♥ ベアリーチェの自室 2
料理の味は不味くはなく、寧ろ美味い。
侯爵家の厨房を預かっているぐらいだから、料理長も料理経験は豊富な人だ。
王宮の厨房で働いた事は無いらしいけど、色んな貴族の厨房で揉まれに揉まれ捲ってシュケルハン侯爵邸へ流れ着いたらしい。
料理の腕前はセフィも認める程だから、相当な修羅場を潜り抜けて来た強者なんだと思う。
入手の出来る食材,調味料,香辛料が限られている中で、彼是と試行錯誤や工夫をしながら、食べる側が飽きない料理を毎日作って提供してくれる。
本当に有り難い。
だから、スイーツのレパートリーやバリエーションが少なくても、オレは我慢してるよ!
3食分の料理を人数分作るだけで、手一杯だと思うから「 スイーツも美味しいのを作ってくれ 」って言う我が儘は流石に酷だと思う。
いやね、クッキーとかスコーンも美味しいから好きなんだけどさ、飽きてるんだよ…。
クッキーやスコーンに入れる具材を変えれば色んな種類のクッキーやスコーンが食べれるから、今はそれで我慢してるけど……。
料理だけに手一杯な料理長にこれ以上負担は掛けれないよ。
何とかして、色んな食材,調味料,香辛料を手に入れて、料理長に差し入れしたいよ。
でもなぁ…入手するには、かなりのお金が掛かって出費が半端ない事になる。
何とかならないかな……。
お金を掛けずに食材をゲットする方法は……。
セフィ:セフィロート
「 ベリィ、どうしました?
折角の料理が冷めてしまいますよ 」
ベアリーチェ
「 う、うん… 」
オレはソファーに座って、両手の指を胸の前で組んで、〈 大陸神ティトドムヒ 〉へ食前の祈りを捧げてから、セフィが用意してくれた料理を食べ始めた。
ベアリーチェ
「 そうだ!
ベランダ菜園だ!
ベランダ菜園をすればいいんだ! 」
セフィ:セフィロート
「 ベリィ、急にどうしました? 」
ベアリーチェ
「 あ…うん。
食材って買うと高いだろ?
だから、種から育てれたら安上がりになるんじゃないかな──って思ったんだ。
丁度、オレの部屋にはベランダがあるだろ。
だから、ベランダで菜園して育てた野菜を料理長に使ってもらえないかな──って思ってさ 」
セフィ:セフィロート
「 庭の畑の一部を借りて育ててはどうです? 」
ベアリーチェ
「 畑を?
家庭菜園かぁ…。
オレ、家庭菜園はした事ないんだよな… 」
セフィ:セフィロート
「 ベランダ菜園はした事あります? 」
ベアリーチェ
「 いやぁ…実はベランダ菜園もした事はないんだ…。
ベランダガーデニングとかベランダ庭園とかベランダハンモックとかに憧れてはいたんだけどさ、其処までする余裕がなくて……。
ハンモックなら室内でも出来ると思うんだけど……。
前世にはさ、ブランコハンモックとかハンモックチェアとかバーハンモックとか自立式とか吊り下げ式とか色々な種類があったんだけど──。
セフィ、この世界にハンモックってないのかな?
ハンモックに似てるのでもいいんだけどさ 」
セフィ:セフィロート
「 ハンモック…です?
ハンモックとは主に、どの様な形をしてます? 」
ベアリーチェ
「 あ…そっか…。
じゃあ、後で絵を描くよ。
上手く描ける自身はないけど、大体の形は覚えてるからさ 」
セフィ:セフィロート
「 お願いします。
ベランダ菜園をするなら、種,土,肥料,入れ物等の道具が必要ですね 」
ベアリーチェ
「 あ、そっか。
ベランダ菜園するにも一式揃えないといけないんだよな…。
全部揃えるのに幾ら掛かるんだよ… 」
セフィ:セフィロート
「 安心してください、ベリィ。
必要な物は妖精に調達させますし、ワタシが〈 テフ 〉で構成して増やします。
土も水も魔法で出せますし、肥料はワタシが種に合うように調合します。
折角ですし、季節を気にせず菜園を楽しめるようにしましょう 」
ベアリーチェ
「 うん!
有
季節を気にせずに野菜が育てたられるなんて凄いな!
前世ではさ、ビニールハウスや温室なんかで季節の違う野菜や果物を育ててたんだ。
支援金が出るけど、費用が掛かかるから軌道に乗る迄が相当大変なんだよな 」
セフィ:セフィロート
「 ワタシが居
ベアリーチェ
「 何
セフィ:セフィロート
「 ふふふ。
ベリィは前世のワタシ
ベアリーチェ
「 ははは……。
結局…助けてあげられなかったけどな…… 」
セフィ:セフィロート
「 ベリィ──、結果はどうあれ、前世のベリィがワタシ
前世のベリィの勇気ある行動が絶望の中に居
誰が何
ベアリーチェ
「 セフィ…(////)
有
セフィ:セフィロート
「 ワタシは一生涯、ベリィの傍
ベアリーチェ
「 うん…(////)」
セフィ:セフィロート
「 ベリィ、ベランダ菜園をするのは野菜だけで良
ベアリーチェ
「 苺とか育てたいな。
食後のデザートに出たらテンション上がるよ!
でも、最初は野菜かな〜〜。
あんまり大きい野菜は庭の畑を借りて育てたいな 」
セフィ:セフィロート
「 先ずは野菜と果物の種を選びましょう。
図鑑を用意しときます。
夕食
ベアリーチェ
「 うん! 」
オレ
〈 大
図鑑には野菜の名前,野菜の写真,種の写真,植え時期が書かれている。
知らない野菜が載ってるけど、前世で知ってる野菜も載っているのには驚いた。
前世の野菜まで育てられるなんて不思議な感じがするけど、オレ的には有
見た目は同じだけど名前が違うから、やっぱりこ
使いなれてる野菜だから、料理のし甲斐があるってもんだ!
種蒔きする日が楽しみだな!
ふへへ(////)