LV11 勧誘
どーも、フミヤです。
今ストーカーに付け狙われています。皆さんも気を付けてくださいね。
「フミヤさん。考え直してくださいましたか?」
「聞いています? フミヤさん……フミヤさん」
自称女神のアテーナーさんです。精神体だかなんだか知りませんが、幽霊のように追ってきます。
本当に迷惑です。
「あなたには勇者を救うという使命があるんですよ」
「いえ、結構です」
「あなたにこの世界の命運がかかっているのです」
「いえ、大丈夫です」
「今なら特典としてこの光り輝く剣がついてきますよ」
「いえ、間に合ってます」
(だんだん胡散臭い勧誘みたいになってきているな)
「ええーい、おまけです! 光の鎧も持っていけー」
「だから、いらないって……」
かれこれ3日間、この状況が続いております。働いている時は背後霊のように後ろに立ち、寝る時は枕元に立ち、風呂に入れば窓から入ってくるのです。
トイレでもノックせずにすり抜けて入ってきます。もう、ストーカーを通り越して変態です。神様どうにかしてください……。
切に願うフミヤだった。
「ただいま、フミヤ!」
愛しのヴィオラが帰宅してくる。
「ヴィオラ、相談があるんだけど……」
フミヤは深刻な眼差しでヴィオラに話し掛ける。
「どうしたの?」
深刻な面持ちのフミヤをヴィオラは心配する。
「浄化魔法って使える?」
「うん。専門でないから、ある程度の効果しか期待できないけど……」
「一回、俺に向けてやってくんない? なんか憑いちゃってるんだよね」
「そもそも神とは崇拝・信仰されるもの、人間には自分達の存在を明らかにするべきではない」
そう考えるアテーナーは、なるべく人間世界に影響がないように、フミヤ意外には見えない術を施している。
ヴィオラにアテーナーは見えていない。
「確かに何か感じた事のない特殊なオーラを感じますね」
ヴィオラは詠唱を始めた。
「古の神々よ、聖なる浄化の力を我に示したまえ。ホーリーディスロイヤー」
「私、神ですがーーーーー!」
アテーナーは浄化魔法の効果により天へ帰って行った。
手柄を自分の物にしようとした邪な気持ちに魔法は反応したのかもしれない。
胡散臭い勧誘をしたアテーナー天界でゼウスに怒られた。
ホーリーディスロイヤー LV2 中級浄化魔法




