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夜の館の夢語  作者: ハッピー氏
序章 夢の誘い
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第1話 おやすみ

これは私が6歳になった頃の話。

この日からゆうに20年以上経っている。

けど、決して忘れることのない不思議な夢の体験。


ある夏の日、私は家族で旅行に出かけていた。

海で遊んだり観光したり、とても楽しい1日だった。

遊び疲れた私は、帰りの車でぐっすり寝ていた。





 「ぐー。ぐー。ぐー。」


とある少女のいびきが車の中で響いた。


「あら。コムギったら寝ちゃったわ。」


優しそうな母親が、少女を見て微笑んだ。


「あんなにはしゃいでたんだ。そりゃ遊び疲れるよ。」


運転中の、優しそうな父親が母に答えた。


父が連休を取ったので、久しぶりに家族で旅行出かけていた帰り道。夜も更け、長い山道を走っていた。


その時だった。


パァーーーーン!


突然何かが破裂した。


「うわっ!何だ!」


「きゃあ!どうしたの!?」


破裂音と共に車がガクンガクンと大きく揺れた。


幸い、近くに車が停めれるスペースがあったので車を停めた。

父が急いで外に出て車を確認すると、音の正体が分かった。


「あちゃー。こりゃ大変だぁ。」


鋭く尖った木の枝が、前右輪に突き刺さっている。

音の正体はタイヤがパンクした音だった。


「ここじゃあレッカーを呼べないし...。困ったなぁ...。」


山奥なので当然圏外。車が通る気配もなく、住居や電話もない。どうしたものかと途方に暮れた。

しかも追い討ちをかけるように、


ピチャ。パチ。ピシャ。


「うわ雨まで降ってきた。最悪だよもー。」


父は頭を抱えた。車の中から見ていた母も、その姿がはっきり見えた。


「仕方ない、今日は車中泊だな。」


今日の元気はどこへやら。すっかり意気消沈した父は、車のドアを開けた。


「ごめん沙耶香。タイヤがパンクしてて、車中泊になっちゃうけどいいかな?」


父は申し訳なさそうに、母に問いかける。


「仕方ないわね。とりあえず、帰ることは明日考えましょう。」


 その言葉を受け取った父は、もう一度外に降りて荷物を一旦全て下ろし、トランクを車中泊できるようセッティングした。

小さな車だが何とか二人分は寝れるスペースはある。


「沙耶香とコムギはここで寝なよ。僕は運転席で寝るよ。」

父は運転席を少し倒し、疲れたのかすぐに眠った。


「あら、あなたったらもう寝ちゃったのね。コムギ、ママが守ってあげるからねー。おやすみ。チュッ。」


母はコムギにおやすみのキスをして、抱きながら眠った。

足を伸ばせないぐらい窮屈だった。だが、可愛い娘の寝顔を見れるだけで母は幸せだった。


ガーガー。ぐー。ぐー。スヤスヤ。


父と母はすぐに眠りにつき、外の雨音だけが静かに車を包んだ。



家族が眠りについて2時間経った頃。

日付も変わった時だった。


ゴーン!ゴーン!



突然、大きな音がした。


「う....。うーん...。?」


あまりにも大きな音。それでコムギは目を覚ましてしまった。しかし目を覚ますと周りに誰もいなかった。


「あれ...?パパ...?ママ...?」


見慣れた車の中。しかし父と母の気配はない。

外へ降りたのかな?と思い、窓の外を見渡しても誰もいない。ただ雨が降っているだけだった。


ゴーン!ゴーン!


ただ、鐘の音だけは聞こえる。車の中でさえ大きく聞こえた。そう遠くないはずだ。もしかしたらと思ったコムギ、この音のする方へ行ってみたくなった。


「パパとママ、どこいっちゃったのぅ?」


半泣きになりながら、コムギは車を降りて音のする方へ歩いていった。僅か6歳という年齢、寝起きで雨の中ということもあり、一歩一歩はとても小さかった。


200m程歩いた先に、車道から直角に伸びる謎の道を見つけた。車一台通れる幅で、車が何度も通った跡がある。


ゴーン!ゴーン!


どうやらこの音も、この道の先から出ている。

しかし、誰も寄せつけまいと謎のオーラを感じた。


「パパ...。ママ...。どこ...?こわいよ...。」


早く両親に会いたい、その一心でコムギは道を歩いて行った。怖い。寂しい。竦んでしまいそう。その感情を押し殺し、家族に会うために歩みを止めることは無かった。


そして道を抜けた先だった。

そこには、大きな館が建っていた。


ゴーン!ゴーン!


