第19話 女の子走り
不思議瓶の中にて
バコーン!!
ルゥの槍が突き刺さり、魔物が爆発した。
「ふぅ…ソラ兄今ので何体目だっけ?」
ルゥが汗を拭いながら尋ねると
「えーと…四十八体目だよルゥ」
思い出しながらソラが言った。
「てかなんで俺だけハリセンなんだ?」
小瓶に入ってから大砲を没収されたシャーンは、その代わりに巨大なハリセンで戦うことになっていたのでした。
「! 来たわよ!!」
そんなの気にも留めずにエリアが言った。
≫≫≫
一行が瓶に入った直後。
『これから魔物五十体に連勝して下さいね〜♪』
天井からシルエリの声が響いた。
「「五十!?」」
思わず聞き返す四人。
『も〜何言ってるんですか〜?レヴェル上げには実戦が一番効果的ですよ?それに、これで少なくとも二十は上がりますよ?』
シルエリが笑いながら言うと
「「さぁ殺るか!」」
素早く武器を構えるルゥとエリアとシャーン。
「急に殺る気満々!?」
一人だけ焦るソラ。
すると
『大丈夫ですソラ様〜♪こっちには頼もしい応援団がいるじゃないですか〜!』
ってシルエリが言った。
「応援団?」
ソラが聞き返すと
『まふ〜まふまふ〜♪』
『キキキーキキキー♪』
まったく意味が分からない応援が聞こえてきた。
「あはは…ありがとガブにテトラ…」
≫≫≫
こうして今に至る。
「いい加減にしろぅ!!」
バシコーン!!
シャーンのハリセンでノックアウトする魔物。
「よっしゃ!次でラスト一体!」
着地しながらシャーンが言った。
「うん!頑張ろう!!」
エリアが言うと
「っ!!」
顔を真っ青にするソラ。
「? どうかしたのソラ兄?」
ルゥが尋ねると
「…あれ」
スッとソラが指さした。
「「あれ?」」
ソラが指さした先に三人が目を向けると
「嘘だろ?!」
「あんなのと戦うの!?」
「デカっ!!!」
巨大なゴリラのような魔物が立っていた。
「バモーンっ♪」
そしてぶりっ子ポーズをする魔物。
「「可愛いなっ?!!」」
思わず心の声が漏れてしまったメンバー。
「バモーンっ!!!」
魔物はぶりっ子ポーズをやめて、メンバーに向かって走り出した。
女の子走りで。
「「何故に?!」」
ルゥとシャーンが突っ込んだ。
「女の子…なのかしら?」
小首を傾げるエリア。
「来るよっ!!!」
ソラの掛け声により、我に返ったメンバーが戦闘体勢に入った。
「今だよシャーン!!」
ルゥの声に応えるように
「ツッコミ役専用秘奥技!な〜んで〜やね〜ん!!」
バっシ――――――――ン
シャーンが巨大なハリセンで魔物にきつい突っ込みを入れた。
「キュー…ン」
どしーんっ
魔物は可愛い声で鳴くと、豪快に倒れて消滅した。
『やりましたね皆さん!!これでレヴェル二十アップは確実ですよ〜♪』
すると、再び天井からシルエリの声が聞こえてきた。
「「やったぁ!!」」
こうして、メンバーは地上に戻っていった。
「「ありがとうゴザイマシタ」」
ペコリと頭を下げてシルエリにお礼を言うメンバー。
「いえいえ〜♪気にしといて下さい♪」
シルエリはメンバーにそう言うと
「では☆またお逢いしましょうねぇ〜♪」
ピュッと姿を消した。
「…本当にこれで強くなったのかな?」
シルエリが帰っていった後で、ソラが何気無くそう呟くと
「試してみる?」
ルゥがニヤリと笑って槍を構えた。
「え?」
ソラが驚いていると
「手加減は無用だぜソラ」
「ええ?!」
ソラの後ろでシャーンがハリセンを構えた。
「「覚悟!!」」
「ええええええええ?!」
「ふふっ♪頑張って〜!」
こうして無事レヴェル☆アップしたメンバーでした。