LV38 圧倒的パワー
「さて、どんなもんか見せてもらおうか」
負ける気など微塵もしないというが如く、ジンは自信満々だ。
「ねぇ、フミヤさん」
突如、モコがフミヤに話しかける。
「ん?」
「魔法一回打ってみてもいい?」
「いいんじゃない? 今ならこっちを気にしてないし、当たるんじゃね?」
二人には、緊張感が微塵もなかった。
モコは手に持つ杖に魔力を込め、ファイアーボールを放った。火球はジンの体スレスレを通過し、ゴブリンロードに直撃。――すると思いきや、ゴブリンロードはその火球を
右手で弾き飛ばした。ゴブリンロードの腕は、ブスブスと少し焦げていたが大したダメージではなさそうだ。
「熱!」
ジンは服の裾が、チリチリと燃えているのに気づき慌てて叩き消した。
「こら、モコ! 俺まで燃やすつもりか? 余計な事せずに黙ってみてろ!」
*ジンは怒っている。
「怒られちゃったじゃないですか」
「俺のせいにすんなよ。お前がオーナーまで燃やすからだろ?」
「そうですけど……。でも、簡単に止められちゃいましたね」
「だね」
「でもゴブリンロードってブサイクですよね」
「いや、イケメンのゴブリンとかいたら、ちょっと気持ち悪いだろ?」
「倒すのためらいそう」
「おいおい」
二人を見て、ジンはため息をついた。
「では、仕切り直しで……」
*ゴブリンロードの攻撃。
ゴブリンロードはジンに殴りかかる。
「パンッ」
ジンはゴブリンロードの攻撃を、広げた右手の平では受け止めるとトンと前へ押す。そして、ゴブリンロードが後ろへよろめいたところへ、すかさず左手に持っていたハンマーを叩きつける。
「オオオォォォ。」
左わき腹に、ハンマーによる強烈な打撃を受けたゴブリンロードは、たまらず苦しみの声を上げた。苦しみのあまりゴブリンロードの体が九の字に曲がる。間髪入れず突き出た顎にジンは右アッパーをお見舞いする。
ゴブリンロードは白目を剥き、その場で倒れ込んだ。ゴブリンロードの顎は粉々に砕け散っていたのだ。
「こんなもんか……弱い」
「やったー!」
「ジンさん、格好いいーー!」
フミヤとモコはジンに駆け寄る。
「オーナーは、そんな強いのに何故、店の物は壊れないんですか?」
「おまえ、パワーセーブって知らないのか?」
*ジンはスキル鑑識を使用した。
「なんだ、お前もパワーセーブ持ってるじゃないか」
「いやー俺、自分のスキルの使い方とか見かたとか知らないんです」
「そんなんも分からずついて来たのか……モコでも知ってるぞ」
「えへへへへ」
ジンはとりあえず、簡単にフミヤへ教える。
「自分の前方で、〈開け〉(オープン〉〈ステータス〉などの言葉を唱える。なんでもいいが、自分がしっくりくる言葉がいい。要は念じるんだ!慣れてくれば口に出さなくても、思い浮かべるだけで見れるようになる」
「他人のステータスは、俺が今使った鑑識やスキャンというスキルがあれば見えるようになるが、スキルLVにより見れる範囲は異なる。また、種類によっては鑑識でも見れないスキルや呪文も存在する」
「なるほど……」
今更ながら、フミヤは初めて自分のステータスの見方を覚えたのだった。
鑑識 他人の能力を見れるスキル




