おわかれ
卒業にあたり。
思われてしまうだろうか 冷えた人だと
彼らとは心のつくりが違うのだと ときどきそうおもう
些細なことで 心の動く彼らとは
わたしの心は腰が重い
なかなか動かない
たとえば
「泣ける」映画をみたとき
熱き話に触れたとき
周囲の人間が死んだとき
泣けない 泣けない
泣けないことに一抹の不安を感じる
こんな悲しいことが起こっている
・・・はずなのに
わたしはぜんぜん悲しくなくて
嬉しくもなくて
まるでサイボーグのように
お別れのときが迫る
ずっとともにいた友人との別れ
さよなら この温もり 心地よさ
けれどそれすら涙腺も緩まない
もともと涙腺などわたしの目には存在しないかのように
どうしてだろう
心は遠く離れて
硝子の外から世界をみている
ふわりふわりと漂って
只中に身を置きは しない
どうしてだろう
なぜこんなにも わたしの心は凍って
泣けない どうしよう と
悩む自分への
自己嫌悪ばかりがつのる
でもそれすらも どうでもよかった
とっくにわたしの心は 次の世界へと向かって
ただ 進もうとしていた
今までの生活は すべて置き去りのまま
迷い惑った
ためらいたゆたう
わたしの心は
旅立ち間近の迷子