任務報告
「ハムハム、それでどうなったんだ?」
あれから、三日が経ちようやく俺の周りも落ち着いてきたので、今はこの三日間の様子を霧峰さんに報告している所だ。
「えっと、警察から事情聴取を受けて、積木の両親が挨拶に来て、学校で何か表彰されて、新聞の県内版に載りましたね」
スポットライトって言うのか?あれがとても眩しくて目が痛くなったことをここに記しておこう。
「めっちゃ目立ってるじゃないか!?」
「まぁ、でもこれで早瀬に俺の名前も届いたでしょうし、俺がつ、積木と仲良くなってもおかしいとは思わないでしょう」
「ポジティブに考えるならそうだが、って言うか何でお前、今一瞬積木って言うのに詰まったんだ?」
それについては自分でもよく分からないが、
「関係あるか分からないんですが....積木と話ていると何故か胸がドキドキして、彼女から新種の毒ガスが出てるかもです」
「毒ガスって言うかそれただの恋というか」
「恋なんて俺したことありませんよ?」
「それを初恋と言うんだ夜野くん....くっそ、これならもっとアピールしておくんだった。
だがなぁ、相手は15歳だし3年後くらいに言おうと思っていたがしくった。でも、相手がオッケーするとは限らんし」
何か途中からぶつぶつ言ってる。
「アピールって何ですか?」
「お前聞こえてたの!? 駄目じゃんラブコメ系の主人公は難聴持ちって相場が決まってんてじゃん!」
何故か焦ってよく分からないことを言ってくる霧峰さん。
「いや、自分任務の都合上耳も良くないと務まらないんで」
「普段は聞こえるのに、好意の部分だけ聞き取れないのがお決まりじゃん!」
「お決まりと言われましても」
聞こえるもんは聞こえるのだから仕方ない。
「そもそも、ラブコメって何ですか?
新種の米ですか? 食ってみたいです」
「何ィラブコメを知らないだとぉ、よし、ではラブコメが何たるかについて私が説明してやろう」
「えっ!?」
別にラブコメがどうかなんて俺興味ないんですが!?
「語る。語るぞぉぉぉ。今夜はたこ焼きパーティーだ!!」
「今たこ焼きパーティー関係ないでしょ!」
こうして、その後三時間ラブコメが何たるかを語られました。アーメン。
*
「おはよう」
「おはよう!瞬太、今日もテンションが低いな!」
「いや、洋大のテンションが朝から高すぎるだけだと思う」
「辛辣ぅー」
「滑ってるよ」
「辛辣ぅー」
そんな馬鹿げたことをしながら、俺は自分の席につく。
浅野 洋大、俺が仲良くなったクラスメイトだ。友達がいないと逆に目立つからな。なので、話していて面白いから単に友達になりたかったというわけではないことをここに記しておこう。本当だよ?本当、本当、任務為にしょうがなくだから。
あれから、積木とは話せていない。いや、一回積木の両親と積木がマンションまで来たことはあったのだが、積木とはお互いに緊張して話すことが出来なかった。
今思えばあそこで仲良くなって連絡先を確保しておくべきだった。
つまり、今日こそは任務の為積木と仲良くならねばならない。しかし、積木を前にすると胸がドキドキする為それを乗り越えて話せるかが鍵になる。どうしたら、
そんなことを考えていると、後ろから肩を叩かれた。洋大かな?と思い振り返るとそこには、
「ちょっと、時間をもらっていい?」
足をガタガタ震わせながら真っ赤な顔で立っている積木がいた。
「い、いいよ。全然」
実際の所、胸が全力でドキドキしていて全然良くはないが、任務の為このチャンスを逃すわけにはいかない。
やっぱり、新種の毒ガスが出てるそう思いながらも勇気を出して、積木と話をすることにした。