第16話 襲撃
山賊のアジトの宝物庫にて
「さっすが山賊!良いもん持ってる〜♪」
ニヤリと笑いながらルゥが言った。
「どうした?ルゥ」
シャーンが小首を傾げると
「いひひっコレ、"黄色の宝玉"!!」
ジャーン!と黄色に輝く丸い球をシャーンに見せた。
「おお!!スゲェじゃん!!」
宝玉を見て、思わず感嘆の声をあげるシャーン。
「黄色の台座は此処から南西だよ」
ルゥが黄色の宝玉を魔法でしまいながら言うと
「おぅ!早速二人に伝えようぜ!!」
宝あさりをやめたシャーンも立ち上がった。
「うん!エリ姉……と……ソラ兄にな…」
前回の事を思い出し、顔色を悪くするルゥ。
「見掛けによらず…いや見掛けも怖かったな…」
同じように顔色を悪くするシャーン。
「次からは気を付けなきゃね…」
ルゥがトボトボと歩き出しながら言うと
「おぅ…」
元気のない声でシャーンも続いた。
そんなこんなで現在砂漠にいる。
「あっづ〜…エリ姉かシャーン〜水〜!!」
意味もなく手で顔を扇ぎながらルゥが言った。
「「…無理…」」
異常にテンションが低いエリアとシャーンが答えた。
二人は今にも死にそうだ。
「大丈夫?休もっか?」
そんな活力のない三人を見て、ソラが家の種を出しながら尋ねた。
「「…」」
一斉にソラを見る三人。
「? どうしたの?」
ソラが小首を傾げると
「…なんでそんなに元気なのソラ兄?」
ルゥが訝しげに尋ねた。
「え?」
ルゥの言う通りだった。
ソラはバテるどころか汗すら掻いていない。
これは異常である。
「どうしてだろね?なんか暑くないんだ〜」
へらっと笑いながらソラが言った。
「「!!」」
三人が一斉に"それってヤバくない!?"的な目でソラを見た。
ドカンっ
家が出ると、すぐさまその中に駆け込む三人。
「はぁ〜…助かった〜」
ソファーに倒れ込みながらルゥが言った。
「何故か涼しいよね此処」
そう言いながら辺りを見回すソラ。
「「…生き返った」」
水をがぶ飲みし終わったシャーンとエリアが言った。
いやまだ死んでないだろ?
「珍しな〜!!こないな所に人がおる〜!」
一行がくつろいでいる時、家から少し離れた所に、水色の髪の男が現れた。
ぴこーん。ぴこーん。
「…お?」
その男が持っている小さな機械が、一行の家に反応した。
「うわちゃ〜…あかんなぁ…」
男は頭を抱えると、ゆっくりと一行の家に近付いていった。
「よっし!逝くぜ野郎ども!!」
ソファーから起き上がったルゥが、無駄に元気に言った。
「ルゥ、テンションおかしいぞ?」
訝しげにルゥを見ながらシャーンが言った。
「"いくぜ"のニュアンスも違ってたね」
椅子に座っていたソラも続く。
「大丈夫ルゥ?」
エリアが心配そうに言うと
「心配すんなエリ姉!オレは速く帰りたいだけだ!」
腰に手を当てながらルゥが言った。
「そ、そうね!こんなとこ居たら干からびちゃうもんねっ!」
ルゥの意見に同意するエリア。
「干からびる!??」
シャーンが透かさず突っ込むと
「うん。グニョって」
ってエリアが言った。
「グニョっ!??ソラどうしよう!?エリアがおかしく―…」
シャーンが慌てふためいている途中で
「じゃあ行こっか〜」
ってソラが言って
「「おー!」」
エリアとルゥが続いた。
「聞けぃっ!!?」
可哀想なシャーンくんでした。
ひゅん
「うっひゃ〜!!凄いなぁ〜!!家がちっちゃなったわ〜!!」
ソラが家を種に戻すと、一行の後ろから声が聞こえてきた。
「「!」」
突然の声にびっくりする四人。
「…あの〜…大丈夫ですか?」
そしてその男を心配するエリア。
それもそのはず、その男は砂漠だというのに厚着にマフラーまでしている。
「かわいー子〜もおるやないか〜!!」
しかし、男はその言葉を無視してエリアの存在に目を輝かせた。
「え?」
頬を赤らめるエリア。
「おっと、こっちの茶髪の兄ちゃんはあの大将好みやな〜!!」
そしてソラに目を移す男。
「はい?」
ソラが小首を傾げると
「でもあかんなぁ…」
男は悲しそうに顔をうつ向けた。
「どうしたんですか?」
エリアが尋ねた瞬間
どかっ!!
鈍い音がした。
「っ!?」
ドサッっとその場に力なく倒れるエリア。
「「エリアっ!?」」
「エリ姉!!」
同時に叫ぶ三人。
見ると、男はいつの間にか武器を手にしていた。
男の武器は、突起物が無数についた金棒。
「テメェ…エリアに何しやがった!?」
怒鳴りながら大砲を男に向けるシャーン。
しかし
「兄ちゃんらもごめんなぁ?」
ドカッ!!
「「っ!?」」
一瞬にしてかたがついてしまった。
エリアと同じように倒れる三人。
「…これはオレが預かっとくわ…」
男はルゥが隠し持っていた黄色の宝玉を奪うと
「ルヴニール」
と言って、その姿をくらました。