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可愛いすぎて

積木 夕それは、政府の要注意人物早瀬 成の幼馴染。俺に課せられた任務はまず、積木と仲良くなること。


本当なら、早瀬 成と直接仲良くりたいが、違うクラスなのにガツガツいくと察しられてしまう可能性もあるため、まずは積木と仲良くなってから早瀬とも関係を築き情報を探るのがいいだろう。


その為に求められるは自然な友達のなり方。

積木と仲良くなる上で、どれだけ自然に作れるか、強引だと早瀬にバレる場合がある。


しかし、自然に仲良くなるにも何かとっかかりはいる。その為に、積木の情報を集めてその情報を元に自然に近寄らなければいけない。


それは、霧峰さんの言う通りだし文句はないんだが....それはそれとして、


「まさか入学式が終わったら、女子の帰りを見張ることになるとは」


俺は今、積木の後ろ(20メートルほど距離を開け)を歩いていた。

それは自然にさも、たまたま進行方向が被っただけのように歩いていた。

補足:主人公は視力が9.0あるので遠くまでクッキリ見えるぞ。


ちなみに、


「積木に特に目立った動きはありません、どうぞ」


『了解。ハムハム。そのまま続けて何か特徴や好きそうなことを見つけるんだ』


今は霧峰さんとインカムで会話しながら歩いている。(一応スマホを耳に当て電話で話しているように見せかけている)


こうすることで、積木のペースにも自然な形で合わせられている。俺が普通に歩いているだけだと遅すぎると怪しまれるかもだが、

歩きスマホをしながらだと遅くても不思議に思わないと霧峰さんが言っていた。


『というか、お前何か元気ないな?どうした?いつもみたいに「食ってんじゃねぇどぉ」とか言わないのか』


「若干語尾のイメージは気になる所ですが、

俺はもう今日二回拷問受けてるんで疲れてるんですよ」


担任の先生とやらからも、校長ほど中身が薄くないがダラダラと話されしまった。

しかし、さすがは校長とやらの拷問を涼しい顔で乗り切った生徒達。


俺が苦しむ中、寝るほど余裕がある奴までいて驚かされた。


『んで、積木の今の所の全体的な印象はどうだ?』


「呆れるほどのお人好しですね」


積木 夕を一言で表すならそれだ。

帰る途中泣いている女の子と出会った積木は女の子と手を繋ぎ家を探しに行き1時間かけて見つけて女の子を家まで送り届けていた。

しかし、帰り道が分からなくなり警察に寄って道案内してもらってたっけ?

おそらく、冷静キャラを高校では演じようとしているが本来はそんなキャラじゃないんだろう。


『まあ、お前が言えることじゃねぇがな』


「どこがですか?」


『お前任務中なのに、木の上にある風船をとってあげたり、おばあさんの道案内をしてあげたりしてたろ?」


「あれは、ただの任務ついでですよ」


『ついでだとしてもだな、あれは______』


キィイイイイイン 耳で嫌な音が鳴り響く。

これは、またあの音か。


『どうした?』


「嫌な音がしました。ちょっとすいません。通信切りますね」


『お、おい!どうし____プチっ』


すいません、霧峰さん。心の中で霧峰さんに謝りながら周囲に神経を尖らせる。


嫌な音。それは俺の耳に聞こえた後、とんでもないことが起こる前兆。誰かの死。

今まで防げたことはない。


くっそ。どこだ。どこだ。どの人が危ないんだ?早く見つけないとまた死人がでる。


周囲を懸命に見渡していると、チラッと積木が行く先のカーブミラーが目に入る。


そこには、とんでもないスピードで走る車が映っていた。おそらく、飲酒運転か何かだろう。しかも、最悪なことにウィンカーがついており右すなわち積木の方向に曲ろうとしている。


