✒ 滞在部屋 1 / 待ちに待った長期滞在 6
──*──*──*── 滞在部屋
セフィと一緒に部屋へ戻ったオレは、さっさと寝間着に着替えしまって、今はベッドの上に居る。
オセロの勝負で手加減してくれず秒殺したセフィに仕返しがしたくて、ワンコ姿のセフィに寝技を仕掛けようとしたけど、あっさりかわされて逆にセフィにマッサージをされている状態だ。
ワンコセフィのマッサージも気持ち良くて、オセロの事なんて許しても良くなって来ている。
セフィワンコの踏み踏みマッサージの効果は絶大で、恐るべしだっ!!
オレは気持ち良さなんかに負けないんだからな!!
ベアリーチェ
「 ……………許すから〜〜、許すから〜〜、もう、勘弁してくださ〜〜〜い(////)」
セフィ:セフィロート
「 もう良いです? 」
ベアリーチェ
「 1時間以上も踏み踏みされたらおかしくなっちゃうだろぉ〜〜〜〜 」
セフィ:セフィロート
「 なりませんよ 」
セフィは少し不満気な声色で言うと、踏み踏みマッサージを止めてくれた。
オレの背中から降りてくれたセフィは、起き上がったオレに顔をスリスリしてくれる。
甘え上手の可愛い奴め!
セフィ:セフィロート
「 クルチェール,クレリエンヌ,パムミメーラと何をしたいか決めました? 」
ベアリーチェ
「 まぁな。
湖がある場所でピクニックをしたいんだ。
簡単なスイーツ作りもしたいし、バーベキューもしたい。
本当はカレーも作りたいんだけど……カレー粉がないからなぁ…。
後──、絵を描いたり,簡単な工作をしたり,社会見学をしたりしたいな。
あっ、クルチェにはライエルと一緒に剣術の稽古を付けてほしいかも。
クレルには拳銃を撃つ練習が出来る射撃場を用意してあげたいし、パムには魔法の練習場がほしいかも。
雨が降った日は、室内でシーリングワックスを作ったり,刺繍をしたり,絵本を作ったり──したいかな? 」
セフィ:セフィロート
「 読書の授業,読書感想文の授業,朗読の授業,書筆の授業,工作の授業,調理実習,社会見学,美術の授業,マナーの授業,礼儀作法の授業,教養の授業,算術の授業,歴史の授業,ダンスレッスン,音楽の授業,体育の授業──楽しくなりそうですね 」
ベアリーチェ
「 入れなくてもいい授業が入ってる気がするんだけど?! 」
セフィ:セフィロート
「 必要な授業ばかりですよ。
それに未々授業は増えます 」
ベアリーチェ
「 増やさなくていいよ… 」
セフィ:セフィロート
「 自分達が上位貴族の令嬢である事を忘れてはいけません。
バルデロンド王立学院へ入学する以上、令嬢教育は必須です。
滞在中に遊んでばかりはいられませんよ 」
ベアリーチェ
「 え゛ぇ゛〜〜〜。
ベリィのしたい事は息抜きとしてするのが良いでしょう。
ベリィはバルデロンド王立学院で学ぶ授業は全て終えてますから、ワタシと同様、教える側に回ってください 」
ベアリーチェ
「 家庭教師みたいなもんだな。
クラスメイトに勉強を教えた事が何度かあるし、出来ない事はないと思うよ 」
セフィ:セフィロート
「 お願いしますね、ベリィ 」
ベアリーチェ
「 任しとけって!
それよか、皆シュケルハン侯爵領に入ったら驚くだろうな。
外から見えてた光景と中に入ってからの光景が違うんだからさ 」
セフィ:セフィロート
「 そうですね。
領地開拓も一段落しましたし、後は収穫を待つだけです。
新しい商会を立ち上げたのは良いけど、上手く行くかな? 」
セフィ:セフィロート
「 大丈夫ですよ。
妖精が回すのですから上手く行きます。
王族御用達の称号さえ付いてしまえば此方のものです。
≪ 王都 ≫への出展準備も進んでますし、今の所は順調です 」
ベアリーチェ
「 沢山の妖精さんが犠牲になってくれたお蔭で領地開拓を進めれたんだもんな。
無駄には出来ないよ。
絶対に成功させて、ガッポガッポ儲けないとな!! 」
セフィ:セフィロート
「 ふふふ…そうですね 」
ベアリーチェ
「 人材確保と人材育成が今後の課題だよなぁ… 」
セフィ:セフィロート
「 人材確保は何とかなります。
人材育成も妖精に任せていれば良いです 」
ベアリーチェ
「 初めから終わりまで妖精さんに頼ってばっかりだよな… 」
セフィ:セフィロート
「 ベリィの手伝いが出来て妖精も喜んでますし、ベリィが気にする事はありませんよ 」
ベアリーチェ
「 うん… 」
セフィ:セフィロート
「 使えるものを使っているだけですし、悪い事などしてませんよ 」
ベアリーチェ
「 悪い事って……。
魔素が噴き出す亀裂に妖精さんを生き埋めにしたじゃんか…… 」
セフィ:セフィロート
「 死んでませんから、何時までも気にしないでください 」
ベアリーチェ
「 気にするなって言われる方が無理だよ… 」
シュケルハン侯爵領の領地開拓には妖精王セフィが生み出した沢山の妖精さんの犠牲の上に成り立っている。
今の所は全ての建設が終わった道路の下や田畑に開墾した下に妖精さん達が生き埋めになってくれている。
こんな非情な領地が今までにあっただろうか……。
言っておくけど、オレは知らないよ!
精霊って自分が生み出した妖精に対して非情にも残酷にもなれるもんなのかな…。
収穫した野菜や果物を一時的に保管する場所や加工工場なんかは、道路の外側に作る事になった。
その土地の下にも沢山の妖精さんが生き埋めになってくれている。
魔素が噴き出す亀裂が領地内にかなりの数が有ったから驚いた。
加工した野菜や果物はセフィが新しく立ち上げ〈 リーチェ商会 〉に集められて、出店先へ出荷されるけど、出荷は転送魔法陣を使うから一瞬で終わる。
収穫した野菜や果物は鮮度が大事だから、やっぱり転送魔法陣を使って、保管場所へ転送された後、妖精さんによって良質品と悪質品に選別される。
悪質品は出荷せずに別の加工工場で加工されて、領民達が買えるように領地内にある店舗へ出荷されたら、格安の値段で販売される。
悪質品と言っても傷物の部分を切り取ってから加工するから、領地外へ出荷する加工品と味は変わらないけどなぁ…。
領地で加工した商品を知って欲しいから領民達へ格安で提供する事にしたんだ。
領地外へ出荷するのは良質品だけだ。
良質品は正規の加工工場へ転送魔法陣を使って転送させる。
加工工場を仕切る妖精さん達が良質品を加工してくれるってわけだ。
妖精さんには助けてもらってばっかりで、有り難いよ。