♥ 滞在室 4
セフィ:セフィロート
「 それなら此方からは何もしない事です。
気の済むまで怒りを発散させてあげましょう 」
ベアリーチェ
「 う…うん……。
これ以上、大きな雹にならなきゃいいけど…… 」
セフィ:セフィロート
「 あまり長引くと他所の領地へ派遣されている〈 セレネイ 〉が戻って来れませんね 」
ベアリーチェ
「 あっ、そうだよ!
〈 セレネイ 〉が戻って来ないとマチルフォント領や他の領地への魔素が酷くなっちゃうよ!!
雹が降り続いて外に出られなくて、〈 セレネイ 〉が魔素の濃度を薄めれない日が長引くと魔素から魔物が出て来ちゃうよ!!
大変な事になっちゃうよ! 」
セフィ:セフィロート
「 これは…面白くなりそうですね♪ 」
ベアリーチェ
「 セフィ〜〜〜!
面白がってる場合じゃないよ!
何とかしないと!
何が何でもマージョリーには怒りを発散するのを止めてもらわないと、だろ! 」
セフィ:セフィロート
「 ベリィ、それ本気で言ってます? 」
ベアリーチェ
「 本気だよ!
冗談で言うわけないだろ〜〜!
だけど…話して通じる相手なのかな?
魔女の末裔って血の気が多いって事はないよな? 」
セフィ:セフィロート
「 血の気の多さは魔女にも寄ります。
マージョリーにも理性もありますし、ちゃんと話し合えば分かってもらえると思いますよ 」
ベアリーチェ
「 話し合いったって…、人間とはしないだろ?
セフィのお蔭で未遂で済ませる事が出来たけど、シェリエッタ様の殺害計画を企てた奴等は人間なんだしさ… 」
セフィ:セフィロート
「 精霊からの “ お願い ” なら素直…とはいかなくても渋々には聞いてくれるかも知れませんよ 」
ベアリーチェ
「 精霊からのお願い??
何で精霊が魔女の末裔にお願いなんかするんだ?
魔女の末裔は精霊より強いのか? 」
セフィ:セフィロート
「 生粋の魔女でも精霊には敵いませんよ。
魔女の方から精霊を避けますからね 」
ベアリーチェ
「 じゃあ、精霊は魔女よりも強いんだな? 」
セフィ:セフィロート
「 強い弱いの問題ではなく、次元が違うので。
実体のない虹に魔法や攻撃が通じると思います?
精霊や妖精に対しても同様です。
仮に精霊や妖精が実体化しても全て無効化されるのでダメージを与える事は出来ません 」
ベアリーチェ
「 …………じゃあ、精霊や妖精を倒せる奴なんて何処にも居ないって事か? 」
セフィ:セフィロート
「 精霊や妖精を倒そうなんて烏滸がましいにも程があります。
天に唾を吐くような愚行の極みです。
そんな人間が居たら、精霊達から散々弄ばれた挙げ句に妖精に喰べられますよ 」
ベアリーチェ
「 この世界…こっわ!!
魔王よりも精霊や妖精の方が、数億倍もこっわ!! 」
セフィ:セフィロート
「 精霊や妖精からすれば、魔王なんて幼児みたいなものですからね。
知能や理性のない魔物でさえ、精霊や妖精に手出しすべきでないと本能で察する事が出来ます。
ある意味、人間より賢いですよ 」
ベアリーチェ
「 ははは……。
そう…だな〜〜〜…… 」
セフィ:セフィロート
「 ベリィが望むなら、マージョリーをどうにかしても良いです 」
ベアリーチェ
「 どうにかって? 」
セフィ:セフィロート
「 さぁ?
妖精に喰べさせても良いですし── 」
ベアリーチェ
「 それは駄目だよ!
マージョリーはクルチェとシェリエッタ様の大事な身内なんだから!
マージョリーに酷い事するのは駄目だよ!
シェリエッタ様の事を想って怒ってるんだろ?
無傷で何とかしてほしいよ… 」
セフィ:セフィロート
「 それがベリィの望みなら、叶えましょう 」
ベアリーチェ
「 セフィ!
有り難な!!
オレが心の底から頼れるのはセフィだけだからさ… 」
セフィ:セフィロート
「 解ってますね、ベリィ。
どんなに仲が良かろうと、どんなに互いを信頼してようと人間は自身の可愛さ故に裏切ります。
血の繋がりのある家族でさえ、保身の為に裏切るのが人間です。
相手を素直に信じ過ぎるのは良くないです。
何時でも見限れるように必要以上、相手に入れ込まないように気を付けてください 」
ベアリーチェ
「 セフィ… 」
セフィ:セフィロート
「 ベリィと魂の契約をしたワタシはベリィを決して裏切りません。
最後までベリィの味方で居るのはワタシだけです 」
ベアリーチェ
「 セフィ…(////)
有り難な(////)」
言い過ぎな気もするけど、セフィはオレに対して超絶過保護だからな。
裏切られた時に “ オレが傷付かないように ” って敢えて言ってくれてるんだ──って、オレは勝手に思ってるけど、実際の所は分からない。
だけど…セフィの優しさが嬉しいから、オレから態々確かめたりしないんだ。
セフィ:セフィロート
「 ベリィが寝付いたらマージョリーへ会いに行く事にします 」
ベアリーチェ
「 うん…。
呉々もマージョリーに傷を付けないようにしてくれな。
敵対したら駄目だからな 」
セフィ:セフィロート
「 ベリィが望むなら、可能な限り善処します 」
ベアリーチェ
「 …………叶えてはくれないんだ? 」
セフィ:セフィロート
「 時と場合によります 」
ベアリーチェ
「 そうなんだ… 」
セフィ:セフィロート
「 ベリィ、新しいジャムを食べてみません? 」
ベアリーチェ
「 新しいジャム?
どんなジャム?? 」
セフィ:セフィロート
「 ミルクジャムです 」
ベアリーチェ
「 ミルク…ジャムぅ??
ミルクって牛乳か? 」
セフィ:セフィロート
「 そうですよ。
ミルクと生クリームに砂糖をたっぷり入れて煮詰めて作られたジャムです。
甘くてクリーミーで、甘いのが苦手な人にも食べ易いジャムです。
果物ジャムと生クリームの中間で、パンに塗るのは勿論、デザート類にも合うそうです 」
ベアリーチェ
「 え〜〜何それ!
食べてみたい!! 」
セフィ:セフィロート
「 これです。
クルチェールの御見舞いの品にどうです? 」
ベアリーチェ
「 クルチェの為に態々用意してくれたのか?
有り難な! 」
セフィ:セフィロート
「 紅茶に溶かして飲むと、手軽にミルクティーもどきを作れます 」
ベアリーチェ
「 ミルクティーもどきぃ?
ははっ、それ、いいかも!
ミルクティーもどき、飲んでみたい! 」