迷いの森へ
「また、あれをやったの。可哀そうに。」
「罰だ罰。」
「私たちの考えが優しいと思うぐらいに可哀そうでした。」
「俺は妥当だと思うがな。」
「信兄はいつも通りにクールね。」
セレスが自分たちの議論した内容が生易しかったと怯えながらいい、
エンデは悪びれず、罰を科したと言う。
「尻尾だけよね。やったのは。」
「もちろんだとも。頭と手足、胴体までやったら、
それは罰ではなくなってしまう。
信も見ているのにそこの匙加減はミスらないさ。」
「ならいいわ。」
確認をして、紅葉はここまでとばかりに、一つ頷いて、
飛行船へと歩き出した。
それを見た信幸が紅葉を止める。
「どこ行くんだ。ここからは歩きだぞ。」
それを聞いて、紅葉も生徒たちも驚いた顔をする。
「お前らな。そんな顔をしてもだめだ。
今からそこの迷いの森を中心まで踏破するんだろうが。」
そういって、クイッと親指で森を指す。
「げぇ。そうだった。」
富士が肩をがっくりと落とす。
「取り敢えず、飛行船のラウンジで一休みしません?
それに収納をしないと。」
名取が苦笑をしながら提案をする。
「それもそうだな。」
信幸は小さくため息をついて、ゆっくりと歩き始めた。
それを見た紅葉は、足早に飛行船へと向かい、
慌てて、セレスと生徒が後を追いかける。
エンデは一人残り、迷いの森の端まで行くと、
近くの木に手を当てる。
そして、目をつぶり、数秒たったから、
一つため息を着いて、闇を纏って、
その場から消えた。
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「はぁ~。落ち着くわ。」
そういって、紅葉はだらしがなくソファーへと座る。
「まぁ。お前は今回頑張ったから、あんまり言わんが、
生徒の前だぞ。」
「いいのよ。私は日頃、猫をかぶっていないから。
こんな姿を見せても今更よ~。」
そういって、今度は寝っ転がる。
信幸はため息を着きながらも備え付けたコーヒーメーカーで
コーヒーを入れて、紅葉へと渡す。
「どうも。で、賢者様、どうすればいいの?」
「それだよな。」
信幸は別のいつに座り、膝に肘をつけて、
コーヒーの表面を見ながら考える。
生徒たちは集まってトランプをしながら、
話を待つ。
そこに、黒い柱が現れ、中からエンデが出てくる。
「エンデ~、どんな感じ~。」
紅葉がエンデに問いかける。
「本来なら、自分たちで調べてほしいんだがな。
俺も疲れているから。」
「結界はお前が一番理解できるだろう。すまないとは思うがな。」
信幸はエンデを上目で見ながら言う。
「はぁ~。地図を。」
「はーい。」
返事をして、宮城がテーブルへと広げる。
「ドワーフ国の地図か。これじゃあ。ちょっとな。
仕方がない。えーっと。そうだ。
お、あった。」
そう言って、腕輪から、サンドボックスを取り出す。
そして、手をふちに当てると町や木、森、飛行船が浮かび上がる。
「これが、この周辺。そして、目的地はここ。」
そう言って、ひと際大きな木を指す。
「あれ、意外と近い?」
「え、でも。」
そう言って、日野は窓の外を見る。
「そう、それなんだよ。
実は結界もうまく包み込めていない。
それに、どうも土壌に例の水の精霊の残照があり、
不可解な反応があるんだ。」
「幻影、空間への干渉、邪悪な精霊っか。」
「下手したら、目的地にはたどり着けない。
または、全員ばらばらにされて、各個撃破か。」
「解決策は?」
「信と秋の単独走破。」
「はぁ。それしかないか。
俺が、土壌と木の修復。
紅葉が圧倒的武力で突破。
で、転移ポイントを設置して、
戻ってくる。が正解かな。」
「だな。」
エンデの結論を聞いて、生徒は紅葉を胡乱な目で見つめ、
信幸は盛大なため息を着いた。




