第21話 襲撃再び
「ゥッヲ〜ンっ!!!」
薄暗い洞穴の中に、魔物の雄叫びがあがった。
『あ。忘れてたでヤンス』
思い出したように手をポンと叩く幽霊・エミリオ。
「何をかなヤンスくん?」
ルゥが尋ねると
『此処ってよく魔物出るんでヤンス。皆さん、気を付けて下さいでヤンス』
人指し指を立てながらエミリオが言った。
「「いやもう出てますよ?!」」
素早く突っ込むメンバー。
「…ったく…しょ〜がないな〜…」
ルゥは頭の上に乗っかっていたガブリエルを降ろすと槍を構えた。
「頑張って〜!!」
「俺は此処でおまえの冥福を祈ってるぜルゥ!!」
「まふまふ〜!!」
「きっききき〜!!」
そんなルゥを応援するエリアとシャーンと小動物。
「いやおまえらも戦えよ!?ってか冥福祈っちゃ駄目だろ?!死ぬのかオレ!?死ぬのかオレ!?」
透かさず突っ込むルゥ。
「ゥッヲ〜ン!!!」
後ろを向いて突っ込んでいる隙だらけのルゥに遅いかかる魔物。
「「志村後ろーっ!!」」
それに気が付いてエリアとシャーンが叫んだ。
「志村って誰だよ?!」
しっかり突っ込んだ後で、ルゥが何気無く槍を地面に突き刺した。
「ぎわっ?!」
その瞬間、丁度現れた魔物の頭に槍が突き刺さった。
ルゥは魔物を見ずに一撃で倒してしまったのだった。
「レヴェル☆アップの力をみくびるなよ!」
画面に向かってピースするルゥ。
『すごいでヤンス〜!!強いでヤンス〜!!』
「…誰に向かってピースしてんだルゥ?」
その頃
「…情けない…」
村の外れで自分のふがいなさに肩を落とすソラ。
「…みんなを置いて逃げるなんて…最低だ…」
ネガティブオーラを発生させるソラ。
すると
ザザッ
「! 誰!?」
突然ソラの近くの茂みが動いた。
ぴこーん。ぴこーん。
「へ?ぴこーん?」
力の抜ける音に首を傾げるソラ。
「…宝玉発見」
その音が消えると、茂みから狐色の髪の毛を二つに縛っている少女・リアラが現れた。
「よ…よかった…女の子か…」
現れたのが幽霊ではなかったのでほっと胸を撫で下ろすソラ。
「!」
しかし、リアラはソラを見て目を見開いた。
「?」
ソラが小首を傾げると
「…宝玉奪還」
リアラは素早く黒い傘を構えた。
「へ?!」
突然傘を向けられて驚くソラ。
すると
「バオオ…!!」
リアラの後ろに角が生えたライオンのような巨大な魔物が現れた。
「うわ?!」
突然現れた魔物のに驚いて一歩下がるソラ。
「…キロロ」
しかし、リアラは顔色ひとつ変えないでその魔物の名前を呼んだ。
「バオォオオ」
すると、魔物はリアラに何かを報告した。
「…そう」
リアラは軽く頷くと、傘を下ろした。
「…?」
そして、リアラはソラに右手を向けた。
「…スミシオン」
「っ?!」
リアラがそう言った直後、ソラはどす黒い紫色の光にに包みこまれた。