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期限1年の救世主
僕がいなくても明日は普通に訪れる。
そう気づいた時に僕はすべてがどうでもよくなった。
世界が酷く身勝手なものだと思ったとき、僕はまじめに生きることをやめた。
今日も世界は誰かを傷つけ、誰かを守れず、誰かを裏切り、そして非情に切り捨てる。
だって僕たちは世界を必要とするけれど、世界は僕たちを必要としないんだもの。
だから、僕は勇者や英雄を望むんだ。
世界に対して決定的な意味を持つその存在を。
でもそんなものになれるはずもないから、僕は全てをあきらめた。
そんな日が来るなんて思っていなかったから。
アイツが目の前に現れるまでは。
そう、全てはあの一言から始まった。
「あなた方はみんな心のどこかで思っているでしょう?
あなた達のいない世界なんてどうなってもかまわない、ねぇそうでしょう?」
それからの1年間、ぼく達は必死に生き抜くことになるなんて想像すらしなかった。