♥ 【 真相は闇の中 】 フィールド / 馬車の中 1
──*──*──*── 馬車の中
エンディミン邸の食堂で美味しい昼食を済ませたオレは、セフィと一緒に玄関前に停められている馬車へ乗り込んだ。
今はシュケルハン邸へ向けて走っている馬車の中のソファーに座っていて、馬車の窓から外の景色を眺めている。
ベアリーチェ
「 ──セフィ、ライエルの殺害を企てた悪い人達は捕まるのか? 」
セフィ:セフィロート
「 その心配はないです。
既にキツいお仕置きは済んでますし 」
ベアリーチェ
「 はぁ?
お仕置き??
済んでる??
どゆこと? 」
セフィ:セフィロート
「 抑、王位継承権を持つ王子殿下の婚約候補には先に大公令嬢,公爵令嬢が候補に上がるものです 」
ベアリーチェ
「 そうなのか? 」
セフィ:セフィロート
「 それを飛ばして侯爵令嬢──、それも辺境の領地を治めているシュケルハン侯爵の7女に婚約の話が来るのはおかしいです。
“ 何か裏があると考える ” と考えるのが常識です 」
ベアリーチェ
「 そうなんだ…。
──で、裏があったわけだ? 」
セフィ:セフィロート
「 ありました。
真っ黒黒でしたね。
今回のライエムント王子殿下暗殺計画とシュケルハン家への爵位の剥奪,没落,領地略奪計画は同時進行されていました。
計画に携わり、関わっていた協力者達の素性は既に把握してますし、制裁も済んでます 」
ベアリーチェ
「 制裁ってなんだ?
何をしたんだ?
お仕置きも気になるし… 」
セフィ:セフィロート
「 大した事はしてません。
両腕と両脚を妖精に喰べさせました。
皆さんが死ぬまで仲良くベッド生活を満喫出来るようにしました。
逃亡されても困りますし 」
ベアリーチェ
「 …………そ…それは大変な事態になってるだろうな… 」
セフィ:セフィロート
「 そうですね。
≪ 王都 ≫で暮らしている貴族達は突然、自身の両腕,両脚を失ったわけですし、大変な目に遭っているでしょうね。
ワタシのベリィを巻き込んだ報いです。
大目に見てくれますよね? 」
ベアリーチェ
「 ……お、おぅ…。
そうだな…。
可憐で幼い少女の命を奪おうとしたんだもんな…。
悪い奴等だもんな?
オレハ、ナニモキイテナイヨ… 」
セフィ:セフィロート
「 ベリィは寛大ですね 」
はははぁ……。
やっちまった後に言われてもなぁ…。
セフィはこういう後出しが多いんだ。
と言うか、後出ししかして来ない。
精霊のやり方は、かぁ〜〜なぁ〜〜りぃ〜〜〜狡い!!
ベアリーチェ
「 気が利いて優しいセフィさん、 “ 一生涯ベッド生活 ” をプレゼントしただけなのか? 」
セフィ:セフィロート
「 まさか。
彼等は面白い程、表に出せないような汚職や悪事に手を染めてました。
なので、シュケルハン家にしようとした爵位の剥奪,領地の没収をしてから、没落してもらい、大貧民に落ちてもらいました。
関係者のみ全員、犯罪奴隷に落ちてもらいました。
2度と人間らしい生き方は出来ないでしょう。
死ぬまで犯罪奴隷として屈辱にまみれて最底辺の人種として生きてもらってます。
大目に見てくれますよね? 」
ベアリーチェ
「 ………………そだな…。
セフィが動いて阻止してくれなかったら、シュケルハン家に関わる皆が路頭に迷う羽目になる予定だったもんな…。
オレの為に手を尽くしてくれて有り難なセフィ… 」
セフィ:セフィロート
「 どう致しまして♪
ベリィが幸せな人生を送れるようにワタシは邪魔者を排除します。
安心して暮らしてください♪ 」
ベアリーチェ
「 お、おぅ…… 」
オレに出来るのは感謝の気持ちを伝えて御礼を言うぐらいしか出来ない。
オレの為に此処までしてくれたセフィに文句を言って責めたりして、セフィの御機嫌を損ねたりしたら──、国が1つ消し飛びそうだ。
うん…セフィならやる。
精霊は気紛れで自然災害を起こすなんて朝飯前だからな!
オレがセフィの御機嫌を良くすれば、何処かの国がセフィに滅ぼされる事もないんだ。
知らんけど、多分な…。
セフィ:セフィロート
「 ベリィならワタシのした事を許してくれると思ってました。
ふふふ♪ 」
完全に故意犯だった!!
ベアリーチェ
「 他には何かしたのか? 」
セフィ:セフィロート
「 彼等の汚職や悪事を把握してもらう為に、国王や側近達に資料と証拠を送り付けました。
それぐらいでしょうか。
真の黒幕,首謀者も既にワタシが捕らえてますし 」
ベアリーチェ
「 はぁ?!
捕まえてるのか??
マジで?! 」
セフィ:セフィロート
「 ベリィに嘘は吐きません。
直ぐに殺しても詰まらないので、飽きるまで遊んでから始末しようかと思ってます♪ 」
ベアリーチェ
「 え〜…………。
そいつはさ、人間として死ねるのか?? 」
セフィ:セフィロート
「 何故です?
王子殿下暗殺とシュケルハン家没落計画を企てた諸悪の根元で首謀者ですよ。
人間として死なせる選択はないです。
ワタシの愛しいベリィ、諦めてください 」
ベアリーチェ
「 …………セフィに任せるよ。
もう遊び始めてるんだろ?
セフィを怒らせちゃったんだから、仕方無いと思うよ… 」
セフィ:セフィロート
「 ベリィ♪ 」
ははは……本当に≪ 王都 ≫は大変な事になってるんだなぁ……。
ベアリーチェ
「 念の為に聞くけど…資料とか証拠を偽造したりはしてないよな? 」
セフィ:セフィロート
「 する必要がない程に真っ黒黒でしたから何もしてません 」
ベアリーチェ
「 そうなんだ…。
でもさ、どうやって調べたり、資料を作成したり、証拠を手に入れたりしたんだ? 」
セフィ:セフィロート
「 妖精にさせました。
ワタシはベリィから離れたくないですし 」
ベアリーチェ
「 妖精さんって凄いんだな…。
何でも出来るんだ? 」
セフィ:セフィロート
「 そうでもないです。
妖精にも出来ない事はありますし 」
ベアリーチェ
「 そうなんだ… 」
セフィ:セフィロート
「 今の≪ 王都 ≫はバタバタしていて、王族も大変な状況です。
ライエムントには≪ 王都 ≫が落ち着く迄はエンディミン邸に滞在してもらう事になります。
偶には美味しいスイーツを持参して様子を見に行ってあげましょう 」
ベアリーチェ
「 そうだな…。
スイーツの種類が少ないけどな〜〜 」
セフィ:セフィロート
「 其処は追々考えましょう 」