「パパ...?ママ...?ここにいるの...?」


雰囲気から、とても入りたくない館だった。

明かりはついておらず、所々窓も割れている。

外は雑草が生い茂り、煉瓦の壁にはヒビが入っている。


もう誰も住んでいないであろう館。

ゴーンゴーンという音もここから出ている。


「パパ。ママ。待っててね。」


恐怖で体が震えていたコムギ。だが、家族がここにいると信じて館に入ることを決めた。


ギィィィーーーーッ


勇気を出して、立て付けの悪い玄関扉を開けて中に入った。


「オジャマシマァス。」


それでも6歳になったばかりなので、怖いものは怖い。

小さな声で、母に教えてもらった入る時の挨拶をした。


中はすぐ大広間になっている。蜘蛛の巣が沢山あり、シャンデリアは割れ、壁の絵は傾いている。直近に誰かが入った形跡が無い。家族どころか、一人もいないような気がした。


「ス、スミマセン。ダレカイマセンカァ....。」


コムギは恐る恐る体を中に入れ、ゆっくりと玄関を閉じた。

入ってはならない雰囲気。けど、引き込まれるかのようにコムギは中に入って行った。

完全に中に入り、ドアノブを引いて玄関を閉じた。


「パパァ...。ママァ...。いないのぅ..。.?」


その時だった、


ガチャッ!


ドアノブから大きな音がした。


「え...。うそぅ...。」


ガチャガチャガチャ!ドンドンドン!


ドアを引っ張っても叩いてもびくともしない。

どうやら、鍵をかけられてしまったらしい。


「やだよぉ...。おうちにかえりたいよぉ...。パパァ...。ママァ...。」


とうとう我慢の限界で、座り込んで泣き出してしまった。パパもママもいない。暗くて怖い館で一人ぼっち。小さな女の子に耐えられるはずがなかった。


「うわーーん!ママァーー!パパァーー!」


今日は楽しみだった旅行だったのに、どうしてこんな目に。早くパパとママに会いたい。その一心で泣き続けた。

コムギの泣き声は館全体に響いた。


「うわーーん!だれかぁ!たすけてぇ!」


一心不乱に、泣き続けた。

この泣き声に反応したのか、どこからか声が聞こえてきた。


「んーーーーー?。やっぱり、誰かいるんかぁー?」


変な男の声が、聞こえた気がした。


「うわーーーーん。」


しかし、コムギには自分の泣き声で聞こえない。


「えっ!もしかして子供っ!?。あっゴホン。あ、あーよちよちよち。大丈夫でちゅよー。とりあえず、僕のとこに来るといいよー。」


慣れない赤ん坊をあやすような声で、再度話しかけてくる。


「うわーーーーん。」


しかし、コムギには聞こえてない。


「ちくしょう。仕方ない、もう一度鳴らすかぁ!」


ゴーン!ゴーン!


館の前に立ったのを最後にピタリと途絶えた鐘の音が、もう一度鳴り響いた。


「ぐすん...。ぐすん...。ふぇ...?」


鐘の音で驚いたコムギは、ピタリと泣くのをやめた。


「(ウシ、泣き止んだね!)おーい!。そこのお嬢ちゃん!僕のところにおいでよぅ!」


変なテンションの男のような声が聞こえてきた。


「ふぇ...。?」


コムギは驚いた。中に誰かいるのか?

けど、知らない人には安易について行かないよう教えられていたコムギは、


「おじさん!だれですか!」


とりあえず、声の主がなんなのかを聞いた。


「ちょっ、おじさんてひどいなぁもう。まぁそれもヨキッ!話したい事があるんだ。正面廊下の奥の左側にぃ、青い看板が掛かった部屋があるから、そこに入ってーね!」


大広間から入ってすぐ近くの廊下を見る。

奥に青い看板のかかった部屋が見えた。

コムギは本当に行っていいのか躊躇った。

しかし、進まなきゃダメだと自分を奮い立たせ、部屋に向かって歩き出した。


「ほんとうに、だいじょうぶなの?」


コムギはゆっくり部屋に向かって歩き出す。それでも怖くて仕方がない。


「なーに大丈夫さぁー、はっはー↑↑。あと少しだねぇ、早くカモン!」


一歩一歩と廊下を進み、とうとう部屋の前に立つ。


「やっと着いたね?ささっ、早く入って!カモンカモン!」


コムギは震えて声も出なかった。ドアノブを握った瞬間にガタガタと震えている。


ガチャリッ。ギィィィーーーーッ。


立て付けの悪い扉をゆっくりと開けていく。

コムギは怖くて目を閉じたまま扉を開ける。

少し中が見えるかな?というところでコムギはゆっくりと目を開いた。


すると、中は衝撃的だった。

初めまして。ハッピー氏です。


暇なので何かやろうと思い、昔中学時代に書いた小説をそのまま書いてみました。


私にはあまり文才や語彙力が無いので、急な展開であったり言葉を間違った使い方をしている箇所があります。

読みにくいなぁ、ここ変だなぁ、おかしいなぁ等思われた際はアドバイスやコメントしていただけると幸いです。


マイペースで更新していくのでよろしくお願い致します。

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