第九篇 三領域分界記
創造主は世界を円滑に運営できるよう、楽園そのものを三つの領域へと分割した。
この三領域は、基本的三位概念――創造、破壊、観測それぞれを基軸とした役割を持ち、互いに干渉しつつも、決して完全には混ざり合わない構造となっている。
更に創造主は、天越宇宙に定められた三つの領域のうち、創造と破壊の二領域を選び、それぞれを七つに分断した。
これは、世界の拡張と管理を一極集中させぬための措置であり、また、概念の偏りが世界を歪ませることを防ぐためであった。
こうして生まれたのが、後に『常世』と呼ばれる領域である。
【第一領域――天界】
第一領域は、創造の性質を持つ領域である。
ここは、後に定義される神力と呼ばれる創造の力が循環する世界。
更に天界は、七つの階層に分かたれた。
天界に生きる者たちは、世界を導く役割を担い、秩序を保つ存在として創られた。
【第二領域――地界】
第二領域は、破壊の性質を持つ領域である。
ここは、後に定義される魔力と呼ばれる破壊の力が渦巻く世界。
地界もまた、七つの階層に分かたれた。
地界に生きる者たちは、破壊そのものではない。
彼らは、世界が停滞し、腐敗することを防ぐため、終わりと変化を与える役割を持つ。
第一領域――天界と第二領域――地界。
この二領域を合わせて、常世と呼ぶ。
常世とは、創造と破壊が直接作用する世界であり、概念が最も強く反映される場である。
故に、この領域には大君主が配置され、階層ごとに世界の管理を任された。
【第三領域――現世】
残された第三領域は、創造にも、破壊にも、直接は属さない。
この領域こそが、観測を司る世界――『現世』である。
現世には、階層は存在しない。
秩序も混沌も、創造も破壊も、いずれかに偏ることなく混在する。
ここに生きる者たちは、力を与えられず、役割も定められず、ただ「生きる」ことを許された存在である。
現世は、世界の中心ではない。
だが、世界の行方を決めるのは、常に現世で生きる者たちである。
彼らの選択が、観測となり、観測が意味を生み、意味が概念を変質させる。
故に現世は、最も弱く、最も危うく、そして最も重要な領域となった。
三領域は、上下関係ではない。
それぞれが役割を持ち、互いを補完し、均衡を保つために存在する。
この均衡が保たれている限り、天越宇宙は楽園であり続ける。
だが――ひとたび均衡が崩れれば、神話は悲劇へと姿を変える。
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