追い詰められて
『同じ大きさになったところで!』
そういうと、木と金色の尻尾を紅葉を絡みつけながら、
先を突き刺す。
すると紅葉がまとった土は土煙を立てながら、崩れる。
「ちっ!」
それを逃さず、九尾はすかさず闇の尻尾振りぬく。
それを火を両手にまとって防ぐが、結界の奥へと吹き飛ばされた。
「おかえりー。やるならきっちり仕留めてくれない?
こんなに魔素も大地もめちゃくちゃにしてさー。」
飛んできた紅葉を自らの権能を使って受け止めて、エンデが嫌味を言う。
「これでも、タゲを私に向けて、助けたんですけど。」
「おや。意外と考えていた。」
「で、倒し方はある?」
「ない。とは言えないな。どうも、時間と空間、境界には弱いらしい。」
そう言って、エンデが手刀を構えて振りぬくと、
振りぬいた線で尻尾が切れ、ずれるように落ちる。
落ちたほうは黒い粒子になって空気に溶ける。
『ぐぅ。なぜだ!不可視の攻撃など。ありえるのか。』
「なっ。」
そう言って、紅葉を見る。
「それはいいけど。あれ。」
そう言われて再度九尾を見ると、切られた先から再度尻尾が伸びる。
「まじかー。メンドイ。」
そう言って、やる気がなさそうにする。
「エンデ。やる気になってくれないか?」
後ろから来た信幸が指摘する。
「いやー。殺せないし、ダメージの通りが悪いし、
じゃあやりようがないじゃん。」
そう言って、無理無理と顔を振る。
「じゃあ。案をって。そういうことか。」
信幸がエンデの様子を見て、言いたいことを理解する。
すなわち、部外者がこれ以上のことをするわけにはいかないと。
この世界に呼ばれ、根を張ったのは紅葉と生徒たち、そして、
はじめは付き合いでかかわったが世界と紅葉を守ると決めた自分が
考え対処をしなければならないと。
「案はあるんだな。」
「そりゃあね。一番簡単な方法があるじゃん。
デメリットもあるけどね。」
「ちょっと待て、考える。」
そういうと、信幸は生徒を呼んで円陣を組む。
「エンデが言うには簡単な方法があるらしい。」
そう信幸が切り出すと、生徒たちは顔をしかめて、
考える。
その様子に九尾は激怒する。
『私を前にいい度胸だな!』
「はい。はい。静かにしてようね~。」
流治がおちゃらけながら、攻撃を捌く横で、
紅葉は必至に生徒の方に攻撃が飛ばないように
剣を振るう。
「瀕死にすればいいんですよね。」
宮城が、信幸に確認をする。
「そうだ。」
「なんで、倒しちゃいけないんですか。いや、倒せるかは別に。」
富士が聞く。
「流通と貨幣の概念が消える。」
名取が答える
「そして、それは物の停滞や成長の停滞を生む。」
信幸が引き継いで答える。
それを聞いて再びみんなで考える。
「いい加減!決めて!くれないかな!」
紅葉が、九尾の攻撃をさばきながらどなる。
「あとちょっと待ってください!」
大月が紅葉に答える。
「で、どうします。」
日野が全員に聞く。
その時ふと大野が紅葉を見てつぶやいた。
「紅葉さんに食べてもらうのはどうです。」
「いやいや、食べちゃったらだめでしょ。」
宮城がつっこみを入れるが、信幸は考え込みながら、エンデを見た。
「なるほど。それが答え、か。」




