⭕ 滞在部屋 4 / 待ちに待った長期滞在 9
──*──*──*── 翌日
午前10時頃にオレのドルシーと5名の専属侍女( ベスレ,ホワン,ティグ,メイナ,エンミ )がシュケルハン侯爵邸から来てくれた。
今はオレの滞在部屋に集合してもらっている。
忙しくなるであろうドルシーとベスレ,ホワン,ティグ,メイナ,エンミに対してサポート役としてセフィが用意した3名のメイドが付けられた。
この3名のメイドは魔法で人間の姿を与えられた妖精さんらしい。
えっ……そんな事が出来るなら初めからしてくれたら良かったのにな!
セフィは何時も大事な事を後出しするんだよな…もぅ!!
そんなわけでエンディミン邸での滞在中はドルシーをリーダーとして、侍女やメイドには動いてもらう事になった。
オレのドルシーは初めて任される大任に対して不安がっている。
侍女,メイドを統轄する立場を任されるわけだから緊張だってするだろうし、不安になるのは当たり前だろう。
だからオレはドルシーの両手を握って、笑顔で励ましてみた。
オレが励ましたぐらいで消えてなくなるような不安や緊張じゃないと分かってはいるけど、少しでも気持ちを和らげてあげたかったんだ…。
ドルシーは「 有り難う御座います(////)」って言うと笑顔を見せてくれた。
滞在中に頑張ってもらうベスレ,ホワン,ティグ,メイナ,エンミにも笑顔で声を掛けた。
5名とも元気で明るい声で「 はい、お任せください 」と言ってくれた。
頼もしい後輩達で良かったなドルシー。
セフィがドルシーとベスレ,ホワン,ティグ,メイナ,エンミへ本日のスケジュール表を渡して説明をしている。
スケジュール表なんて用意してるなんて流石だな、セフィ…。
多分、大雑把なスケジュール表なんだろうけど…。
因みにセフィはオレ達専用のスケジュール表も用意してくれていた。
今日はエンディミン邸へ来てくれたクルチェ,クレル,パムの歓迎会をする予定になっている。
クルチェ,クレル,パム達がエンディミン邸へ到着するのは早くて15時頃,遅くて18時頃と予定されている。
シュケルハン侯爵領へ入ってしまえば、怪物や魔物の脅威は無くなるから道中はスムーズにエンディミン邸へ向かえるだろう。
オレが心配と危惧しているのは領地外へ出てからだ。
領地外からシュケルハン侯爵領へ向かう道中が不安だ。
護衛騎士も居るし、其々の領地騎士隊に守られながら馬車で移動するから大丈夫だとは思うけど……。
何とか無事にシュケルハン侯爵領の関所に到着してほしいものだ。
妖精さんにクルチェ,クレル,パムが乗っている馬車を守ってもらえないかってセフィに相談したら、ものの秒で却下されてしまった。
セフィはクルチェ,クレル,パムが道中、怪物や魔物に襲われてしまっても構わないらしい。
魂の契約をしているオレ以外がどうなろうと、精霊には知ったこっちゃないらしいんだ。
薄情だと思うけど、こればっかりは仕方無い事らしいから諦めた。
今日の為に色々と準備をしてくれているんだもんな…。
セフィと妖精さんには感謝さえすれど、文句も我が儘も言えない。
歓迎会の準備は滞りなく進んでいるみたいだ。
流石に食堂を借りる事は出来ないから、使っていない部屋を食事専用の部屋として使わせてもらう事になっている。
余分な家具は全て部屋から出して、必要な家具だけを置いているから実にシンプルな食事部屋となっている。
壁紙もカーテンも絨毯も食事部屋に相応しい模様替えがされているけどな。
因みにオレ達専用のお茶会室や遊戯室なんてのもある。
使われていない部屋をセフィがお祖父様から借りてくれて、今回の為に態々室内を改装して、美術室,工作室,調理実習室,音楽室,図書室…等々を用意してくれた。
セフィは十分過ぎるぐらいオレの為に手を尽くしてくれている。
クルチェ,クレル,パムの歓迎会にはオレだけじゃなくてライエルも参加してくれる。
クルチェ,クレル,パムにはオレの婚約者としてライエルを紹介する事になるのがなぁ〜〜〜……。
友達として紹介したら駄目なのかなぁ……。
婚約者として紹介したくないなぁ……。
ラブラブ大作戦のハードルが上がっちゃうよ……。
それだけが残念でならない。
クレル,パムとは対面して直に会うのは本当に久し振りだから緊張する。
手紙のやり取りは一般的な文通よりはかなりしてると思う。
御互いに一寸した手作りの小物を手紙と一緒に転送させたりもしていた。
実は──前世で一時的に流行っていたミサンガを作ったり、ビーズアクセサリー,サシェ,ポプリ,押し花の栞,ミニ刺繍なんかを作っては送ったりしていたんだ。
どぅ〜〜〜だ、女の子らしいだろ?
ちゃんと年相応に女の子らしい事だってアピールしてるんだよ、オレってば偉いね!!
15時までは未だ時間があるから、オレは読書をする事にした。
読むのは【 イカロスの翼 】ってタイトルの本だ。
何をしたのか分からないけど、何故か牢屋の中に入れられているイカロスと言う名前の青年が、鉄格子の外に居る鳥と仲良くなって、鳥が毛繕いをする度に抜ける羽根を鉄格子から入れてもらって、集めた羽根を蝋燭のロウで固めて翼にしたら、何故か塔の上から両腕に取り付けた翼を羽ばたかせて空を飛んで牢屋から脱出するという内容の話だ。
ツッコミ所が多くて笑いを堪えきれないよ……。
似たような話って世界が違ってもあるもんだな……。