今度こそへ商業都市へ
「遅かったな。」
テンクル王国をしばらく過ぎたころに、エンデが忍の力を使って、
信幸の影から出てくる。
「悪いな。商業都市の情報を抜き取るのに手間取った。」
「そんな強敵か?」
「いい話と悪い話どっちから?」
「好きだな~。悪い方から。」
信幸は苦笑いをしながら答える。
エンデは窓枠に両手をついて、遠くを眺める。
「商業神が暴走した理由、例の黒い宝玉。供給元は水の精霊。」
「ほー。いい方は。」
「セレスの張った結界あれ、強力だわ。俺も越えられなかった。
あれがある限り、取り返した地域は安定する。
そして、あれを通りぬけるのは女神レベルの権限がないと不可能だ。」
「それはそれは。」
「いい方はもう一つ、あの結界俺らの力でも張れる。」
「それは重畳。」
「で、このまま行くのか?」
振り向いて、窓枠に寄りかかりながら、信幸に聞く。
「補給がすんだらな。」
「そう。じゃあ、俺らはラウンジにいる。」
そういって、手を振りながら、どこから現れた、忍とアルとエルを連れて、
操舵室を出て行った。
「不思議な人ですよね~。」
名取がそう話しかける。
「あれは、流だからな。ただし、流よりシステムに近いそうだ。
まぁ、あれを正確に理解できるのは、流と流の分け御霊ぐらいだな。」
「分け御霊って?」
「あれ、説明をしなかったか?流は異なる属性の自分自身がいるんだ。
それらは独立した意思と異なる実体を持っている。
エンデと忍、アル、エルはそれだ。
ただし、エンデはもっとも流に類似し、もっともシステムに近いそうだ。」
「それは、不思議ですね。流治さんも・・・。」
「そうだな。風間家の不思議の一つだな。
ああそうだ、一つ教えるとな、俺ら兄妹は
得意属性以外を使う方法がある。
紅葉はレイたち、六花は精霊、俺は式神、流治が分け御霊。
だがー・・・・。」
「もしかして・・・。秋ちゃんは・・・。」
「そう。ずいぶん昔に、使い方を忘れている。」
「なんて残念な。」
「なー。」
名取は情報量が多すぎて、パンクしそうなだった。
頭を冷やそうと、窓の外を眺め始めた。
遠くにビエツの鉱山と城が一体になった影がポツンと見えた。
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「応!お前ら、物資を積んでやれ、あと、乗ってたやつは報告書を上げろよ。
物資を積み終わったら、異常がないかチェックをしろ!
一応乗ってたやつと俺がチェックをしたが、チェックをしろ。
チェック箇所はこれだ、これは今後も使うから、漏れがにないかも確認しろ。」
親方がタラップを降りながら、指示を飛ばす。
「信幸さん!すみません処理をお願いしたい書類が・・・。」
「今行く!」
信幸は事務官に降りた瞬間に声を掛けられ、執務室へと向かった。
「紅葉さん!また旅にでるなら、軍紀と再編の判断基準の書類を!」
「えー!」
「姫!行きますよ!」
軍部の者が紅葉に声をかけるが、紅葉は嫌な顔をする。
そんな紅葉を軍部といっしょに来たアンが引っ張って軍舎へと引っ張て行く。
そしておいて行かれた生徒たちは顔を見合わせる。
後ろから来たエンデがそんな生徒たちをみて、ため息をついて、声をかける。
「取り敢えず、買い物をしながら、城へ向かえばいいんじゃないか。」
「そうですね。」
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「エンデ。改めて作戦を。」
「ああ。商業神こと、九尾は、連邦国家レンカーンの森林側の都市、
ここにいる。」
そう言って、テーブルに広げられた地図にお稲荷さんの狛犬のような駒を置く。
「そこは、中央ではないのか?」
「どうも、一番力が増えるのがこの場所らしい。」
信幸の問にエンデが答える。
「えーとここだと、距離だと・・・。」
名取が紐で距離をだそうとするが、紅葉が手で制す。
「どうみても、森の上空をかするわ。
結界が上空にも影響するかがわからない以上、
そのコースは取れない。」
そう言って、塔のような駒を森の外周部に置き、それに巻き付けて、紐を結ぶ。
「そうだな。さえているな。およそ2日だが、昼につきたい。
調整するなら、ここか。だが、敵の戦力がわからん以上、
できるだけ、向こう側にいったら、移動を速めたいな。」
「それなら、俺に考えがある。システムには許可をもらってある。」
そう言って、エンデはニヤリと笑った。




