罪と罰
一匹の小さな狐が男女3名に囲まれ、その周囲を6匹の龍と竜に囲まれ、
ぶるぶると震えている。
それを少し離れた場所でエンデが腕を組んで、木に寄りかかって
苦笑しながら、眺めていた。
そこから離れた場所で信幸と紅葉、セレス、生徒たちが話し合いをしている。
「封印はどうでしょう?」
「破られたり、盗まれたとき面倒では?
あっ、また利用される恐れもあるのか。」
「それもそうだが、封印の仕方によっては
生産、加工、運搬、販売のいずれかが制限されるぞ。」
「ではどうするのがよいのです。」
「建物に幽閉する。」
「富士くんそれ、封印と変わらないと思うよ。
それより、眠らせるのは?」
「日野ちゃんどこで寝かすんだよ。
とりあえず誰かが預けるってのはどうですか?
森にもいかなきゃならんことですし。」
「それは預けた人が可哀そうだよ。鉄。」
2年生以下の4人がセレスと紅葉、信幸に意見を言うが、
いい案とは言えなかった。
「とりあえず何かに封印にして、持っていけばいいだろう。
何なら、影に入れてもいいぞ。」
「エンデ。お前の力は使えないのでは?」
「運ぶぐらいならいいだろう。戦闘で力を使うわけではないしな。
それに、使う影は俺のじゃないぞ。そうだな。」
そこまで言うとエンデは見回して、宮城をさして言って。
「そこの嬢ちゃんがいいかな。」
「エンデ、その心は?」
「属性の偏りがないから。」
宮城はそれを聞いて、不安な顔をする。
それを見た名取が口を開く
「それは大丈夫なんですか。」
「神の力の影響という意味では皆無だ。」
それを聞いて、安堵の顔を浮かべるが、神戸が言葉の端を指摘する。
「影響でなければあるんですか?」
「敵に狙われやすくなる。」
「えー。それはいやですよ。エンデさんじゃダメなんですか?」
宮城が嫌がってエンデにいう。
「さっきも言ったが俺は部外者だから、な。
それにおれの属性は偏りがありすぎる。
それに、守ってやれよ。龍までいるんだから。」
それを聞いて、信幸は首を傾げる。
エンデは簡単そうに言っているが、生きているもの、
しかも神を力がない生徒の影に入れることができるのか。と。
「おや?疑っているな。
信幸、セレスは見せてやるからこっち来な。」
「「俺らもっ!」」
名取と神戸が腰を上げて追いかけようとするが、
後ろから紅葉が襟を引っ張る。
「「ぐぇ!ちょ!秋ちゃん」」
「やめな。気が狂いたくないならね。」
そう言って、顎をしゃくると、宮城の目の前に真っ暗な壁が現れた。
その奥から叫び声が聞こえる。
それが止まった瞬間、宮城は足元に重さを感じた。
暫くすると、壁がボロボロと崩れる。
その先から、エンデと信幸、エリス、神達と龍達が歩いてくる。
信幸はあきれ顔で、エリスと神達は呆然と
龍達は尻尾を丸め震えながら歩く。
それを見て、生徒たちは見なくてよかったと思い、
紅葉は信幸と同じようにあきれ顔をして、首を振った。




