⭕ 【 ベアリーチェの誕生日パーティー 】 パーティー会場 6 / さぁ、ダンスの時間だ 2
セフィ:タシィルドレテク
「 ──ベアリーチェ様、もう1曲、僕と踊っていただけませんか? 」
ベアリーチェ
「 喜んでお相手致しますわ〜〜。
貴方となら何曲でも踊れますわ〜〜 」
セフィ:タシィルドレテク
「 ──ベアリーチェ様の望まれるままに 」
オレに差し出されたセフィの手を取ると、ダンスの曲が流れ始める。
次のダンスは、会場に居る全員がパートナーと共にダンスを踊るパートだ。
オレはセフィと一緒に踊る。
セフィは童話の中に出て来る王子達が束になって挑んで来ても絶対に敵わないような完全無敵でラスボス級の王子様だ。
社交界に現れたら、貴族令嬢達が一斉にセフィへ群がるのは間違いなしだな!!
この国の王子達も相当なイケメンハンサムらしいけど、セフィの前では霞んでしまうんだろう。
セフィの引き立て役にすら、なれないかも知れない。
だってセフィは精霊で、妖精王なんだぞ。
人間が敵うような容姿や美貌をしていない。
人間が地べたに平伏して、泣きながら拝み倒すような美貌をしているセフィの魅力が妖精の力で5割増しになってるんだから、相当なんじゃないかな?
なんか感極まって泣いてる人もチラホラ居るみたいだし?
ベアリーチェ
「{ ──ダンスってさ、踊れたら楽しいもんだな!
こんなに楽しいなんて思わなかったよ!
真面目にダンスを覚えてみようかな?
妖精さんのフォロー無しでも踊れるようになりたい──かな? }」
セフィ:タシィルドレテク
「{ ダンスは身体を動かしますし、健康には良いです。
ワタシが直々に教えます。
一緒に踊りましょう )」
ベアリーチェ
「( 有り難な、セフィ!
セフィが居てくれるから家庭教師も要らないな! }」
セフィ:タシィルドレテク
「( ベリィが望むなら、ワタシがベリィに必要となる事を教えましょう )」
ベアリーチェ
「( セフィ〜〜(////)
あぁ〜〜でもさ、両親や兄姉,使用人達には何て言えばいいんだ?
“ 家庭教師は要りませんわ〜〜 ” なんて言えないよ… }」
セフィ:タシィルドレテク
「{ 先手を打ちましょう。
家庭教師も出来る専属執事として、ベリィの前に現れます。
そう…タシィルドレテク・セロッタの紹介状を持って。
どうです? }」
ベアリーチェ
「{ そんな事が出来るのか? }」
セフィ:タシィルドレテク
「{ ふふふ。
出来てしまうのが精霊です。
折角ですし、ベリィの両親に専属執事の件を話してみましょう }」
ベアリーチェ
「{ 駄目元で当たるわけか。
お父様は過保護だからさ、許可してくれるかなぁ… }」
セフィ:タシィルドレテク
「{ ベリィは心配しないでください。
人間を丸め込むのは簡単です }」
ベアリーチェ
「{ そうなのか?
よ〜し、それなら、全部セフィに任せた!
オレはセフィに丸投げするよ! }」
セフィ:タシィルドレテク
「{ 任されました }」
オレとセフィはダンスをしながら内緒話をしている。
外野からはどんな感じに見られてるんだろうな?
仲睦まじく見えてるかな??
ダンスの曲が終わる。
パートナーを変える時間だ。
生憎とオレはダンスの相手を変える気はない。
このままセフィと踊り続けるんだ!!
偶にオレへダンスの相手を申し込んで来る男子が居るけど、丁重にお断りした。
幾ら子供でも、ガチに男の手を触る事になるわけだから、断るに決まってるだろ!
腰に手を回されたり、引き寄せられたりだってするんだ。
無理だっつーーーの!!
オレが、会場のど真ん中でリバースしちゃったらどうすんだ!!
そんなわけで、オレはセフィとダンスを踊って楽しんだ。
最後のダンスも無事に踊り終えれて良かった。
心の底から安堵した。
オレの誕生日パーティー兼お披露目会は無事に終わりを向かえた。
やれやれだ。
大人達は未だ用事があるらしくて、殆どの大人達は仕事モードに入ったみたいだ。
大人って切り替え早いのな〜〜。
ついさっきまで鼻の下を伸ばして、10歳の小娘にデレデレしていた顔付きと全然誓う。
ド真剣に仕事をする男達の真剣な様子には好感を持てるけど、自分から歩み寄ってお近付きになるのは御免だ!
セフィ:タシィルドレテク
「{ ワタシのベリィ、ご両親の元へ行きましょう }」
ベアリーチェ
「{ そうだな! }」
オレはセフィにエスコートされて、お父様,お母様の元へ向かった。
お父様,お母様,ドルシーへタシィルドレテク・セロッタの紹介を簡単にしたオレは、3人から離れた場所に居た。
お父様,お母様,ドルシーの事はセフィに一任して、オレはクルチェ,クレル,パムと合流していた。
心地好い夜風に当たりながら、女子トークが弾む弾む。
本当に女子ってのは、恋バナが好きなんだな。
クルチェの姉──シェリエッタ様は今回の護衛騎士をしてくれているヤンディエンが好きらしい。
クレルが好きなソニランは、クルチェの護衛騎士なんだけど、そのソニランはと言うと普段シェリエッタ様の護衛騎士をしているシェルルナが好きなんだとか。
──で、そのシェルルナが想いを寄せている相手は、シェリエッタ様と同じくヤンディエンなんだとか。
んで、公爵令嬢のシェリエッタ様と護衛騎士のシェルルナに想われて慕われているヤンディエンにも実は想いを寄せている相手が居るらしい。
片想い率が高いな…。
誰かを好きになると、その相手には既に別の好きな相手が居て、片想いをしている。
…………切ない。
んで、護衛騎士ヤンディエンが想いを寄せる片想いの相手はと言うと、この国で巫女をしているリュローレネ・レモニナイラとシュローネイ・レモニナイラの双子の姉妹──ではなくて、姉妹巫女の御世話係りをしている巫女のエナなんだとか。
どうやらヤンディエンは実らない片想いをしているらしい。
女の巫女は “ 巫女 ” て言うけど、この世界には男の巫女も居るらしくて、 “ 巫士 ” って呼ばれているみたいだ。
巫女と巫士は世俗を捨てて、双子の姉妹巫女の元で生涯を過ごすらしい。
勿論、恋愛や結婚は御法度らしいよ。
双子の姉妹巫女は王族に庇護されていて、国が転覆しない為には必要不可欠な存在なんだとか。
レモニナイラ姉妹の事は後でセフィに聞けばいいや。
セフィはどんな歴史家よりも、この大陸について誰よりも詳しいからな。
貴族社会って片想いが多いんだなぁ。
相思相愛の両想いって中々居ないのかも知れない。
そう考えると、パムの兄──アークェットは相思相愛の貴族令嬢と婚約してるわけだから、幸せなのかも知れない。
◎ 訂正しました。
護衛騎士シェルルナが護衛している公爵令嬢
クレリエンヌ公爵令嬢 ─→ シェリエッタ公爵令嬢