✒ 庭園
──*──*──*── 庭園
子供部屋でクルチェと朝食を済ませたオレは、クルチェの部屋に寄って、下働きの使用人が着る衣服を貸してもらった。
クルチェの部屋を出て、中庭を通り過ぎて向かったのは、庭園の中にある噴水前だ。
そう言えば、木登りをする約束もしていたっけ。
この格好なら木登りしたって大丈夫そうだな。
ベアリーチェ
「 クルチェ〜〜、後で木登りをしたいですわ〜〜 」
従姉:クルチェール
「 木登り?
あぁ、庭園を見渡せるんだったな。
いいよ、後で木登りのコツを教えるよ 」
ベアリーチェ
「 嬉しいですわ〜〜 」
ヨッシャア!!
登り棒なら楽々登れてたから、多分だけど木登りも出来る筈だ!
──*──*──*── 噴水前
従姉:クルチェール
「 ──此処が噴水だよ!
女神像が持っている魔鉱石に魔法を当てると、女神像が動いて水の出方が変わるんだ 」
セフィ:セフィロート
「 成る程…凝った仕掛けですね。
飛天族をモチーフにした女神像とは、セイスが良いですね 」
従姉:クルチェール
「 えへへ(////)
女神はシェリーお祖母様
をモデルにしてるだ。
翼を生やしたシェリーお祖母様、似合うだろ! 」
ベアリーチェ
「 お似合いですわ〜〜 」
まぁ、実際には正真正銘の飛天族だけどな。
クルチェは飛天族,吸血鬼,人間の血が混ざってるんだよな……。
クルチェも老化が遅いのかな??
従姉:クルチェール
「 セフィロート、頼めるかな? 」
セフィ:セフィロート
「 お任せください、クルチェール様 」
セフィは女神像が持っている魔鉱石に向かって魔法を注いだ。
すると女神像からガコン…という音が聞こえて動き出した。
女神像の台がゴゴゴゴ…って音を出しながら動くと、出ている水の出方が変わった。
ベアリーチェ
「 ──本当に変わりましたわね〜〜 」
従姉:クルチェール
「 はぁぁぁぁ〜〜〜。
凄い……。
セフィロート、次の魔法も頼むよ 」
セフィ:セフィロート
「 畏まりました、クルチェール様。
ワタシの使える魔法を全て試してみましょう 」
そう言うとセフィは女神像の魔鉱石へ魔法を注ぐ行為を繰り返した。
セフィが女神像を1番最初の位置に戻し終わってくれた後も、クルチェとオレの興奮は覚めなかった。
いや、本当に凄かった!!
いいもんを見せてもらえたよ!!
これは良い思い出になる事、間違いなしだ!
クレルとパムにも見せてあげたいよ!!
噴水と女神像が雹の被害を受けて壊れなくて良かったぁ〜〜。
従姉:クルチェール
「 セフィロート、有り難な(////)
オレも初めて見る女神像の動きや水の出方があって、驚いたよ!!
セフィロートは何でそんなに沢山の魔法が使えるんだ? 」
セフィ:セフィロート
「 亜人類は人類より覚えられる魔法,使える魔法が多いです。
1人で何種類もの属性魔法を扱えるのも亜人類の特徴です 」
従姉:クルチェール
「 そうなんだ…。
セフィロートは色んな魔法が使えて凄いな… 」
セフィ:セフィロート
「 ワタシ等、未々ヒョッコです。
使える魔法は多くても、何れも初級ですからね 」
従姉:クルチェール
「 そうなの?
初級でも魔法が使えるだけ凄いよ!
オレなんて魔法を使えないもん… 」
セフィ:セフィロート
「 噴水も見ましたし、美術の授業を始めましょう 」
セフィは持って来ていた美術道具を貸してくれる。
クルチェとオレに渡されたのはスケッチブックと鉛筆だ。
んんん??
鉛筆…だと?!
この世界に鉛筆があるのか??
ベアリーチェ
「{ セフィ、これって鉛筆…… }」
セフィ:セフィロート
「 初めて見る道具でしょうから簡単に説明します 」
セフィはスケッチブック,鉛筆,クレパスの使い方を丁寧に教えてくれる。
お絵描きセットを貸してもらったクルチェとオレは描きたい物を探して庭園内を歩き回る。
初心者なんだから、簡単な花が良いよなぁ。
いや、別に花じゃなくても良いんだけど……。
スケッチブックに鉛筆で下書きをしてクレパスで色を塗っても良いし、スケッチブックに直接クレパスで絵を書いても良い。
オレはスケッチブックに直接クレパスで絵を描く事にした。
吹いてる風が気持ち良い。
美術の授業も偶には良いかも知れないな。
絵を描き終わった後、クルチェとオレはセフィに見守られながら、木登りを楽しんだ。
棒登りと違って、木登りにはコツが要った。
登り慣れているクルチェと違って、オレは木登りに悪戦苦闘する羽目になったけど、これはこれで楽しいから良しだ!
クルチェに木登りのコツを教わりながら、何とか木登りを達成出来たオレは、クルチェと一緒に木を上から庭園を見渡す事が出来た。
写真に撮って記念に残したいぐらい眺めが良かった。
動画で残せるスマホが手元に無いのが悔やまれる。
実に惜しい!!
技術者にでも転生した誰か、作ってくれないかぁ。
魔法で動かせるスマホだったら、セフィが居てくれるからオレにも使えるもんな!
頼みます、誰か、スマホを作ってくれぇ〜〜〜!!
木登りを堪能したオレとクルチェはセフィに促されて庭園を出る事になった。
昼食の時間だから屋敷へ戻って、子供部屋に向かう為だ。