第12話 ある日森の中
「クソっなんでエリアが…っ!!」
木々が鬱蒼と生い茂る森の中を走りながら悪態をつくシャーン。
「落ち着いてシャーン?」
そんなシャーンをなだめるソラ。
「…さすがヒロインって感じ?」
ルゥが言うと
「まふまふ〜」
彼の頭の上に乗っかっているガブリエルが同意した。
一行がこんな状況になった原因は、一時間ほど前にありました。
≫≫≫
「まずはこの森を抜けなきゃね!」
腰に手を当てながらルゥが言った。
「へぇ〜ルゥって物知りだね〜」
「本当。すご〜い!!」
感心するソラとエリアに
「てか当たり前だろ。」
ツッコミを入れるシャーン。
アクリウムは四方を森で囲まれているのでした。
「…なんか不気味だね?ソラ」
ソラの隣で不安そうにエリアが言った。
「え?!だ、大丈夫だよエリア!!」
若干声が裏返るソラ。
「く…」
悔しそうにその様子を見るシャーン。
「あーあ。こりゃ時間の問題だね〜」
頭の後ろで腕を組みながらルゥが言った。
「まふ〜」
ルゥの頭の上に乗っかっているガブリエルが同意する。
「う、うるせっ!」
シャーンはそう言うと
(お…俺だって…!!)
エリアの方を向いた。
「いひひひひ♪」
「まふ〜♪」
そんな様子を見て、楽しそうに笑うルゥとガブリエルでした。
「少し…休まない?」
膝に手を当てながらエリアが言った。
「うん…そうだね…」
頷くソラ。
「道あってんのかルゥ?」
ってシャーンが尋ねると
「知らなーい」
ってルゥが答えた。
「「「オイっ?!」」」
「まふう?!」
同時にツッコミを入れる三人と一匹。
「だって森だよ?分かるわけないじゃん!!」
頬を膨らませたルゥが言うと
「威張るなっ?!」
透かさず突っ込むシャーン。
「どうしよう…?」
困ったように頭を抱えるエリア。
「はぁ〜…ソラ〜家出そうぜ〜?」
すると、シャーンが提案した。
「「?」」
首を傾げるエリアとルゥ。
「あ、うん」
そんなの気にも止めずにソラは家の種を埋めた。
ドカン
「「!」」
「すっげぇソラ兄!!」
「わ〜!お家だ〜!」
目を輝かせながらルゥとエリアが言った。
一行が家に入ると、それまで二つだった部屋が四つに増えていた。
(便利…)
とか思うソラ。
すると
ぐぅぅ…
「まふぅ…」
ガブリエルのお腹が鳴った。
「きゃ〜カワイイ〜っ!」
目を輝かせるエリア。
「ま?」
小首を傾げるガブリエル。
「おっと、新たな敵登場!どうする?シャーン」
実況するルゥ。
「くっ…!!」
悔しそうにガブリエルを睨みつけるシャーン。
「じゃあ何か作ってくるね〜」
そしてソラがキッチンへと消えていった。
彼は料理が好きなようですね。
その時
「おぅおぅ誰に許可とって家建ててんじゃ〜?此処はワイらの縄張りだぜ〜?」
「まぢふざけんなし!」
「ぶっ殺すぞ?!」
ガラの悪そうな山賊っぽい三人が現れた。
「なっ、なんなんですかっ!?あなたたちっ!」
エリアがそう言うと
「そーだ!人の家に勝手に入ってきて!!」
エリアを守る様にシャーンが飛び出した。
「お?カワイイね〜♪そのコ♪」
すると、山賊の一人が言った。
「えっ?!俺っ!?」
ドキッとするシャーン。
「違う違う違う違う」
冷静に否定するルゥ。
すると
がしっ
「きゃっ!?」
「おめぇら殺さねぇ代わりにコイツをもらった!」
って山賊が言った。
「! エリア!!」
山賊の前に立ちはだかるシャーン。
「…なんだ赤髪?ワイらとやりあう気か?」
「まぢふざけんなし!」
「ぶっ殺すぞ?!」
山賊が言うと
「うるせぇ!!」
シャーンは山賊に攻撃を仕掛けた。
「「シャーン!」」
「ま、まふ〜!!」
バキッ
ゴスゴス
ドカッ
バシーン
「…ぅ」
そしてかなり一方的に負けた。
「ヒャハハ☆まぢよえぇコイツ!」
嘲笑う山賊。
「シャーン!」
慌ててシャーンに駆け寄るルゥ。
「じゃあな。あばよ!」
「まぢふざけんなし!あばよ!」
「ぶっ殺すぞ?!あばよ!」
山賊はルゥとシャーンとガブリエルにそう言うと、ソラの家から出ていった。
「おまたせ〜お昼ご飯出来たよー…ってアレ?」
≫≫≫
こうして現在に至る。
「つうかなんで戦わなかったんだよルゥ?!」
走りながらシャーンが尋ねた。
「だってシャーンが…」
ルゥが答えかけると
「そんなんだからエリアが拐われたんだろっ?!」
シャーンが怒鳴った。
「はぁ!?おめぇが弱ぇからだろ?!」
その言葉にカチンとくるルゥ。
「んだと!??」
腹を立てて聞き返すシャーン。
「ちょっ…ちょっと二人とも?」
「まふまふ〜?」
困ったようにソラとガブリエルが言うと
「「ふんっ!!」」
同時にそっぽを向く二人。
「…大丈夫かなぁ?」
「まふまふ〜…」
そんな二人を見て、不安そうに頭を抱えるソラとガブリエルでした。