャーンが叫ぶと
「魔物に同情か?」
鼻で笑いながらセルシオが言った。
「ふざけないで!!早くチモシーの頭から足を下ろしなさいっ!!」
エリアが怒鳴ると
「仰せのままに」
セルシオは邪悪に笑い、チモシーの頭に乗っている足に力を入れた。
ぐしゃっ!!
チモシーの頭が潰れた。
「「っ?!」」
あまりにもおぞましい光景に顔を真っ青にするメンバー。
ゴボゴボっ
「!?」
その瞬間、シャーンの口から大量の泡が出た。
チモシーの魔法が切れたのだ。
「「!!」」
呼吸が出来なくなり、一気に苦しくなるメンバー。
「ふ…ルヴニール」
セルシオはそう言うと、その場から姿をくらました。
(…こんなところで…!!)
ルゥはありったけの魔力を込めて天井を睨むと
「ブリッヅシュラーク!!」
思い切り叫んだ。
その瞬間
ちゅど――――――ん!!
轟音と共に天井が吹っ飛んだ。
「「!!」」
目を見開くメンバー。
(行くよ!!)
ルゥの無言の訴えに頷いたメンバーは、地上へと戻ってゆきました。