第14話 悪寒
前とは比べ物にならないくらい仲良くなったルゥとシャーン。
「まふ…」
ガブリエルが力なく耳を垂らした。
「あ、ガブが疲れてる」
ソラが言うと
「お、本当だ」
シャーンが言った。
「「じゃ、シャーン担いで」」
ソラとルゥが同時に言った。
「なんで俺!?」
シャーンが聞き返すと
「「一番年上じゃん?」」
前から仲の良いソラとルゥが言い返す。
「ったく…ほらよ」
「まふ〜」
頭の上にガブリエルを乗せるシャーン。
その時
ガコンッ
足場が無くなる音がした。
「うわっ!??」
見事に落下するソラ。
ソラはネィバーランドに来てから落ちてばっかりだ。
常連さん?
「「グルルルルル…」」
しかも今回は、めっちゃ怖い五匹の狼チックな魔物付き☆
「ちょっ!?えっ?た、助けて二人ともっ!」
顔を真っ青にして上にいるシャーンとルゥに助けを求めるソラ。
「何!?"此処は僕が囮になる!だから僕に構わず先に行け!"!?」
すると耳に手を当てながらシャーンが聞き返した。
「一言も言ってないよ!?」
ソラが突っ込むと
「ソラ兄…アンタ男の中の男だョ!!」
涙を拭いながらルゥが言った。
「はぁ!???」
前とは比べ物にならないくらい仲良くなったルゥとシャーン。
「分かったぜ!!じゃあな!!」
シャーンはシュタッと手を挙げると、走り去っていった。
「え?ちょっ!??」
信じられないと言うようにルゥを見るソラ。
「短い間だったけど…あばよ!ソラ兄っ…!!(泣)」
すると、ルゥも涙を散らしながら走り去っていった。
「はあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!??」
まさかの裏切りに頭を抱えるソラ。
ソラは一人その場に残されてしまった。
「…本当に行きやがった」
下を向いてぽつりと呟くソラ。
「「グルルルルル…」」
そんなソラに向かって唸る魔物。
「…」
微動だにしないソラ。
「「グワ〜〜〜っ!!」」
これをチャンスとみた魔物たちは、一斉にソラに襲いかかった。
すると
「煩いな」
めっちゃ怖い顔で振り向きながらソラが言った。
「「キャインっっ!!」」
一斉に怯む魔物たち。
「死んで?」
そんな魔物たちに容赦なく剣を抜くソラ。
ズババババッ!!
ソラが剣を抜いた瞬間、魔物たちは次々と血を吹き出して倒れていった。
大量の返り血がソラにかかる。
「…アイツら…」
剣に付着した血を払いながらソラは言った。
こ、コイツ…慣れているッ!??
返り血のせいで一層怖くなったソラであった。
ゾクッ…
走り続けていたシャーンとルゥの背中に悪寒が走る。
「だ…大丈夫かなぁソラ兄…」
ルゥが言うと
「お…おぅ…大丈夫だろ…」
「まふ…」
シャーンとガブリエルが頷いた。
「しかしさっきの悪寒はなんだ?」
「物凄い殺気だったね…」
そう言いながら走る二人。
エリアのいる部屋までもうすぐだ。