♥ 滞在部屋 1
──*──*──*── 翌日
──*──*──*── ベアリーチェの滞在室
今日は朝から晴れていた。
昨日、1日中降っていた雹は止んでいる。
セフィに任せたマージョリーの説得は成功したみたいで何よりだ。
セフィに任せて良かったぁ〜〜〜。
これでマチルフォント領に〈 セレネイ 〉が戻って来れるようになったんだ。
マチルフォント領だけじゃなくて、派遣要請を受けていた領地にも〈 セレネイ 〉が戻るんだろうな。
良かった、良かった。
本来なら王族に〈 セレネイ 〉の派遣申請をしないといけないのに、ズルして近隣領地から〈 セレネイ 〉の派遣要請をして〈 セレネイ 〉を掻き集めた貴族には、相応の罰を受けさせないといけないよな!
セフィは出来る精霊だから、そこんとこも抜かりなく色々と画策とかしてくれているんだろう。
迷惑を掛けた分のツケぐらいは確りと支払ってもらわないといけない。
だって、この世界は日本じゃないからな!
日本では法律の力で、犯罪者だって守られるのが当たり前になっている。
どんなに酷い殺し方をしたって、どんなに酷い罪を犯したって「 精神的に〜〜〜 」とか「 精神病が~~~ 」って言えば、被害者ぶって犯した罪を軽くする事が案外簡単に出来てしまう。
権力とか財力とか地位の力を駆使して、罪を揉み消す事だって案外簡単に出来てしまう。
加害者も犯罪者も殺人者も、自分の犯した罪を軽くして刑罰から逃れようと試行錯誤する事が平気で罷り通ってしまう。
良心なんて何処の誰に売っぱらったのやら、依頼主が真っ黒黒な有罪人なのに、真っ白の無罪人にしようと手を尽くそうとする腐りきった弁護士達だって居る。
法律って何だろうな?
泣き寝入りを余儀なくされるような弱者な立場の被害者達を──、被害者遺族を助けてはくれない。
悪事に加担する奴等の方が頭が良いから、法律の抜け道を上手く利用して、更に悪事に手を染める。
被害者には厳しくて無情なのに、加害者には寛大で優しくて甘ったるい日本の法律は、きっと御偉いさん達自身や、自分の身内が悪事に手を染めてしまった時に、本来ならば重罪なのに簡単に軽罪へ変更する事が出来るようにする為に作られた御都合主義の法律なんじゃないかって、思えて止まない。
貧しい国民は泣き寝入りして苦しまないといけなくて、金持ちしか得しない国──、それが前世のオレが生きていた日本だ。
小娘のオレには、私利私欲の為に悪事を働いて、沢山の人達を苦しめるだけ苦しめて絶望の底に突き落とすのに、相応の罰を受けて罪を償おうとしない加害者,犯罪者,殺人者なんかに制裁を与えられないけど、精霊のセフィになら出来る。
手当たり次第に制裁を下すわけじゃない。
オレの命を狙ったり、シュケルハン家に仇なす悪い奴等だけに絞っている。
今回はオレの友達になってくれたクルチェの為に、無理を承知でセフィにお願いした。
こんなのは、これっきりにしたいと思う。
出来る限り、セフィにも妖精さんにも酷い事をしてほしくないからだ。
オレは矛盾している。
でもさ、人間って矛盾しながら生きてるから、これで良いんじゃないかな?
知らない世界に転生して、女の子に生まれ変わっちゃったけど、オレはちゃんと真っ当な人間してるんだ!!
今日も午前8時からセフィのスパルタ授業を受けている。
オレがセフィから学んでるのは、バルデロンド王立学院に通う学生達が学んでいる授業だ。
日本の高校生が学ぶ授業と比べたら、大した事ないレベルだ。
大学生だったオレにとっては、だけど。
10歳でバルデロンド王立学院で学ぶ授業と同じ内容の勉強をしてる子供なんて、オレ以外で国内に居るのかな?
これならバルデロンド王立学院に態々入学する必要なんてないよなぁ?
何とかしてバルデロンド王立学院に入学しないで済む方法ってないのかなぁ…。
セフィに相談してみるかな。
「 貴族の義務だ 」とか言われたら、貴族を止めたって構いやしない。
だってオレにはセフィが居てくれるからだ。
平民として生きる事になったって、オレは全然、構いやしないよ!
やっぱり、セフィに相談して見よう!
平民は学校に通わなくても生きていけるもんな!
オレが孤児院か何処かに住み込んで、孤児達に読み,書き,計算,算術を教えたって構わない。
先生の資格はないけど、簡単な読み,書き,計算,算術なら教えるぐらい別に構わないだろう。
ハッ────!!( ゜ロ ゜; ))
そうだよ、これだよ!!
オレは当初の計画通り、修道院へ入ればいいんだ!
そして修道院を安息の地として、シスターとして慎ましやかに平穏に暮らすんだ!
修道院にも孤児は居る。
修道院で保護された孤児達は、修道児として暮らす事になる。
修道児は12歳を迎える迄の間に、シスター達から読み,書き,計算,算術等を学ぶ事になる。
自分の事は自分で出来るように必要最低限の躾も受ける。
掃除,清掃,洗濯,裁縫,料理,細々とした雑用…等々もシスター達から学ぶ。
12歳を迎えたら、修道児から修道生となる。
修道生になると、≪ ティトドムヒ大陸 ≫と≪ バルハロン王国 ≫の歴史と知っていて損はしない様々な事柄を学ぶ事になる。
修道生は15歳を迎えると修道院から聖教会へ引っ越しして、修道徒として将来の修道士,修道女として資格を取る為の勉強を始める。
試験に合格し、資格を取れたら、修道徒は晴れて修道士,修道女になれるわけだ。
各々の教会へ派遣されて、修道士見習い,修道女見習いとして、神父,シスターとなるべく先輩達と共に切磋琢磨しながら教会で働くんだ。
オレなら、修道院の修道児達に読み,書き,計算,算術,洗濯,掃除,清掃,料理,刺繍,簡単な裁縫なんかを教える事が出来る!!
あぁ…良いかも知れないな(////)
セフィと一緒なら何処でだって生きていける。
教育を必要としている孤児達の役にも立てる事にもなるし…。
その為にはライエルから意地でも「 婚約破棄する! 」って言わせないといけないんだ。
オレの安泰な未来計画を現実にする為には、気張って頑張らないと!!
セフィ:セフィロート
「 ──では、午前の授業はこの辺でお開きするとしましょう。
ベリィ、最後まで頑張れましたね 」
ベアリーチェ
「 有り難な、セフィ!
有意義な授業だったよ 」