✒ 【 さぁ、宴の時間だ! 】 訓練場 2
ライエルが言葉を漏らす。
オレも一緒にセフィとじぃさんを見ているけど、確かにセフィは剣を持ってはいるけど構えてない。
じぃさんは剣を構えているのに、何でセフィは構えないんだ??
ベアリーチェ
「 どうしたのかしら〜〜? 」
婚約者:ライエムント
「 剣術が出来ない──って事はないんだよね? 」
ベアリーチェ
「 それはないと思いますわ〜〜 」
多分なぁ…。
セフィ〜〜〜〜、どうするつもりなんだよ!?
なんて見ながら思っていたら、打ち合いが始まった。
抑だ、子供の前で真剣を使って打ち合うって教育的にどうなんだ?
ありなのか??
じぃさんが一方的にセフィに向かって攻めている。
セフィはじぃさんの攻撃を軽やかに交わしている。
まるでステップでもしているみたいだ。
それにじぃさんが繰り出している攻撃に対して、剣を上手く使って全て受け流している。
セフィ〜〜〜、ナルギフさんより身軽だな!!
鎧を身に付けてないからだろうけどさ。
婚約者:ライエムント
「 ──凄い…。
ナルギフでさえ避けたり、かわしたりするので精一杯だったのに、攻撃を全て受け流しているなんて── 」
ベアリーチェ
「 セフィは鎧を着ていませんわ〜〜。
身軽だからではありませんの〜〜 」
婚約者:ライエムント
「 …………そ、そうかな?
それだけじゃないと思うけど…… 」
ベアリーチェ
「 亜人なのも関係あるかも知れませんわ〜〜。
セフィはワンコ族ですもの〜〜 」
婚約者:ライエムント
「 リーチェ……人狼族だよ…。
間違えないであげてほしいな… 」
ベアリーチェ
「 そうでしたわ〜〜 」
なんて、ライエルとお喋りしながら見ていると、セフィがじぃさんを攻めていて、素早く鋭く攻撃を繰り出していた。
じぃさんが押されてる?!
鬼剣神が何れ程凄いのか分からないけど、精霊の加護を与えられているじぃさんを押してるなんて、セフィ凄いな。
じぃさんに精霊の加護を与えたのは張本人はセフィらしいけどなぁ〜〜〜。
あっ──、じぃさんがもう1本の剣を抜いた??
両手に剣を持ったぞ。
もしかして、双剣術ステイン流を使う気なのかな?
じゃあ、片手剣の場合はステイン流じゃないって事なのかな?
…………うん、分からん。
二刀流になったじぃさんが剣を構えた。
…………これってさぁ、かなりヤバいんじゃないかな?
今まで片手剣でも十分に強かったのに、二刀流に変えた──って事はだよ、片手剣を使っている時より強くなる──って事なのか??
セフィ〜〜〜〜っ!!
セフィは相変わらず片手剣だ。
片手剣でどうやって二刀流の攻撃を防ぐんだよ!
出来るのか??
まぁ…セフィだからなぁ、大丈夫だぁ〜〜〜。
なんまいだぁ〜〜〜。
婚約者:ライエムント
「 リーチェ……心配かい?
止めた方がいいんじゃないかな… 」
ベアリーチェ
「 ……セフィが止めないなら大丈夫ですわ〜〜 」
婚約者:ライエムント
「 リーチェ……。
自分の執事を信じているんだね 」
ベアリーチェ
「 セフィは強いですもの〜〜。
信じていますわ〜〜 」
じぃさんは容赦なくセフィへ剣義を繰り出す。
セフィは難なく受け流している。
セフィ…パネェな。
じぃさんとセフィの手合わせは、何時まで続くんだろうなぁ……。
とか何とか考えながら2人を遠巻きに見ていたら、近くでドサリ──という鈍い音が聞こえた。
ドサリぃ??
何の音だろう??
何かが落ちたのかな?
なんて暢気に思っていたオレの左隣に座っていたライエルが「 リーチェ! 」って声を上げた。
気が付いたらオレの身体は椅子から離れて地面に倒れていた。
は?
はぁぁぁああああ??
いきなり何しやがるんだよ!
ライエルの奴め!
婚約者だからって、王子殿下だからって、やっていい事と悪い事があるだろうっ!!
中身は男でも外見は、か弱い10歳の女の子なんだぞ!!
椅子から突き飛ばすなんて、していいと思ってんのかよ!!
打ち所が悪かったらどうする気だよ!!
ライエルめぇ〜〜〜!!
態々話を合わせて笑顔を振り撒いて仲良くしてるオレに対して、こんな仕打ちしやがって──タダで済むと思うなよ!
ベアリーチェ
「 ライエル様〜〜、いきなり何をしますの〜〜? 」
取り敢えず、今は素をさらけ出して文句を言うのは止めよう。
じぃさんが居るからだ。
婚約者:ライエムント
「{ …………リーチェ、逃げて!
此処から逃げるんだ!
ナルギフの場所まで走るんだ! }」
ライエルがオレの前に居て、オレを庇うように立ち塞がっている。
何…してんだ??
ベアリーチェ
「 ライエル様〜〜、どうされましたの〜〜?? 」
本当に一体どうしたって言うんだ??
何でライエルの老執事が鞘から抜いた剣の柄を握った状態で立ってるんだよ??
まるでライエルと対峙しているような構図に見えるんですけど!!
ベアリーチェ
「 ……ナイロートさん?
どうして剣を抜いてますの〜〜?
ナイロートさんの番は未だではありませんの〜〜? 」
老執事:ナイロート
「 ライエムント様、お1人であの世へ旅立つのは寂しいでしょう。
ベアリーチェ様と御一緒にあの世へ旅立ってくださいませ 」
婚約者:ライエムント
「 ナイロート──、どういう事だっ!!
どうしてこんな馬鹿な事を──。
お前は僕の専属執事だろう?
…………どうして…お前が…僕の命を狙うんだ…… 」
ベアリーチェ
「 ──はぁ?
命を狙う??
ナイロートは主のライエルを殺そうとしてるのか? 」
婚約者:ライエムント
「 リーチェ…?? 」
ベアリーチェ
「 …………1人じゃ寂しいだろうから、お友達と一緒に死んだら寂しくないでしょ?──って何だよ!
そんな理由でオレまで手に掛けようってのかよ?
馬っ鹿じゃねぇの! 」
婚約者:ライエムント
「 リ、リーチェ……。
どうし── 」
ベアリーチェ
「 ライエル、退け。
邪魔だからオレの後ろに下がってろ 」
婚約者:ライエムント
「 リーチェ…… 」
ベアリーチェ
「 グズ!
死にたくなけりゃ、さっさと下がれ! 」