まずい、積木が気づいている様子はない。

おそらく、今回の音はこれが原因だ。何もしなければあの車が積木にぶつかって死ぬ。


そう直感した俺はすぐさま駆け出すが、駆け出して1秒で悟る。|このスピード 《常人並に抑えたスピード》じゃ間に合わない。


だが、周りに人もいる。俺が全力で走れば目立たないというのは無理だ。そんな話を聞けば早瀬は俺を警戒するだろう。それに、早瀬に近寄る手は他にもある。だから、無理して積木を守る場面じゃない。任務を思うなら慎重に行動すべきだ。


任務か人命か、そんなの決まってる。

どっちも大事だ。


速く走ると怪しまれるなら、常人には見えないスピードで走ればいい。見えないほど速く。限界を超える。


思考を巡らせた、俺はそこで一気に加速する。すべての意識を足にさき、全神経を足に集中させる。


常人には、俺が見えないはずだ。


曲がってきた車が勢いを落とさず曲がった為制御できず、積木の方に向かっていく。


積木も気づき避けようとするが、足が動かない。


俺は積木に追いつくと積木を抱き抱え前方へ飛ぶ。


ドォォォォン さっきまで積木がいた場所に車が突っ込み、どこかの家のブロック塀を破壊しちょうどブロック塀の半分辺りで車は止まっていた。


「ふう、ギリギリだったぁ」


俺の見立てよりも車は1秒ほど速く積木に到達していた。


「って大丈夫か!?」


積木がしばらく放心している。無理もないだろう。あんな目にあったんじゃ無理もない。

しばらくして、ようやく気を取り戻した積木が顔を上げる。そして、


「本当にありがとうございます。私のせいで危険な目に合わせてしまって」


頭を丁寧に下げる。


「何を言ってるの?悪いのはあの車だろう?」


「いえ、私が動けていればこんなことには、怪我とかしてませんか? あなたは確か同じクラスの手網 瞬太さんでしたよね?」


「いや、特に怪我はそれよりも俺は君の怪我の方が心配なんだが」


よほど怖い目にあったろうに人の怪我を心配できるとは、やっぱりお人好しだ。


「なんでフッって笑ってるんですか!?

っていうか足から血が出てるじゃないですか!?」


「いや、これくらいなんともない」


痛みは多少はあるが、


「駄目ですよ。ばい菌が入ったらどうするんですか!」


そう言って、アセアセとバックから消毒や絆創膏などをだし俺の足を治療する積木。


うっ、何かいい匂いする。そして、必死に俺の足を治療し、


「痛いの痛いの〜とんでけー」


と俺の足に手を当てやってきた。しかも、めっちゃ必死にやってる。目がガチだ。


「可愛い」


「えっ!?」


積木が顔を上げる。


うん?俺今なんかとんでもないこと口走らなかった?


初対面の女性に可愛いって言うのはセクハラにあたるって霧峰さんが言ってなかった?

というか、何故言ってしまったんだろう。


「可愛いって言った!?」


積木が顔を上げて尋ねる。


「いや、今のは違くて」


セクハラとかではないんですよ!


「違うんだ....そう」


なんか落ち込んでる。そりゃそうだ、可愛くないって言ったようなもんだしな。でも、可愛いはセクハラだし、どうすればいいんだよぉ。可愛いのは事実だし。ってかこんなこと初めてだし。とりあえず、何とか取り繕わないと。


「いや、可愛いんだよ。でも、そう意味じゃなくて」


「いや、どういうこと!?」


「いや、可愛いだけど、決していやらしい意味では」


いや、この発言がむしろセクハラに聞こえてしまうか!? 俺が焦っていると。積木がクスクスって笑った。


「手網君って面白いね」


積木が笑顔でそう言ってくる。その笑顔があまりに魅力的で、


「可愛い」


「え!?」


ってまた言っちゃった。そして、照れてる。

その様子がまた、とても、


「可愛い」


「え!?」


「あぁ、もう」


どうしたらいいんだ。可愛いすぎて筒抜けになってしまう。


そんなことをしているとパトカーの音が聞こえてきた。通行人が通報でもしたのだろう。

でも、俺は胸がドキドキするという初めての病気(?)で気にする余裕がなくなっていた。















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