⭕ 【 ベアリーチェの誕生日パーティー 】 パーティー会場 8 / 女子トーク再び 2
然しなぁ、9歳の女の子が何で “ 萌え ” なんてオタク語を知ってるんだか…。
この異世界にもオタクって居るわけ??
まぁ、どっちだっていいか。
何処の世界にだって、オタクは居るよな?
前世ではオタクやヲタクに対して偏見は持たないようにしていた。
だから、この異世界でもオレは、オタクやヲタクに対して偏見を持つつもりはない。
タシィルドレテク・セロッタに扮しているセフィがパーティー会場を去って行った後、暫くしてクルチェ,クレル,パムも帰る事になった。
クルチェがバルデロンド王立学院へ入学する迄に3年ある。
3年経ったら、クルチェと会って遊べなくなるわけだ。
貴族に生まれた子供は、15歳を迎えた翌月にバルデロンド王立学院へ入学する事が義務付けられているらしい。
15歳 〜 18歳の3年間を学院の敷地内にある寮で生活しながら学院へ通う事になってるんだとか。
寮生活をする事になるから、会えなくなるんだ。
だから、この3年間は大事に過ごしたい。
クルチェ,クレル,パムと出来るだけ、可能な限り、一緒に楽しく過ごしたいと思う。
色んな所へ遊びに行って、色んな体験をして、楽しい思い出を沢山作るんだ!!
そうそう、王立学院にも休みがあって、毎週日曜日,祝日,春休み,夏休み,秋休み,冬休みがあるらしい。
今は秋休み期間だから、クルチェのお姉様──シェリエッタ様は自宅へ帰省中なんだとか。
シェリエッタ様か……どんな人だろう。
会ってみたいな。
従姉:クルチェール
「 ──ベリィ、何時でも遠慮なく遊びに来いよ!
ベリィなら何時でも大歓迎だからさ! 」
ベアリーチェ
「 有り難う御座いますわ〜〜 」
再従妹:パムミメーラ
「 ……手紙のやり取りが簡単に出来る転送陣を使うと便利… 」
ベアリーチェ
「 転送陣…ですの〜〜? 」
従姉:クレリエンヌ
「 ベリィちゃんは未だ、転送陣を持ってませんのね〜。
誕生日プレゼントとして転送陣を贈りますわ〜 」
従姉:クルチェール
「 それいいな!
よし、オレも転送陣を贈るよ。
楽しみにしてろよ、ベリィ! 」
再従妹:パムミメーラ
「 ……ワタシも贈る… 」
ベアリーチェ
「 ………………。
転送陣は子供にも用意の出来る代物ですの〜〜? 」
従姉:クルチェール
「 上位貴族なら出来るよ。
専用の布に転送陣の魔法陣が描かれていて、持ち運びも出来るようになってる便利アイテムだよ。
広げた布に転送したい相手の名前を書いて、マーナを注ぐんだ。
マーナは〈 マナ 〉に注いでもらったらいいよ。
広げた転送陣の上に手紙を置いたら、手紙が相手への転送陣へ転送されるんだ。
書いたら直ぐに送れるし、返事が届くのに数日も掛からないから便利なんだ 」
従姉:クレリエンヌ
「 転送陣で転送の出来る量は決まってますの〜。
転送陣が赤色に変わると、転送量がオーバーしている合図になりますわ〜。
本1冊分なら手紙と一緒に転送可能ですわ〜 」
再従妹:パムミメーラ
「 ……転送陣から、はみ出る物は転送出来ない…。
……重過ぎる書籍も無理…。
……転送陣を使う際の注意事項もある… 」
ベアリーチェ
「 教えてくださって有り難う御座いますわ〜〜 」
従姉:クルチェール
「 友達が増えたら、転送陣を増やしたらいいよ。
使用人に頼めば買って来てもらえるからな 」
ベアリーチェ
「 分かりましたわ〜〜 」
従姉:クレリエンヌ
「 ──クルチェちゃん,パムちゃん、そろそろワタクシ達もおいとましましょう〜」
従姉:クルチェール
「 あっ、そうだな。
じゃあな、ベリィ!
次、会う日まで元気で居ろよ! 」
従姉:クレリエンヌ
「 失礼致しますわ〜 」
再従妹:パムミメーラ
「 ……また、なの… 」
ベアリーチェ
「 ワタクシも楽しかったですわ〜〜。
お気を付けて帰ってくださいませ〜〜 」
オレはパーティー会場を後にするクルチェ,クレル,パムを見送った。
──さてと、オレも部屋へ戻りますか!
オレは両開きの扉に背中を向けると階段へ向かって歩き出した。
御礼の挨拶やらお喋りやらダンスやらで結局、オレは御馳走を食べれなかった。
オレの誕生日パーティーなのに、オレが御馳走もデザートも食べれないって、どんなパーティーだよ!!
本当に鬼畜な悪習だな!
部屋へ戻ったら、さっさとドレスを脱ぎ捨てて、セフィと妖精さんが確保してくれた御馳走とデザートを腹一杯に食べるんだ!!
オレが階段を上がりきると、ドルシーが待ってくれていた。
ベアリーチェ
「 ドルシー、お待たせしましたわ〜〜 」
専属侍女:ドルシー
「 お嬢様、旦那様と奥様が応接室にてお嬢様をお待ちしております。
部屋へお戻りになる前に応接室へお寄りください 」
はぁぁぁぁあああん??
マジかよ!!
オレは腹ペコなんですけど!!
頼むから、ドレスと靴から解放させてくれよ……。
オレは裸足で部屋中を歩き回りたいんだ!!
ベアリーチェ
「 分かりましたわ〜〜。
応接室へ向かいますわ〜〜 」
オレの楽しみが……御馳走とデザートが……遠退いた…。
両親を無視して部屋へ戻るわけにもいかない。
パーティー会場を出たオレは、ドルシーと一緒に応接室へ向かって歩き出した。