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第35話 突然のデート(2)

 翌、土曜日。

 僕は服を買いに行く――より前にまず、朝一で髪を切りに近所の理髪店へと向かった。


 朝、鏡を見てみたら顔が冴えないだけじゃなくて、髪が全体的に長くなってもさっしていることに気が付いたんだよね。


 特に前髪。


 日常生活にはまだまだ全然なんの問題もないんだけれど、なにせ西沢さんとの初めてのデートなのだ。

 ほんの少しでもいい印象を持ってもらいたかった。


「初めて女の子と遊びに行くので爽やかな感じでお願いします」


 万が一にも変な髪形にならないようにと、理容師のお兄さんに初デートなのだと勇気を出して告げる。

 すると担当の理容師さんは髪を切りながら、なんと僕にデートのアドバイスをしてくれたのだ!


 理容師さんは受け答えがすごく柔らかで、人付き合いが苦手な僕でもすごく話しやすい爽やか系のお兄さんだった。

 会話が上手で、この人はモテるだろうなって僕でもわかった。


 それで色々話をしているうちに服の話になって、


「高校入ったばかりなんだよね? だったら下手におしゃれしようって思うよりも、濃い目のスキニーパンツと白いシャツでシンプルにまとめれば清潔感が出ていいんじゃないかな。これならスニーカーにも合うしそんなにお金もかからないから、高校生のお小遣いでも充分買えるしね。そこからあとは男は中身で勝負だよ、頑張ってね」


 とても具体的かつわかりやすく何を買えばいいかを教えてくれたのだ。


 男は中身で勝負っていう最後の言葉だけが少しだけ不安だったけど。

 それでもとても親身に恋愛初心者でもわかりやすくアドバイスをしてくれた理容師のお兄さんには、感謝の言葉しかない僕だった。


 ちなみにスキニーパンツっていうのはぴったりフィットするタイプの細身のパンツのことなんだって。

 最近は履き心地がよくて動きやすい伸縮素材でできているのがあって、これだとデート先がどんなところでも対応できて、とりあえず持っておくのもお勧めだよってことまで教えてくれた。


 色々教えてくれながら髪を爽やかにカットしてくれた理容師さんにお礼を言って、高校に行く時に降りる駅の大きな駅前ショッピングモールにやってきた時には、既にお昼前になっていた。


 まずは理容師さんから教えてもらったセレクトショップ(服屋さんのことをカッコよくこう言うらしい)に向かう。


 ショッピングモールの1階入り口にある大きな案内板で、目的のお店が何階のどこにあるかを確かめていると――、


「あれ、佐々木くん? やっぱり! 奇遇だね♪」

 僕は突然背後から女の子に声をかけられた。


「えっ、西沢さん!?」

 慌てて振り向いた僕の前にいたのは、当然というかやっぱり西沢さんだった。


 っていうか学校の外でわざわざ僕に声をかけてくる女の子は、西沢さんしかいないからね。


 それに西沢さんはこの高校最寄りの駅の周辺に住んでいるのだ。

 だから休日の駅前ショッピングモールで遭遇しても不思議はなかった。


 そしてこちらも当然というか、西沢さんはいつもの見慣れた学校指定ブレザー制服ではなく私服を着ていた。

 元が可愛いこともあって、白いブラウスとハイウェストのフレアスカートが、控えめに言って最高に可愛らしい。


(目の前に本物のアイドルがいるみたいだ……)


「えへへ、こんにちは佐々木くん。あれ、髪切ったの?」


 そんなアイドルみたいに可愛い西沢さんは、すぐに僕が散髪したことに気付いてくれた。


「朝一で切ってきたんだけど、変かな?」


 いざ指摘されると新しい髪形がどうしようもなく不安になってしまって、僕はついついそんなことを尋ねてしまったんだけど、


「ううん、さっぱりしててすごく似合ってるよ。えへへ、男前でいい感じ。グッジョブ♪」

 西沢さんは親指をグッと立てながら、にこっと笑って褒めてくれる。


「ありがとう、西沢さんにそう思ってもらえて嬉しいよ」


 よかった、髪を短くして正解だった。

 急に西沢さんに声をかけられて緊張していた心が、少しだけ楽になる。


 だけど、である。

 今の僕は八分丈のTシャツに古いジーンズという、大変イケてない格好をしていた。


 この姿を西沢さんに見られるのは正直辛いものがあった。

 こうならないようにとデート前日に服を買いに来たっていうのに。

 よりにもよって西沢さんに出会っちゃうなんて……。

 

 ダサダサ男子として幻滅されたかもしれないと、僕が大いに意気消沈していると、


「で? わたしは?」

 西沢さんが上目づかいで尋ねてきた。


お読みいただきありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 一緒に服選んでもらえるね。
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