第1話 不思議なウサギ
「まふ〜」
「へ!?」
学校から帰って来て自分の部屋に入るなり、有り得ない鳴き声を聞くコトになった茶髪少年・ソラ。
「え…まふ?」
自然と謎の声の方へと目を向けるソラ。
声の主はソラの足の下にいるようだ。
つまり、踏まれている。
「…あ…」
そっと足を退かすソラ。
「…何コレ?」
そこには、やたらちっこくてもふもふした謎の地球外生命体(仮)がいた。
「…兎?」
真っ赤な長い耳を見たからだろうか、ソラは目にかかった髪を分けながら、先程のナレーションを覆すコトをさらりと言った。
しかし、"まふ〜"って鳴く兎はたぶん存在しない。
「まふ〜?」
「…」
見つめ合うソラと兎。
「! まふ〜♪」
「?」
すると兎は突然嬉しそうに飛び跳ねた。
そして
ズドンっっ!!
「っ!?」
ソラの胸に焼けつく様な激痛が走る。
ソラは兎に胸を撃ち抜かれていた。
いわゆる"ラリアット"ってヤツだ。
「く…っ」
ばたっ
そのままソラは意識を失った。
「う…ん…?」
白い光を瞼の裏から感じたソラは、ゆっくりと目を開けた。
「…あれ?僕生きてる?」
小首を傾げるソラ。
「…心臓撃ち抜かれたハズなのに…?」
ソラは首を捻って考え始めた。
「…夢か!!」
数秒と置かずに自己解決するソラ。
しかし
「まふ〜」
「…ぅゎぁ…」
視界右斜め下より現れた先程の兎によって、軽く覆された。
「あ!お目覚めになられましたですか!?」
「!」
突然後からテンションの高い声がした。
驚いて振り替えるソラ。
そこには、淡い黄緑色の髪の毛を真ん中分けにした女の子が立っていた。
「よかったです〜!私、てっきり死んじゃったのかと!!」
はしゃぎながらソラを起こす女の子。
「…えっと…誰?」
ソラが尋ねると
「はわ!自己紹介がまだでしたね!!」
女の子は"いっけね☆"と口に手を当てて
「…申し遅れました。私、"シルエリ"と申しますぅ」
ペコリとお辞儀をしながらシルエリが言った。
「では、ソラ様とガブリエル様?私に連れていかれて下さい♪」
「はぁい」
「まふ〜♪」
シルエリのちょっとおかしい丁寧語にも素直にお返事するソラ。
こうしてソラと兎・ガブリエルは、シルエリに連れていかれました。