♥ 滞在部屋 1
──*──*──*── 滞在部屋
昨夜、セフィに全身マッサージをしてもらえたから身体が軽い。
これからは毎晩、セフィに全身マッサージをしてもらいたい。
お願いしてみようかな。
今日の天気は生憎の雷鳴と土砂降りの二重奏を奏でている。
昨日は雹が止んで1日中晴れていたのに、何でまた天候が悪化してるんだよ…。
トイレットペーパーぐらいの雹が降ってたのもヤバかったけど、今日の天気もヤバいだろ…。
何か原因でもあるのかな…。
しょっちゅう雨雲がピカピカしてるし、雷がゴロゴロと鳴ってるから、何時何処に雷が落ちるのか分からない。
こんな日に出歩くなんて、死にたがりのイカれ野郎ぐらいじゃないかな。
そんなわけで、オレは今日もマチルフォント邸に滞在するのが決まったよ…。
ベアリーチェ
「 セフィ〜〜〜。
何で今日も天気がこんなに荒れてるんだろう?
マージョリーの説得は成功したんだよな? 」
セフィ:セフィロート
「 マージョリーではないですね。
今日の悪天候は自然現象です。
魔女の末裔は関係してませんよ 」
ベアリーチェ
「 マジか〜〜〜。
自然現象じゃあ、仕方無いのかな…。
セフィの魔法で晴れに出来ないのか?
全属性を使えるんだろ? 」
セフィ:セフィロート
「 自然現象を変更するには相応のペナルティが課せられますよ。
ワタシは精霊ですから、ペナルティは受けませんけど…、ワタシと魂の契約をしているベリィがペナルティを受ける事になります 」
ベアリーチェ
「 え゛っ?!
オレが受けるの?! 」
セフィ:セフィロート
「 そうですね。
どの様なペナルティがベリィに課せられるのか、ワタシにも分かりません。
どうします?
それでもベリィは天候を変更させたいです? 」
ベアリーチェ
「 ………………止めとく。
どんなペナルティか分からないようなペナルティなんて受けたくないもんな! 」
セフィ:セフィロート
「 賢明な判断をしましたね 」
ベアリーチェ
「 賢明なのかぁ?
だけどさ、折角〈 セレネイ 〉が戻って来てくれたのに、この天気じゃあ魔素を弱める事が出来ないよ。
大丈夫なのかな…… 」
セフィ:セフィロート
「 “ 恵みの雨 ” と言われるように雨が降る間は魔素も噴き出しません 」
ベアリーチェ
「 えっ…そうなの??
何で? 」
セフィ:セフィロート
「 魔素が噴き出す場所は地面の亀裂からです。
雨は亀裂の中へ流れ込み、噴き出す魔素を止めてくれます 」
ベアリーチェ
「 そうなんだ。
じゃあ、この土砂降りなら地面の亀裂は雨水が溜まってる状態なんだな。
良かったぁ〜〜。
だったら雨が降ってる間にマチルフォント領を出たら良い事になるよな? 」
セフィ:セフィロート
「 魔物や怪物に襲われたら無事では済みませんよ。
雨天は視界が悪くなりますし、体力の低下も早まります。
何か起きてもワタシはベリィ以外を守護りません 」
ベアリーチェ
「 そうだった…。
やっぱり晴れた日に出発するしかないんだな… 」
ベアリーチェ
「 はぁ……。
セフィ、今日もクルチェに会えないのかな? 」
セフィ:セフィロート
「 そうですね、病み上がりですし、大事を取って今日も遠慮した方が良いでしょうね。
シェリエッタに会ってはどうです? 」
ベアリーチェ
「 うん。
一緒にクレープを食べてもいいかな?
朝食を運んで来てくれる侍女に聞いてもらいましょう 」
ベアリーチェ
「 うん!
クルチェの分は、ドアの前に立っている護衛騎士に頼んでもいいかな? 」
セフィ:セフィロート
「 それも侍女に聞いてみましょう。
序でに味見もしてもらいましょう 」
ベアリーチェ
「 うん。
許可してもらえるといいなぁ 」
セフィ:セフィロート
「 クルチェールに行き着く前に味見をされて、無くなってしまうかも知れませんね 」
ベアリーチェ
「 ははは…。
有り得るぅ〜〜〜 」
セフィに髪をセットしてもらったら、オレの身支度は終わりだ。
実体化したセフィは身嗜みに対してもやや厳しい。
ドルシーよりも厳しいんだから、一寸困るんだよなぁ…。
セフィ:セフィロート
「 ──終わりましたよ、ベリィ。
今日もワタシのベリィは可愛いです 」
ベアリーチェ
「 有り難な(////)
セフィが居てくれないとこの可愛さは維持できないよ 」
セフィ:セフィロート
「 ふふふ。
何時ものように崩れないよう魔法を掛けます。
──これで入浴する迄は、ベリィの可愛さが維持されます 」
ベアリーチェ
「 魔法には色んな使い方が出来るんだな。
いいなぁ…魔法…… 」
セフィ:セフィロート
「 人間には、このような魔法の使い方は出来ませんよ 」
ベアリーチェ
「 そうなのか?
セフィだけなんだ… 」
等身大の姿見に映る自分の姿を眺めていると、ドアがノックされた。
侍女が朝食をサービスワゴンに乗せて運んで来てくれたんだ。
ドアを開けたセフィが侍女と話をしてくれている。
クレープはOKになるのかな?
セフィがサービスワゴンを室内に入れると、侍女も入って来た。
予め妖精から出してもらっていたクレープ生地を侍女に見せて説明している。
セフィは4つ折りにさしたクレープ生地を載せた皿を侍女に手渡した。
侍女は不思議そうな顔でクレープの生地を見詰めている。
セフィ:セフィロート
「 何も付けていませんけど、生地だけでも十分美味しいです。
どうぞ食べてみてください 」
セフィが笑顔で薦めると、侍女は不安そうな顔をしながら恐る恐るクレープを手掴みして口の中に入れた。
はむはむはむ…って音は聞こえないけど、効果音ってのがあったら、多分「 はむはむはむ 」だと思う。
クレープを食べてくれた侍女の顔色が変わった。
どうやら気に入ってくれたみたいだ。
侍女は侍女長,料理長,チェリロオッド様,クルセイラ様にも食べていただきたいと言う事で、セフィはクレープ生地を8枚程お皿に載せて侍女に渡した。
侍女は嬉しそうにクレープを載せた皿を持って、室内から出て行った。
ベアリーチェ
「 侍女さんが気に入ってくれたみたいで良かった 」
セフィ:セフィロート
「 許可してもらえると良いですね 」
ベアリーチェ
「 うん。
8枚も渡し過ぎじゃないか? 」
セフィ:セフィロート
「 こういう時はケチらない事です 」